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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「あれ?」

目が覚めると真っ暗な闇の中に居た。ここは何処だ、と手を伸ばすも何か硬いものに当たって辞めた。下手に力を入れるとヒビが入ってしまいそうだから。

自分を閉じこめるコレは一体何なんだろう。まさか月人の新しい捕獲装置だろうか。それだと非常に不味い。まだ金剛先生に親(?)孝行出来てないし月人に捕獲された子達も取り返せていない。こんな所で終わる訳には行かないのだ。

さっきは辞めたけど、一生懸命力を入れればこの真っ暗なモノもどうにか出来るかもしれない。そう思い、もう一度手を───

「〜〜〜!〜〜?」

「ん?」

外から声が聞こえ、思わず手を引っこめる。誰か来てくれたのか?もしかして出られる?

「ーーーーーー!!!」

ボオオオオッッ!

「んおわっ!?」

バンッ!

出られると安心したのも束の間。何故か炎が当たりを包み、ビックリして硬いものを思いっきり蹴ってしまった。

「おわっ!な、何なんだゾお前!」

視界の中に移るは灰色のモフモフした生き物。前にラピスと一緒に図鑑で見たことがある。まさか、この生物は─────

「猫だーー!!!!」


***


あの後猫をモフり倒していたら何か烏の仮面を着けた変な人になんか知らんけど怒られて、黒い鏡と色んな人が居る部屋に連れてこられた。んー…やっぱり宝石じゃないよね?…でも月人でも無いし。もしかして人間なのかな?

『汝の名を告げよ』

「え?」

「何をしているんですか!早くフードを脱いで、名前を告げて下さい!」

烏仮面に言われた通りフードを脱ぐ。すると周りから何故か息を飲むような音が聞こえた。まあいいか、と烏仮面に言われた通り、鏡に向かって名を告げる。金剛先生が教えてくれた僕の名前。

「ヒスイ」

翡翠石である僕の名前。僕はこの名前が大好きだ。フォスフォフィライトみたいに言いにくくないし、何より金剛先生が付けてくれた名前。これで嫌いなんて言えば先生リスペクトのアンタークにぶっ飛ばされるかもしれない。まあアンタークより僕の方が硬度高いけど。

『……この者からは魔力が感じられない。よってどの寮にも相応しくない!』

さっきまで黙っていた鏡が喋りだした。まりょく…とかりょうとか僕にはよく分かんないけど、周りにいた烏仮面や他の人が騒ぎ出した。すると、今まで大人しくしていた猫がいきなり暴れだしてしまった。

「それならその人間の変わりにオレサマを入学させるんだゾ!!」

猫によって放たれた青い炎が当たりを包む。宝石だから炎によって砕けることは無いだろうがもし溶けると治し方が分からない為、炎と出来るだけ距離をとる。というか猫は喋る生き物だっただろうか。にゃーという鳴き声は出すらしいが、僕たちのような言語を使うとは記述されていなかった。まさか新種?ルチルに聞けば何か分かるだろうか?いやダメだ。ルチルなら即座にあの猫を解剖してしまう。あの愛らしい外見をした猫が解剖されていく様など絶対に見たくない。

「おい!そこのお前!さっさと制服を渡すんだゾ!」

「ん?僕のこと?」

そう聞くと猫は当たり前なんだゾ!と吠えてきた。可愛い。可愛らしい猫を眺めていると、横から声が聞こえた。

「オフ・ウィズ・ユアヘッド!!」

「ふなーー!?何だこれ!」

見ると猫にハート型の首輪が着いていた。どうやら赤い髪の可愛らしい男の子がやったらしい。真っ赤な髪がルビーの様に見える為、ルビーと呼ぼう。猫は首輪が着いても暫く暴れていたが、外に放り出されてしまった。あー、貴重な癒しが。

「魔獣は何とかしましたが……ふむ、君の処分をどうしましょうか…やはり手違いということで帰らせた方が……」

「ちょっと待ちなさい」

烏仮面の言葉を遮るかのように、凛とした声が響いた。待ったを掛けたのは紫と金の髪を持つとっても美しい人。アメトリンみたい。よし、この美しい人はアメトリンと呼ぼう。あれ、じゃあ烏仮面も変えた方がいいかな?

