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今回のイベントに関しては、サーバーに誰でもログイン出来て全員が襲って来る! という様なモノではないらしく。
複数の相手チームと、賞金首のチームが一つ。
選ばれたプレイヤーとぶつかり合う状態で、日を分けて何度も同じ事を繰り返すレイドイベントになるそうです。
私達からすれば、何回も公演がある役者にでもなった気分。
けどユーザー側からすると、この戦闘に参加する為の権利を奪い合う、トーナメント形式の決戦があるらしく。
イベント期間内は、ユーザー側は結構忙しい感じになるのだとか。
な、なんか凄くお仕事っぽくなってきた!
とか何とかちょっとテンションが上がってしまったが、それからはシフトの組み立て。
運営が提示した予定表で、参加不可能な日程や時間帯を教えてくださいねぇ~みたいな。
私以外の賞金首に関しては他のお仕事もあったり、予定が被ってしまっていたり。
この辺の調整をしながら、補欠要員を募るなどなど。
あとは毎度同じメンバーだと不味いのでは……? なんて思ってしまったが。
どうやらゲームの場合には、むしろ同じメンバーの方がユーザー側は対処しやすくなり、作戦が立てやすくなる影響で勝利に近付くんだとか。
なのでほとんどの日程を固定メンバーで、チーム交代制でわりとゆったりペースで回していくみたいだ。
『では、チーム分けとしてはコレで問題ありませんか? もちろん状況を見てチーム編成を変える提案をさせて頂く事はあるかもしれませんが、問題が無ければこのまま交代制で参加して頂く形になります。皆様の出番は休日の前夜、一番プレイヤーが集まりやすい時間帯ですね』
私が参加するチーム、決定。
6key、seven、4card、9K。
そして最後にもう一人、Dutch――
『はいはいはい! ちょっとイベントとは別件になっちゃうんですけど、珍しく全員揃ってるタイミングで“改名”の提案させて下さいっす!』
此方のチームの最後の一人が、何やら元気な声を上げて来た。
え、凄い。
会議中に個人的な案件進めちゃった人が居る……なんて、思わずポカンとしてしまったが。
『4cardが改名した事に乗っかるみたいでアレなんですけど……多分同じ事しようとしている人多いと思うんで、今の内に担当する“ナンバー”決めたいと思いまして! 個人で申請しておいて、他の人と被ったら不味いでしょう!?』
だそうです。
え、なにそれ、皆名前変えるの?
それじゃぁ私も、もう少し格好の付く名前に変えた方が良いのかなぁ……とか思っていれば。
『ウヒョォォ! そういうの好き! ガンガン行きましょう! ていうか皆でナンバーズやりましょうよ~! 無理に、とは言わないんですけど……ね、ね? 今居るのは、4679! スペル的にそれっぽい人も居ますけど、この機会にガツンと合わせて行きませんか!?』
テンションが爆上がりしているsevenが、キャーキャーと声を上げ始めたではないか。
あ、なるほど、そういう……。
だとしたら、私は変えなくても良いのかな?
多分sevenが言っている6って、私の事だよね?
名前に数字表現を入れよう、みたいな、そういう事だよね?
などと思っていれば他の賞金首からも「良いですよー?」とか、「OK、変えるわ」とか。
すっごく軽い返事が返って来たではないか。
賞金首は皆プロで、全員大人って雰囲気があったので……これは、結構意外。
案外軽いんだね、皆。
あぁでも、賞金首をやってる事は公開禁止だもんね。
そうなってくると、プロの方々でも元々愛用しているキャラネームとか使えない訳で。
もしかして、あんまり今の名前に愛着というか……執着する様な雰囲気とかはないのかな。
まぁ私も、変えろって言われたら変えるし。
『私は何番でも構いませんけど……皆様の希望を聞いてから、後で数字に合わせた名前を考えても大丈夫ですか?』
なんか、物凄く落ち着いた感じの女の人の声が聞えて来た。
賞金首、まだ女性プレイヤー居たんだ。
ちょっと気になる。
『むしろ希望の番号がある人から提示してもらえますか? あぁ、チャットでお願いします。こちらでまとめますね』
早乙女さんも乗り気らしく、そのまま話が進んでいくではないか。
凄く、お仕事~って雰囲気の会議だったんだけど。
なんか今では、皆揃ってワイワイしている感じになってしまった。
うん、何と言うか……こういうの、聞いてるだけでも楽しいよね。
相変らず、私は発言出来ませんけども。
◆
「という事で、今回ご一緒する事になりました! 本日改名したばかりの、“555”でっす! 皆様よろしく!」
会議の後、チームごとに顔合わせというか。
運営側が用意してくれた特別フィールドにログインした私達。
集まって居る面々は4・5・6・7・9の賞金首。
5番の人に関しては本日名前を変えたばかりなのだが……三つ数字が並んでるのに、そのままファイブって読むんだ。
「改めてよろしくでーす! 知ってる人は多いと思うけど、“seven”でっす!」
テンションを合わせて来たのは、いつも通りseven。
とはいえ、今は賞金首のアバターなので普段の派手派手スタイルではない。
なんかもう、“ナナ”さんとリアルのイメージが強すぎてこっちの方が違和感あるけど。
「以前のイベントの後、俺も改名したからな。改めて、“4card”だ。皆、よろしく頼む」
続いて声を上げたのはフォー。
こちらに関しては、練習の時も見ているムキムキスタイル。
なんかもう見た目からしてプロって感じの、重装備。
特殊部隊の隊員さんだーって雰囲気で、このゲームだとある意味特徴が薄いのかも?
