テラーノベル
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黒い霧に覆われた世界。
崩れ落ちる大地を駆けながら、草野心平と高村光太郎は侵蝕者の中枢を目指していた。
心平;出口はもうすぐです!
心平が前を指さす。
その先には、白い光を放つ扉が見えていた。
だが、その前に巨大な黒い影が立ちはだかる。
「ようやく来たか。」
低く響く声。
これまでの侵蝕者とは違う、強い力を持つ存在だった。
「お前たちの絆は、この世界では弱さでしかない。」
影が腕を振るうと、無数の黒い鎖が二人へ伸びる。
光太郎は心平を突き飛ばした。
光太郎;危ない!
鎖は光太郎の体に絡みつき、その動きを封じる。
心平;光太郎先生!
心平は駆け寄ろうとする。
しかし黒い壁が二人の間に立ちふさがった。
光太郎;来るな!
光太郎の叫びが響く。
光太郎;俺まで助けようとすれば、お前もここから出られなくなる!
心平;そんなこと……!
光太郎;聞け!
光太郎の声は震えていた。
光太郎;俺一人で十分だ
光太郎;これまで背負ってきたものも、この罰も……全部、俺が受ける
光太郎;だから、お前は生きろ
その言葉に、心平は拳を強く握り締める。
心平;違います
静かな声だった。
それでも、はっきりと響く。
心平;あなたが一人で背負う必要なんてありません
心平;俺はあなたを置いて帰りません
侵蝕者は二人を見て、不気味に笑った。
「愚かな選択だ。」
「ならば、その想いごと消してやろう。」
黒い闇が光太郎を飲み込み始める。
その姿が少しずつ霞んでいく。
光太郎;心平君
光太郎は穏やかに笑った。
光太郎;ありがとう
その一言だけを残し、闇の中へ消えようとする。
心平;嫌だ!
心平は黒い壁へ体当たりした。
一度。
二度。
何度弾き返されても諦めない。
心平;約束したじゃないですか!
心平;一人にしないって!
その叫びに応えるように、光太郎は目を閉じる。
心平の声だけが、暗闇の中ではっきりと聞こえていた。
心平;必ず迎えに行きます
心平;何度でも
心平;あなたがどこにいても
その言葉は、闇に沈みかけていた光太郎の心へ確かに届いた。
黒い空に、小さな光が一つ灯る。
侵蝕者はわずかに表情を歪めた。
「その程度の想いで、この闇を覆せると思うか……?」
心平は光太郎が消えた場所を見つめ、静かに武器を握り直す。
心平;思います
心平;だって、あの人はまだ諦めていない
黒い霧の奥で、かすかな光が再び輝き始める。
その光は、二人をつなぐ希望のように、闇の中で静かに揺れていた。
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