「白斗っ、んんっ、ぁあ――」
「かわいい声で喘(な)けるな。もっと聞かせてくれよ。お前のその甘い声。めっちゃそそられる」
耳たぶを甘噛みされた。チクリと伴う甘美な痛みに酔いしれていると、耳の中に白斗の舌が侵入して舐め回された。くすぐったいのと気持ちいいところの両方を責められて堪らず大声で啼いた。
彼の与えてくれる快楽に身を委ねながら、上げたこともない悲鳴のような声で罪の歌を歌う。
「律」
低い声で囁かれた。
「かわいい」
光貴には行為の最中でさえ、ひとことも言ってくれなかった言葉。
「めっちゃかわいい」
彼にそう囁かれるだけで気絶するほど脳が揺れた。
嬉しくて、身体が熱くて、熱に浮かされたように身体に浮遊感がる。酔っているせいなのか、それとも目の前の白斗に堕ちてゆく夢の中だからなのか、全然判別がつかない。
白斗の舌がそのまま顎下のラインを這ってゆく。喉元を彼の柔らかい舌が行ったり来たりするので、噛みつかれそうな気がしてならない。
これが夢なら、新藤さんの姿に扮した白斗に歌いながら噛み殺されてもいい。
いっそこのまま殺して、地獄へ連れて行って。
この舞台上で快楽の業火で焼いて、罪人として堕としてよ。
詩音を失って生きる希望も失くした私には、お似合いの行く末だから。
「ん、んんっ、は……ぁぁ……」
熱を帯びた吐息が歌うようにこぼれていく。
次はどんな歌を歌わせてくれるの?
私をどうやって乱し、狂わせてくれるの?
「律」
どうして名前を呼ばれるだけで、こんなにも胸が高鳴り、情熱の炎が燃え盛るのだろう。感じたことのない高揚感に支配されてゆく。
「旦那はどうやってお前を愛すのか教えてくれよ」
乱れた衣服を掻き分け、鎖骨に舌が這わせられた。
彼は暫く私の様子を愉しみながら、たまに鎖骨辺りをきつく吸い上げる。
その度に、ひりひりと焼け付くような熱く鋭い痛みがピリっと走る。
白斗はまるで私の身体にマーキングするように、赤い罪の痕跡を残していった。
熱を帯びた彼の唇は、赤く染まっていた。それが異常に艶めかしく見える。
彼のそれが私の身体を這いずり回っているのだと思うだけで、全身がこれ以上ない位熱くなる。
息の上がっている私を満足そうに鋭い目で見つめた白斗は、私の上半身を覆っていた乱れた着衣に手をかけ一気に剥いた。
冷やりと露になった肌が外気に触れると途端に夢から覚めたように感覚が研ぎ澄まされる。急に恥ずかしくなったので、思わず両手で胸を隠した。
「隠すな」
両腕を捕らわれて押し上げられる。白斗の前に半裸の姿を晒す日がくるなんて。
羞恥に震えた。
「どうやって旦那に愛されるのか俺に教えろ。それ以上にもっと愛してやるから」
ぎゅっと目を瞑って首を振った。こんな風に辱められるなんて……。まるで乙女ゲームのヒロインみたいに、ドSの俺様男に小粋な言葉で辱められながら、愛を囁かれているようで。
それがゲームキャラの俺様男どころか、白斗になりきった新藤さんが私を辱めているなんて。
「他人のオンナのお前を
このまま 縛って
誰にも触れさせないように
できりゃいいのに――」
あ、これはLiar。RBの曲だ!
私のためにライブをしてくれるって……本当なんだ。白斗が歌っている。
身体を攻められながら彼の歌を聴くなんて、私にとったら最高の贅沢でしかない。
もうこのまま死んでもいいと思うほどに、熱く身体が震えた。
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