広い海、広い砂浜、子どもの話し声_。
何か忘れてる。
大切な何かを、忘れてる。
「 颯太くん! 」
少女は少年の名を呼ぶ。
少女が呼んだ少年の名は、ノイズがかかってよく聞き取れない。
「 なあに?結衣ちゃん 」
「 結衣ね、颯太くんの事大好きだから、颯太くんの事結衣の旦那さんにしてあげる! 」
まただ、ノイズが入った。
少女は少年に自慢げに言い張る。
「 え!本当? 」
「 僕も結衣ちゃんのこと大好きだから結衣ちゃんと結婚したい!! 」
少年も少女に言う。
「 じゃあ約束ね! 」
そう言って二人で小指を絡め、約束をした。
_これ、いつの記憶だっけ。
_この記憶は何…?
_これは、私と誰…?
目が覚めると、病院にいた。
「 …此処、びょう、いん…? 」
辺りを見渡すと、泣いている母と、安心したような顔を浮かべる医者がいた。
「 結衣、3日間も意識が戻らなかったのよ 」
「 それより、颯太くんの事は思い出せた? 」
母がそう言った。
颯太くん…?誰だろうか。
全く身に覚えのない名前に私は首を傾げる。
「 颯太くんって、 」
「 誰だっけ? 」
そう言った瞬間、病室の扉が開くと、見知らぬ男の人が入ってきた。
「 結衣!! 」
私の名前を呼んで_。
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