テラーノベル
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(RAN視点)
……セイトさん、こえぇ〜…。
「大丈夫」と建前では言ったものの、初対面でガン詰めされた事に内心ビビっていた。
てか、俺、なんか目の敵にされとったりする?
なんで?初めて会ったのに…
「ラン、大丈夫か、?」
「えっ…?」
「……大丈夫やなさそうな顔しとんな、」
カイリュウさんが心配そうに顔を覗き込んできて、俺の心情を言い当てる。
…なんで、分かったんやろ。すごい観察眼やな。
「勘違いしてほしくないから言うねんけど、あいつほんまにええ奴やから、心配せんでええで?…まぁ、なんかちょっと虫の居所悪かったんやろ…」
「…っ、はい…そうですね……」
「……まぁ、それにしても、デリカシーなかったな。笑」
「えっ?…は、…そう、すね、笑」
「まぁ俺もイケメンとか、立っとるだけで客きそうとか、お前に言うてもうてるけどな。笑」
「…それはまぁ、褒めとるから。笑」
「え、俺は大丈夫?デリカシーの方は…」
「今更ですか?」
「え?あ、あかんかった?」
「嘘です。笑」
「っ、おま、!あっ、焦らすなや!…よ、よかったぁ〜…」
「…っ、ぶ、ふふっ……(笑)」
「何わろてんねん?」
「っ…いや、…カイリュウさんって、かわいいですよね」
「え?」
「あ、いや…、」
やばい。つい、可愛いとか言ってしまった。
一応先輩なのに。いや、一応も良くないか。
なんか、この人、話せば話すほど、先輩って感じがせんけんなぁ。
そんな事を考えながら、さすがに怒られるかなと焦っていると、ふはっ、と少し困ったようにカイリュウさんが笑う。
「せやねん、かわいいとこもあんのよ俺って。」
「あれ…照れないんすね?笑」
「まだまだわかってへんな〜俺を。笑」
笑いながらそう言ってくれたけど、なんとなく、焦る俺に気付いてフォローしてくれたような気がした。
…てか、たまに、そうやってなんか自信ありげなとこも、可愛いんやけどな。
「……あ〜!2人ともお喋りばっかして、全然手動いてへんやん!もー!サボらんといてよ!」
店の奥から戻ってきたナオヤさんが、俺達の手が止まっているのに気付いてプリプリと怒り始めた。
「なんやねん、どうせお前もセイトと話しとったんちゃうん?」
「ナオはいいんですぅ〜」
「は?おいずるいやんけ、息子の特権使うなや!」
「…あれ、セイトさんは、?」
「ん?セイちゃん?さっき帰ったで?」
「あ、そうなんすね…」
「…ナオヤ、あいつなんか機嫌悪なかったか?」
「え?そう、?ナオには優しかったで?♡」
「も〜なんやねんあいつ…ほらな?ラン。心配することあらへん。」
「あ、はい、そうですね…、」
「なん?ランちゃんどうしたん?……あ、てかさぁ、ナオも、もーっとランちゃんと仲良くなりたいねんけど♡」
「えっ、?」
テーブルを拭いていた俺の両手をいきなりガシッと掴んで、甘えるような表情で見つめられる。
初めて会った時から思っていたけど、ナオヤさんは距離を縮めるのが上手い。持ち前の愛嬌のせいか、いきなりこんな手を掴まれても、ナオヤさんなら許してしまう。そんな魅力がある人だ。
カイリュウさんが初めから、”近付くな”とずっと言っている意味が、ほんの少しわかる気がする。
「……っ、おい、お前、今サボんなって言うたばっかやんけっ、」
「せやからナオはええねんっ。なぁ、カイリュウばっかりやなくてナオともお喋りして?♡」
「あ、はい、もちろん…」
「……、あ、あかん。」
「え、?」
そう言って、カイリュウさんが俺の手を握るナオヤさんの手を小さく抓った。
「っ、い”、ったぁ!なにすんねん〜っ、」
「お前はすぐそうやって…っ、パーソナルスペースってもんがあんねん、いきなりベタベタすんなやっ、」
「なんやねんっ、仲良くなりたいだけやんか!」
「お前の仲良くなりたいは、意味ちゃうやろ…っ!」
「はぁ〜?!従業員と仲良くなって、何が悪いねんっ!」
「っ…ちょ、…落ち着いてください、」
2人の空気が少し変わったのを察知して、止めに入る。
俺が何を言っても優しく受け入れてくれていたカイリュウさんが、珍しく取り乱している姿を見て、”まだまだわかってへんな”というさっきの言葉が浮かぶ。
