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※本家とは全く違う世界線の話
※クロス君獣人化(人じゃなくてスケルトンだけど)
※大幅な年齢操作あり(クロス10歳・エピ30歳)
※クロエピになります
以上が大丈夫な方はどうぞ
「え・・・?」
「・・・」
雪山から帰る途中のことだった。
激しい吹雪の中、目の前に一匹の子犬の獣人が倒れているのを。
しかし、見た目は獣人、というよりも獣人とスケルトンのハーフのようだ。
そして、右の頬には赤い傷がついている。
俺は、その子犬の獣人を連れて帰ることにした。
あんな寒い中、なぜ一人で倒れていたのか。親はどこにいるのか。
そんなことを考えるより先に、体が動いていた。
こんなところに放り出されていたら凍え死んでしまう。
それに、もう少しで体全体が雪に埋もれるところだった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
息が荒い。体も冷え切っている。かなり危険な状態だ。
咄嗟に自分の防寒具の一部を外し、それで体全体を覆う。
見つけたのが山の麓寄りの場所でまだ良かった。
もし山の中腹とかだったら、とっくに息絶えていただろう。
「頑張れよbruh、もう少しだぜ……!」
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「はぁ、はっ・・・」
何とか家に帰ってきて、俺はしばらくその獣人につきっきりで手当をした。
ただ、体力の消耗が激しく、何度も生死の境を彷徨っていた。
それでも、必死の手当てでなんとか回復してくれ、ついに目を覚ましてくれた。
「おお!目が覚めたのかbruh!」
「・・・あなたは?」
「あぁスマン、自己紹介が遅れたな。俺はエピック。ただのしがないスケルトンさ」
「そう、ですか・・・」
「bruhの名前は?」
「俺の、名前・・・えーと、確か……クロス・・・」
どうしてそんなに歯切れが悪いんだろう。見るからに子どもなのにあんなところに放って置かれてた・・・って事は何か複雑な事情があるのかもしれない。
「そうか、クロスって言うのか。いい名前だなbruh!」
「え、あ・・・ありがとうございます・・・?」
「そんで、色々聞きたいことがあるんだがいいか?」
「あっ、は、はい」
「まずお前さん、なんであんな猛吹雪の日にあの雪山にいたんだ?」
「えっ、嘘だろ・・・そこまでするか・・・?」
「・・・やっぱり、bruhなんかフクザツな事情があるんだろ」
「ッ・・・あ、え……と」
「なぁに、ここにゃ俺一人しかいない。どんな事情があったとしても笑ったりゃしないさ」
「・・・」
そう言うと、クロスは口をつむぐ。
なにか話したげな表情ではあったが、無理強いは彼に良くない。ただ、何らかの事情によりあの雪山にいたようだな。
「次だ。bruh、親はどうしたんだい?」
「親・・・?」
おっ、と・・・これはちょっと地雷を踏み抜いちまったかもしれないな。
「俺には、親なんていないよ」
「heh・・・そうか、そりゃ悪かったなbruh・・・」
「・・・」
「ま、いずれ元いた場所に返さなきゃな。それまでここでゆっくりしていけ、クロス」
「あ、ありがとう・・・」
((ガチャッ……バタン
とりあえず生き延びてくれたようで良かった。喋れるまでに回復していたようで安心した。
にしても、クロスは一体どこから来たんだろうか。あの雪山にいたこと、そして獣人であることからして・・・きっと、ここから一番近い獣人の集落からだろう。
彼が自分の過去について口を閉ざすのは、「獣人とスケルトンのハーフ」だったことで何かと辛い目に遭っていたからだろう。獣人は排他的な種族だ。自分たちと違う種族、ましてや獣人とスケルトンの混血であるクロスはどうにも受け入れがたかったのだろう。おそらく、「親はいない」という発言も、異種族同士の禁断の関係が獣人種族にバレて、両親ともに殺されてしまった・・・と、そんなところだろうか。あくまでも、ただの予想に過ぎないけど。
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ー数日後ー
((コンコン
「クロス、今いいか?」
「あ……い、いいよ」
((バタン
「もう体は回復したか?」
「うん」
「そりゃ良かった。それでな、お前に一つ聞かなきゃならんことがあるんだ」
「?」
「なに、クロスが前まで住んでいた場所を教えてもらいたくてな」
「え・・・」
「あーー・・・やっぱり、言いづらいよな。別に今じゃなくてもいい。また落ち着いたら言ってくれ。それまで待っておくからな」
「・・・・・・・・・・・・だよ」
「ん?」
「すぐそこの……ここから一番近い獣人たちの村だよ」
ビンゴ。やっぱりそこからだったか。
「そうか、じゃぁ・・・帰すか」
「帰すって・・・どこに・・・?」
「クロスの村に、お前を送り届けなきゃいけない」
「は・・・?どうして・・・!?」
「そういうルールなんだ。分かってくれ、bruh」
「嫌だよ・・・皆にいじめられるのはもう勘弁だよ・・・!」
「いじめ・・・?」
まさかここまで俺の予想通りだったとはな。
「やっぱりかぁ、bruh」
「やっぱり、って・・・?」
「獣人ってのはな、他種族に排他的だけど、種族間の絆がとぉっても強いんだ。だけどお前さん・・・獣人とスケルトンの混血だろ?」
「ッ……」
「そのことが原因で周りからいじめられて、それで最終的にあの雪山に放り出された・・・違うか?」
「・・・周りからいじめられてたのは合ってる、でも……まさか吹雪の中に放り出すなんて、思ってもいなかった・・・」
多分、殴られて気絶してる間に運ばれてたんだと思う。と続ける。
だけど、その割には体に目立った外傷はない。それを指摘すると。今度はソウルを取り出す。
「これ、見て。俺のソウル」
「おいおい・・・何だよこれ、大丈夫なのかよ・・・」
クロスが取り出したソウルは、赤と白の2色のソウル。あちこち傷だらけで、一部分が欠けていた。
「俺が殴られたのは体……も、ちょっとあるけど、でも、大体ソウル自体を殴られてたかな」
「よく割れなかったな・・・」
「こういうときだけ自分の体の頑丈さを恨んだよ」
・・・これ、元の場所に返したところで、って感じだな。
もしクロスをこのまま集落に返したら、またいじめが続くだろう。
「獣人」という種族の習性上仕方のないことではあるが、それにしたってここまでするだろうか・・・
「・・・クロスは、あの集落に帰りたくないか?」
「うん、絶対に嫌だ」
「絶対に帰らない」という強い決意をたたえた目を見て、俺も決心した。
「じゃぁ、俺がこの町の長に掛け合って、例外として認めてもらえるように説得するよ」
「! 本当!?」
「あぁ、待ってろよ。bruh」