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ゆぴ
67
「………… 」
「…今は、我慢してね。出来そう?」
「俺…何も言ってないけど」
「翔太は口より目の方がお喋りだから。あぁ、口は上の口ね」
「~…う、うるさ。今はっていつまで。あと何分?」
「ふふ、意地悪してごめん。そんなに拗ねないでよ…可愛過ぎて俺が我慢出来なくなる」
「涼太こそ格好良さで煽るな。んっ…〝今は〟これだけで我慢する」
「……忍耐力が物凄く鍛えられそう」
「ふははっ、俺の分も倍で鍛えろよ」
渡辺の隣へ腰を落とし今し方触れた唇を指腹でなぞる。忍耐力といったのは冗談ではなく、紛う事なき本心。拗ねて見せる愛らしさに、我慢をしてくれる健気さ。それのどれとも違い奪って来た口付けは甘さが尾を引き…情事の時の小悪魔さがありありと宮舘の脳裏に甦ったからだ。
小悪魔らしい痴態に宮舘は散々狂わさせられて来た。早朝だろうが真っ昼間だろうが、時間も場所も関係なく。始めはリードをしていても、妖しく乱れていくにつれ握った手綱は何時しか渡辺の手中。欲しくて欲しくて堪らなくなって、自制が効かなくなるのは決まって宮舘で、少々どころじゃない無茶をさせてしまった時もあった。それでも、痛みの涙を流していても、慈愛と初々しさと色気とで包み込み骨抜きにされてしまう…宮舘にとって渡辺は、とっても可愛い小悪魔。
勿論それは情事以外でもそう。庇護欲を掻き立てられるのに実は頼もしかったり、宮舘にはない魅力に溢れた渡辺を尊敬し、一人の人として愛していた。
「だって…俺の恋は翔太で始まって、翔太で終わるんだから」
ムーディな音楽に似合いのシチュエーションと、これまた似合いな美味い酒。完全に酔いしれていた渡辺は不意打ちの告白に美声を放った。ちょいひっくり返り付きで。
「は!?なっ…んだよ急に。だってって接続詞おかしくない?」
「翔太の事を考えててついポロっと…ね。気にしないで」
「は無理なんだよっ!んっん…~それってあの、あのぉ……プロポ……ず」
「え、プロポリス?のど飴ならあったかも…あ、良かった、合ったよ。はい、どうぞ」
立ち上がり腕を伸ばしてカウンター裏を探る宮舘。こっ恥ずかしくて聞き直すなんて出来っこない渡辺は、見えない獣耳を垂らして飴入り小袋を受け取るしかなかった。
「~…なんであるんだよ」
「ちょうど一個残ってて良かったよ。翔太の声綺麗で大好きだから、その飴が役に立つと嬉しいな」
「ああぁぁ…ありがと。くっ…~ボトル貸せっ!飲んで飲んで飲みまくってやるっ!!」
「どういたしまして。でも…ほどほどでね?翔太には体を大事にして欲しいし…それに、翔太だけの体じゃないし」
「お、お前なぁ…俺を何回恋に落としたら気が済むんだよっ!もう涼太で俺いっぱいなの、これ以上は溢れちゃうの!もう~わかれっへ~…天然たらひぃ」
「呂律が怪しくなって来たね。もう水にしておきな、翔太……翔太?」
拝めたらば幸運、そのワインボトルはあらかた渡辺の胃の腑へ吸い込まれた。それはいい。だが結果が…意識を保っているのが己一人というあり様であり、酔っ払って寝こける人物が増えた先に待っているちょっとした力仕事な訳で。宮舘はそれでも微笑みを寧ろ深めて残る美酒をゆっくり飲み干すと先に潰れたピンク髪を背におぶり、居室である二階へ続く階段を慎重に上がり進む。ベッドへ寝かせ掛布で寒さ対策をしたら一仕事終わり。
二仕事目はお姫様抱っこから。腕揺り籠状態の渡辺は、すよすよお寝んね中で全く気付かない。宮舘のラヴメーターがきゅうんと上昇し、白い額へ唇を寄せたまま囁いた。
「…プロポーズはね、大輪の薔薇を持って、膝を着いてって決めてるんだ。だからさっきのはプロポリスで正解…なんだよ」
ゆらゆらが心地良さそうに寝息を奏でる渡辺に届いているかどうか、宮舘に知る術はなかった。
渡辺はぼ~んやり目を開いた。鼻息が掛かりそうな程近くにいる顔…知ってる、佐久間だ。
佐久間はぼ~んやり目を開いた。鼻息が掛かりそうな程近くにいる顔…知ってる、翔太だ。
思考がシンクロしていると知ってか知らずか、二人は視線を重ねたまま同じ方向へ首を傾げた。瞬間、みるみる瞳が大きな丸になっていく。
ガバっ!
勢い良く跳ね起きて漸く一つのベッドの上だと認識し、両手で衣服の有無を確かめる。着崩れ程度でホッと安堵の嘆息を吐いたのも束の間、とんでもない声量で叫んだ。
「「ええええぇぇーーっっ!!」」
ドタドタっと荒々しい駆け音を鳴らしてキッチンへ迷いなく向かう。アンサー、良い匂いがしているから。ここまで二人はシンクロしっぱなし。前世では双子だったのかもしれない。
「いたっ、だてっ!起きたらさぁ、翔太が横にいたんだけどどーゆー事??」
「あっ、俺が先に聞きたかったのに…!涼太、もしかして俺達運んでくれたの涼太?ありが、と」
「あ…のさ、指一本!絶対に指一本触れてないから信じて!いや、信じろくださいっ!」
「…俺が涼太以外に触らせるワケないじゃん、例え酔ってても。~…お願い信じて涼太っ!」
三人分の朝食を拵えている最中の宮舘は、隈がうっすら見える目元を細め黙って微笑んだ。
~Fin~
コメント
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ゆり組からの最後江戸川…最高でした🥹いつかゆり組のプロポーズ現場を見たいものです…🌹 ❤様、長い夜でしたがお疲れ様でした!!
それぞれの大好きが詰まってました最高✨✨✨
