💚「久しぶりなのに何なの」
最近お互い忙しくて、やっと掴んだ2人の時間。
カフェでも行こうかと言っていたのに当日突然翔太から『やっぱ家きて』と連絡が入って、来てみたらソファで白くて真ん丸い塊が爆睡していた。
眠かったんだろうか。それとも、俺と外に出るのは怠かったんだろうか。
確かに最近はあまり会えてなかったし、番組や動画の収録で会うことがあってもそれぞれやりたい事があったりして2人で話す事は殆どなかった。
だからって、家に呼んでおいて寝てすっぽかすなんて。不満があるなら言ってくれたらいいのに。
簡単に起きないのは知っている。それでもここで帰ったらもうこの関係自体終わらせてしまうような気がして、とりあえずコーヒーだけ買いに出て飲みながら部屋の中で過ごした。
アプリでクイズを解いたり、コーヒーのおかわりをしたり、少し寝たりしながら様子を見ていたけど起きる気配はなく、気付けば夕方。
さすがにもう帰ろうかと思って立ち上がった時、座っていたダイニングチェアに脚が引っかかってガタンと音を立てた。
白い塊がもぞもぞ動いて、慌てたように中から汗だくの翔太が飛び出してきた。
💙「は……?えっ?」
呆然としているがそれをしたいのはこっちだ。
翔太は俺を見て、時間を見て、もう一度俺を見た。
💚「翔太。起きた?」
💙「あの……」
この状況を理解できたのであろう翔太はあからさまにしゅんとしている。
どうやら意図的にドタキャンしたかった訳ではないようだ。
💚「何があったの?」
💙「えっと…」
翔太の話はこうだ。
💙「阿部ちゃんと久しぶりに出かけるから気合い入れてたんだけど髪型が決まらなくて…どうしても気に入らないから外出たくなくて、家に来てって言ったはいいけどこれで会うと思ったら恥ずかしくて、タオル被ってたら寝ちゃってた」
💚「なんだそれ」
💙「ごめん…」
罪悪感で今にも泣きそうな翔太は、気難しい柴犬が叱られたみたいに見える。
💚「怒ってないよ」
頭を撫でたら翔太が珍しく素直にすり寄る。
💚「どんな翔太だって可愛いのに」
💙「ヤダ、俺は最高の感じで会いたかったんだもん」
💚「うんうん、そうか」
今からでも埋め合わせしてくれる?と顔を覗き込むと、口を尖らせて頷く。
まだ汗ばんでいる額を撫で、軽くキスをすると翔太が抱きついてきた。
💙「ごめん、阿部ちゃんの休み潰して」
💚「いいよ。今度はあのカフェ行こうね」
今日のところは、手土産に持ってきた洋菓子店のシュークリームでおうちカフェ。
ちなみに翔太が決まらなかったと言っていた髪型は、何がいけないのか全然わからないくらいだった。
終
コメント
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かわちい💚💙
阿部ちゃん優しいなぁ…💚 しょぴは可愛いなぁ…💙