「あっ、…ランちゃんごめんな?もうっ、カイリュウいきなり怒んないでよっ、ナオこわ〜い。ランちゃん助けてっ、?」
「っ、えっ…、」
ナオヤさんがいきなり俺の腕にしがみついて、なんだかカイリュウさんを煽るように甘えてくる。
「っ、おまえ、ほんまに…っ、!」
「……っ、か、カイリュウさん。」
「…っ、…ん、?」
「あの、…大丈夫なんで…、全然…、」
ナオヤさんがこういうキャラなのは、すでに理解している。そりゃ、距離が近すぎるのはまだ慣れないけれど。
カイリュウさんはきっと、俺を守ってくれとるんやろうなというのも分かる。
でも、このままじゃ埒が明かなくて、俺が大丈夫だと言えば落ち着いてもらえると思って、そう言葉にした。
カイリュウさんと目が合うと、一瞬ムッと唇を上に上げた後、口を開いた。
「……、なら、ええ…っ、」
「…っ、あ、…カイリュウさんっ、?」
「……仕込み。してくるから、そこちゃんと拭いとけよ。」
「っ……、はい…、」
そう言って、そのまま調理場へと消えて行った。
声のトーンから少し怒っているような雰囲気を感じて、不安になっているとナオヤさんがぎゅっと腕を掴んでくる。
「……カイリュウ、素直やないなぁ。」
「えっ?」
「あっ、ううん?随分気に入ってるんやなぁと思って、ランちゃんのこと。」
「…っ、そう、ですかね、、?」
「そうやで?あんな怒ってるん久しぶりに見たわぁ、あ〜怖かった♡」
言葉とは裏腹に、なんだか楽しそうに俺の腕に顔を寄せた。
「あ、…ほんでさぁ、ランちゃん、ナオより年上やんなぁ?」
「え?そうなんですか?」
「うん、ランちゃんのが一個上やねん。…せやから、今日からナオって呼んで?♡」
「えっ、?!いや、それは…、」
「あと敬語もなしな?敬語使ったらナオ怒るから。」
「え、えぇ…っ、いや、ナオヤさん、それは…」
「あ!”さん”付いてるやん、じゃあ練習な?ナオ♡はいっ?」
「っ……、な、ナオ、、」
「きゃ〜♡キュンキュンした♡…あ、でも、ナオ呼びはセイちゃんだけやから、やっぱりナオヤにして?はいっ、もっかい♡」
「えっ、…、な、ナオヤ、?」
「ええや〜ん♡じゃあ今日からそれでよろしくなぁ?」
「ま、まじですか?」
「…敬語。出とんで。」
「っ……、!…ご、ごめん。」
「うん、じゃあそれでよろしくね?ランちゃんっ?♡」
「…うん。わかった…っ、」
「じゃあナオ、ちょっと出てくるから、戻るまでよろしくなぁ〜?」
パッ、と腕から離れ、軽い足取りで店を出ていくナオヤさ…、あ、……ナオヤ。
なんか、一瞬バリ怖かったな…。
朝からずっと色んな人にヒヤヒヤさせられて、少し疲れながらも、さっきのムッとしたカイリュウさんの顔が浮かんで、気になって様子を見に行こうと調理場へ向かった。
***
(KAIRYU視点)
ナオヤが頑なにランに触ろうとするのを見て、思わず苛立ってナオヤの事を抓ってしまった。
……あいつ、ほんまにランのこと狙ってるんちゃうやろな。
どうしてもそれを疑って、過剰に反応してしまう。
幼馴染やから、ナオヤのことはよく知っている。
昔から、欲しいと思ったらすぐに行動に出る。
ほんで、やることやったらおしまい、みたいな奴だ。
まぁ、友達としてはええ奴やねんけど。
爽やかで、かっこよくて、真面目やし、ちょっと生意気なとこもあるけど素直で。
そんな好青年のランが、ナオヤに引っかけられてポイ、なんてされてしまったらと不安だった。
まだランに会ったばかりなのに、同志やし、勝手に弟みたいに思ってしまっていて、変に心配してしまう。
「………さすがにお節介やったかな、」
1人、仕込みをしながらぼやいていると、ドサッ、と音がして、音がした方を見るとセイトが調理場の隅に荷物を置いていた。
「っ、え?セイト、まだおったんか?」
「今来たねん。帰ろうと思ったら、車にもう1個あってん」
「おい。しっかりせぇよ?」
「わかっとるわ(笑)……まぁ、あと、話に来てん。」
「誰と?」
「お前とやアホ。笑」
そう言うと俺に近づき、隣に立つと俺の手元を眺めた。
「何しとんの?」
「仕込み。おい、忙しいねんから、お前と話す暇ないねん。」
「……切り方ヘッタクソやな(笑)」
「はぁ?!うるっさいねん!!笑」
