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ちょちょちょ翠っちゃん!?!? た、倒れた?これはやばいことになりそう。 取り敢えず翠っちゃんは休んでくれぇ
ローマ数字は多すぎるので英数字にしました( ᐛ )
その日は、
本当に“いつも通り”に始まった。
朝の教室。
チャイム。
ざわざわした空気。
翠は、席に座っていた。
ちゃんと。
いつもと同じ顔で。
(……大丈夫)
(今日は、何もない)
そう思わないと、
椅子に座っていられなかった。
後ろの席で、
誰かが立ち上がった。
———それだけで。
心臓が、跳ねた。
「……っ」
喉が、急に狭くなる。
(違う、違う)
(もう、いない)
頭では分かっているのに、
体が、全然言うことを聞かない。
視界の端が、
じわっと歪む。
息が、
吸えているのか分からない。
「……翠?」
前の席の子が、
振り返った。
その声が、
引き金だった。
世界が、
一気に遠ざかる。
耳鳴り。
床が、傾く。
「……っ、ごめ……」
そこまで言って。
翠は、
椅子ごと、前に崩れた。
ガタン、という音。
教室が、一瞬で騒がしくなる。
「え、ちょっと!」
「大丈夫!?」
誰かが駆け寄ってくる。
肩に、
手が伸びてくる。
その瞬間。
「———や、やめ……!」
翠は、
反射的に腕を振り払った。
呼吸が、完全に乱れる。
「さわら、ないでっ…!!」
声は、
自分でも知らないくらい、
切羽詰まっていた。
「やだ……っ、来ないで……!」
体が、勝手に後ずさる。
床に座り込んだまま、
必死に距離を取ろうとする。
目は焦点を結ばず、
指先は震え止まらない。
「だ、誰か……先生呼んで!」
「落ち着いて! 大丈夫だから!」
その“大丈夫”が、
今は一番、怖い。
息が、入らない。
胸が、
内側から潰されるみたいに苦しい。
(……もう、むり)
(がんばれない)
「……っ」
力が、
一気に抜けた。
声も、
抵抗も、
そこで途切れる。
翠は、
そのまま、崩れるように倒れた。
教室が、凍りつく。
「……え」
「動かない……」
誰も、
すぐに触れなかった。
さっきまでの拒絶が、
はっきり焼き付いていて。
廊下を走る足音。
先生の声。
「離れて! スペース空けて!」
その中で。
翠は、
もう、何も感じていなかった。