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mogyumogyuGemi
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mogyumogyuGemi
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#AI
みら

80
みら

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第十九話 朝の司書たち
図書館が、澪を受け入れた。
その事実は、静かだけど大きかった。
本棚の星々が、やわらかく明滅している。
まるで。
「ようこそ」って言ってるみたいに。
⸻
澪は、空中に浮かぶ登録文字を見上げていた。
『……わたし』
胸元の恒星核が淡く光る。
『ここに、いていい』
司書が静かに答える。
「ええ」
短い沈黙。
それから。
「少なくとも、この図書館はそう判断した」
澪は、その言葉を何度も確かめるみたいに聞いていた。
たぶん。
“存在していい”なんて、長い間誰にも言われなかったんだ。
⸻
朝の光は、さらに広がっていた。
今まで夜色だった本棚が、淡い金色に染まっていく。
不思議な景色だった。
夜の図書館なのに。
星の場所なのに。
ちゃんと朝が来ている。
⸻
私はふと司書を見る。
「ねえ」
「なんですか」
「司書さんって名前ないの?」
彼は少し固まった。
澪もこちらを見る。
「ずっと“司書”って呼んでるなって思って」
彼は珍しく困った顔をした。
「……必要ありませんでしたから」
「でもあるでしょ?」
沈黙。
長い沈黙。
やがて彼は観念したみたいに、小さく息を吐く。
「伊織です」
「伊織」
澪が静かに繰り返す。
その響きが、図書館に溶けていく。
⸻
伊織は少し気まずそうに目を逸らした。
「名前は、記録管理に向かない」
「なんで?」
「感情が混ざるからです」
私は思わず笑う。
「この図書館、感情だらけじゃん」
伊織が少しだけ言葉に詰まる。
澪が、小さく笑った。
本当に少しだけ。
でも。
その笑い方はもう、ノイズじゃなかった。
⸻
その時だった。
図書館の奥で、何かが弾ける音がする。
パリン。
私はびくっと肩を揺らす。
「なに!?」
伊織はすぐ振り返った。
でも次の瞬間、目を見開く。
「……まさか」
本棚の一角。
そこに並んでいたガラス瓶のひとつが、内側から光っていた。
白い光。
やさしい記憶色。
そして。
瓶の中から、小さな声が聞こえる。
『……もしもし』
私は息を止める。
「え」
『だれか、いますか』
伊織が低く呟く。
「自発発声……?」
澪も驚いた顔で瓶を見る。
すると周囲の瓶たちまで、淡く共鳴し始めた。
パリン。
またひとつ、瓶が光る。
『ねえ』
パリン。
『ここ、どこ?』
パリン。
『まだ、消えてなかったんだ』
私は呆然と立ち尽くす。
今まで、この図書館の記憶たちは“保管物”だった。
ただ保存されるだけの星。
でも今。
彼らは、自分から声を上げ始めている。
⸻
伊織の顔が、少し青ざめる。
「……定義更新の影響か」
「悪いこと?」
「分かりません」
彼は本棚を見上げる。
声が増えていく。
小さな囁き。
眠りから覚めるみたいな声。
「ただ」
伊織は静かに言った。
「この図書館は、もう以前と同じ場所ではない」
⸻
その瞬間。
中央恒星庫の小さな恒星が、ひときわ強く瞬いた。
そして。
私は確かに聞いた。
あの穏やかな声を。
『――おはようございます』
朝の図書館に、はじめて響く挨拶だった。
コメント
1件
みぃです🤍🥀 読ませていただきました。 澪が「ここにいていい」って図書館に受け入れられたの、すごくじんわりきました…。長い間誰にも言われなかったんだろうなって思うと、胸がぎゅっとなる。伊織、名前聞かれて固まるところ可愛かったです。『感情が混ざるから』って言うけど、もうこの図書館は感情だらけですよね。 そして瓶の中の記憶たちが話し始めた…! 今までただ保管されてただけの星たちが、自分から声を上げるって、なんだか希望みたいで。最後の「おはようございます」、朝の図書館に響く挨拶、すごく綺麗でした🌙