「その子、魔力はなくても闇の鏡に連れてこられたんでしょう?その時点で入学した様なものよ。」

「んん…ですが、寮が分からないとなると……」

唸る烏仮面を置いて、アメトリンはしっかりと僕を見て言った。

「寮のことは問題無いわ。この子、ウチで預かるから」



「えええええええええええ!!!!!????」

長い沈黙の後に出た烏仮面の大きな声。思わず耳を塞いだ。

「な、何故シェーンハイト君が!?」

「何故…?そんなの決まっているでしょう。こんな綺麗な子は絶対ウチが相応しいわよ!!!!!!!!」

またまた部屋に響く大きな声。思わず顔を顰めるが綺麗な子、と褒められたので悪い気はしない。アメトリンは余程ご乱心なのか僕の肩を掴んで揺さぶりながら喋っている。揺するのは別にいい。だが掴むのは勘弁してもらいたい。割れるかもしれないから。

「このっ…!こんな綺麗な髪と目なんて見た事ないわよ!!肌も白いし髪は天使の輪どころじゃ無い程輝いてるし目も光ってる!!!ああ、何で今まで耳に挟まなかったのかしら。こんな綺麗な子即座にモデルのオファーが来ても可笑しくないのに…!!…ハッ!まさか体型に問題が…?今は式典服で隠れてて見えないけどもしかして寸胴とか!?許さないわよこんな綺麗な顔して勿体ない!!!絶対ウチで矯正するから覚悟なさい!!!次いでに肌と髪のケアはどんなのにしているの?市販の?いやそんな訳ないわね。まさか天然水とかを…」

「おいおい落ち着けよ、うるせぇな…ふわぁ〜…」

揺さぶられる僕の肩を掴んで、アメトリンを止めたのはモッフモフな耳を持っている格好良い人。ピコピコと動く耳がさっきの猫のようで自然と口元が緩みそうになる。なんだっけ、こういう耳をケモ耳って言うんだっけ?ケモ耳の人はそんな可愛い耳に反して不機嫌そうに顔を顰めている。焦げ茶色の髪が茶色のインペリアルに見える。ケモ耳と悩む……よし、ケモ耳の人って呼ぼう。

「コイツがどの寮に行くにしてもどうだっていいが、魔力がねぇんじゃこの学校でやって行けねぇ。帰した方がいいだろ」

「…………………まあそうね…アンタ連絡先教えてくれない?」

「れんらくさき?」

「まさか持ってないの!?こんな原石どころか完成品をみすみす逃す訳には…!」

「はいはいはいはい!シェーンハイト君は一旦落ち着いてください!!さあ君!今のうちに闇の鏡の前へ!」

烏仮面に引っ張られながら鏡の前へ向かった。後ろの方ではアメトリンがケモ耳の人に抑えられてる。というかケモ耳の人もアメトリンも背高いな…。僕宝石だからこれ以上高くなれないんだよね。良いなあ。

そんな事を思っていると烏仮面が鏡に向かって何か呟き出した。大丈夫かなこの人。烏仮面はクルリと僕の方へ振り向くと、

「さあ!自分の帰りたいところを思い浮かべてください!」

そう、高らかに言ってきた。『帰りたいところ』は1つしかない。目を閉じて楽しい日々を瞼の裏に思い浮かべる。偶に月人が来てぶち壊されるけど皆でやれば何とかなる。ならなかった時もあるけど。

此処も色んな人がいて面白そうだが、僕は帰らなければならない。僕には仕事だってあるし相棒だって居る。ダイヤと一緒にボルツを笑わせる計画もあるし、今年のパジャマだって拝見してない。失った仲間をまだ取り戻せていないし、フォスを何とか頑丈にさせる為に勉強している真っ最中なのだ。何としても戻らなければならない。戻って皆と1万年以上生きるんだ。

「…………………………。……?」

「…………………………。……ん?闇の鏡よ。この者を元の場所へ……」

『……何処にもない』

「な!?そんな筈はありません!!」

鏡の無機質な声によって告げられた答えは、場を騒然とさせた。かくいう僕もおおいに動揺した。まさか帰れない?みんなの所に?え、嘘でしょ?新たな詐欺?

「ま、待って!僕は貴方によってここに呼ばれたんだよね!?帰り道が無いってどういう事!?」

『……』

僕が必死に訴えるも鏡は口を閉ざしたままで答える気が無いということが分かる。いやおかしいじゃん。そっちが連れてきた癖に帰れないって何?不良品?割ろうか?割ろうか????


***


この後何やかんやあってポムに行く監督生()までは想像したけど力尽きた。

あ、テスト終わったんで今週から活動再開しマス!


一応設定

ヒスイ・・・翡翠石の宝石。硬度は6半な為、割と頑丈だが余裕ぶっこいてたら割れる(実際割れた)。髪と目は緑色。ダイヤと同い年。初期フォス並に女子にも男子にも見える。初対面の人を独断と偏見で塗れたあだ名で呼ぶ。相棒もオリキャラ。



画像

五百式立ち絵メーカーさんのキャラを加筆させて頂きました。

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