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「仕事が終わったら、話がある。残れよ、レインくん」
お客様を送り出す直前、かなり不機嫌な顔の大倉さんに、突然告げられた言葉。
――俺、何かやったのか!?
「……分かった。いつもの場所で待ってる」
ビビリながら答えると、大倉さんは顔色を曇らせたまま肩をすくめて身を翻し、その場を足早に去って行く。不穏な空気を身にまとう大きな背中を見て、不安に駆られるしかない。
いちいちビクつくのは、自信のなさの表れ――好きでいてもらいたいのに、どっかであの人が嫌うことを、知らぬ間にやってしまう俺。
それがいつも、ケンカの種になった。
「同じ職場で、顔を突き合わせるのは幸せなんだけど、同時に不幸せでもあるよな」
ふるふる頭を振って気分を変えてから、口元に笑みを湛え、お客様のところに行き、見送るべく傍に寄り添ってあげる。
んもう、不安な心中を隠すのに、必死さ満載
恋愛って正直、めんどーなことの連続なのに、好きなヤツができると、そんなめんどーなことさえ、いいやって思える。
――愛の力って、マジネ申レベル!!
なぁんて、元ナンバーワンキャストの俺が言っても、信憑性が紙っぺら同然なんだけどな。