などと、ちょっとだけ失礼な事を思ってしまったが。
「“9K”だ、よろしく」
最後の一人は、物凄くクールな御様子。
こちらも外見を拝見したのは初めて。
なんというか……特徴的なんだけど、特徴が無い……みたいな?
特殊部隊っぽい格好なのに、4card程派手じゃないって言うか。
ちょっと不思議な服と装備をしているではないか。
「なんだ? シックス。俺のアバター、何か変か?」
ジロジロ見ていたのがバレたらしく、彼からはそんな声を掛けられてしまった。
「す、すみません! なんだかちょっとフォーさんとは違う装備だなって、気になりまして……」
慌てて答えてみると、相手は自分の装備している物品を、その場でグルッと回って見せてくれた。
あ、口数は少なそうだけど親切だこの人。
私の取り留めのない質問にも、ちゃんと答えてくれるみたい。
「役割によって、こういう物も結構変わって来るんだ。4がアサルト、俺はスナイパーだからな。興味があるのなら、また別の機会に教えよう」
「あ、ありがとうございます! エ、エヘヘ……というか、そのままナイン・ケーさんって読むんですね。てっきり“クッキー”とか、そういう読み方なのかと……」
などと、緊張のあまりおかしな事を口走ってみれば。
555とsevenには大笑いされ、4cardと9Kには小さくクククッと笑われてしまう始末。
は、恥ずかしい……やっぱり私のネーミングセンスはおかしいんだ。
「なるほど、それも面白かったかもな。だが俺の場合は田舎の方言だよ」
「方言、ですか?」
「そうだな、例えば……シックス、お前だけ自己紹介し“ないんけぇ”?」
急に変なイントネーションになったナインが、そんな事を言って来た。
一瞬ポカンとしてしまったが……。
「あぁ! “無いのか?”、の方言って事ですか!?」
「そ、適当だろ? それでシックス、あとはお前だけだぞ?」
コレか! とばかりに声を上げてしまったが、ナインに言われている通り私自己紹介して無いじゃん。
顔合わせなのに、いつまでも一人だけ名乗らないって、何やってるんだ。
だからいつまでも空気の読めないボッチなんだよ。
「す、すみません! 自己紹介が遅れましたが、6keyです! なんか、他の人からは“シックス”って呼ばれる事が多いです! 私はあんまり強くないんですけど……と、とにかくよろしくお願いします!」
慌てて頭をブンブンしながら自己紹介してみると、これまた爆笑するセブンとファイブ。
な、なんで? 私全然面白い事言ったつもりないのに……何か、変だった?
とか何とか、更に困惑してしまったが。
「す、すご……噂には聞いてたけど、オモロッ! 超無表情の渋いおじさんが、滅茶苦茶慌ててる上に喋るとものっ凄く丁寧口調っすね!? 更には声も渋いのに、口調はちゃんと女の子!」
「戦闘中は“シックス”って感じなのに、喋ると急に“ムッツキー”の方が似合うのズルいよねぇ……あぁもう、相変わらず可愛いなぁシックス」
とりあえず、セブンはいつも通りだけど。
ファイブとナインにも友好的? に受け入れられた様で良かった。
フォーに関しては、もはや保護者みたいな雰囲気でニコニコしてるし。
その後それぞれの得意分野とか、そういうお話やら雑談を交わした結果。
“555”という名前は、他所の国で笑っている事を意味するネットスラングの様なものだと教わった。
あと、スピリチュアル的な意味だと凄く良い数字なんだとか。
ヘー、色々考えるなぁ……などと思いつつ、関心してばかり。
なんかもう、ガンサバを始めてから知らない事をいっぱい勉強している気がする。
そんでもって……私、チーム組みました!
仲間に、入れてもらえました! 凄い、こういうイベントでボッチじゃない!
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