「何年やってんねん(笑)」
「お前、そんな話しに来たんならさっさ帰れや!」
「ぐふふっ(笑)まぁまぁ。…ちょっと貸してみ。」
「えっ…、」
そう言うと俺の背後に来て、後ろからセイトの手が俺を包むように回ってくると、包丁を握る俺の手を上から握り、俺の手を動かすように切り始めた。
慣れたような手つきで切っていくセイトに、思わず関心する。
「っ……、は?お前、上手いやんけ…っ、」
「せやろ?仕事でこういう研修もあんねん」
「へぇ…っ、」
「…ちょっとかっこええって思った?笑」
後ろからふいに顔を覗き込まれ、その距離の近さに急に照れくさくなる。
「…っ、アホ!調子乗んなや…っ?」
「……ん?なんか顔赤ない?笑」
ふふ、と笑いながら見つめてくるセイトを見て、普段は意識しないのに、その顔面の良さを目の当たりにして変に動揺してしまった。
「っ…、お前が暑苦しいねん…っ、!」
「い”だっ、!おいっ!笑」
肘で後ろにいるセイトのお腹を小突くと、ははっ、と余裕そうに笑った。
「照れてもうたん?可愛いな?カイリュウ。笑」
「っ、は?!照れてへ…っ、」
「なにしてんすか?」
「「え?」」
その声に2人で反応して横を見ると、ランが立っていて、つかつかとこっちに向かってくる。
「あ、ラン…っ、お前、ちゃんと拭いたか?」
「拭きました。そっちこそまだですか?」
「えっ?」
隣に来ると、セイトと同じように俺の手元を眺める。
「…おい、先輩に強気やな、ラン。笑」
「……まぁ、俺の方が上手いんで。」
「はっ?お、おいなんやねん、また生意気言うて…っ、」
セイトが煽るようにそう言うと、少し張り合うような言い方で言い返すランに焦ってしどろもどろになる。
「……カイリュウさん、貸して。」
「えっ、?」
「ええけん、早く。」
「っ…、!は、はい。」
なにやら見た事ない雰囲気を纏うランに、戸惑って離れると包丁を持って手早く切り始めた。
「…ふーん、まぁ確かにカイリュウより上手いな。笑」
品定めをするように、腕を組みながらランの手元を覗き込むセイト。
「……お仕事、大丈夫なんですか?」
「え?……あっ、あかん!もうこんな時間やんけ、ほんならカイリュウ、またな?」
「えっ?あ、お、おんっ、気いつけろや…っ?」
バタバタとセイトが慌てて帰っていき、途端に調理場がしん、と静まり返る。
ランの様子を伺うように、声をかけた。
「…ら、ラン、?大丈夫か?お前…、」
「……心配して損した、」
「えっ?」
ボソッ、と小さい声で何かを呟いた後、黙々と切り続けるランに少し焦りながらも話を続けた。
「……ラン、おい、どうしてん…っ、」
「カイリュウさんこそ、なんであんな怒ってたんですか?」
「えっ?」
「怒っとったやろ、ナオヤに。」
「っ…、いや…、てか、え?お前、ナオヤって…、」
「さっき言われたんですよ。ナオヤって呼んでって。」
「は、はっ?!…なんやねん、人がせっかく…っ、!」
「せっかく?なんですか?」
「……っ、な、なに怒っとんねん、?」
「……俺とナオヤを引き離したくせに、自分はセイトさんと引っ付くんすね。」
「っ……は、っ?…ひ、引っ付いてへ
「引っ付いとったやろ。なんで俺にやってって言わないんですか。」
「……っ、なんやねん、2日目のくせに…っ!」
「……俺より下手なくせに。」
「っ、……おまっ、ええ加減にせぇよっ、、?」
「……すみません。俺、負けず嫌いなんで。」
バンッ、と強めに包丁を置いたランに、びくっ、と身体が跳ねて少しだけ怯んだ。
「………仕込み、終わったんで。店開けてきますね。」
「っ……、お、…おん、、?」
そう言い残して調理場からさっさと出ていくランの背中を、呆然としながら眺めていた。
コメント
6件
きゃー!!いいわ!いいわ!素晴らしいわ!三角関係(withナオヤ)✨️なんかこっちが照れちゃう。スマホの温度上がりました、照れちゃったみたい。ラブタイプ忠犬ハチ公の本領発揮して永遠に続き待ってます!

楽しみにしてました! 三角関係がツボなので最高です💕
ランとカイリュウのターンがめっちゃ好きでここだけ何度も読み返してます笑 ずるいです、文章上手すぎ!笑 タクリュキももちろん好きですがこっちのターン好きなので期待してますね????(いつもありがとう。)