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🩷「特別やないなら,恋人やめません?」
その瞬間空気が凍った。
言ってから後悔するけど、もう止まらない。
大きく目を見開いた美咲さんの唇がわずかに震える。
🧡「それ、…どういう意味?」
🩷「そのまんまです。」
グッと肩を押されて壁に背中を押しつけられる。
🧡「簡単にやめられると思う?」
その声は微かに掠れていて、彼女が必死に守っていた完璧な“仮面“にひびが入っていく。
🧡「毎日未渚美のことを考えているのに。」
初めて触れる彼女の内なる弱さにどうすればいいのか分からなくなってしまう。
🧡「触れたくなるのを必死に我慢しているのに。」
気づけばもう額が触れるほどの距離まで近付いた。
一歩また一歩と近づいてきた彼女との距離にどんどん心臓が高鳴っていく。
ただ私を必要としてくれる美咲さんの姿だった。
🧡「でも,…私は強くなきゃいけない。」
身体を引こうとする美咲さんのネクタイに手をかける。
グッと力を込めて引けば、唇が重なり合った。
🩷「強いままでいいんです。」
🩷「でも、恋人なんやから2人の時くらい甘えてください。」
沈黙の後。
彼女の肩がほんの少し落ちる。
それと同時に未渚美の背中に美咲の手が回った。
🧡「…ずる。」
次の瞬間、今までで1番強く抱きしめられる。
それは縋るように未渚美を求めているように感じた。
🧡「限界だったの。未渚美に触れないで平然としてるフリするの。」
耳元で小さく呟かれた言葉はあまりにも弱かった。
優しく頭を撫でれば、背中に回る腕がぎゅっと強まる。
🧡「皆の憧れでいなくちゃいけない。でも、未渚美の前ではただの恋人でいたい。」
お互いの頬が触れ合う。
彼女が零した弱さに胸が熱くなる。
🩷「今はみいだけの美咲さんでおってください。」
小さく笑って、その後どちらからともなく唇が重なり合った。
優しくて、でもどこか必死だった。
離れた後も美咲さんは頬を寄せたまま動かない。
🧡「明日からはまたちゃんと関係を正す。」
🩷「はい。」
🧡「でも、夜は未渚美を独り占めさせて。」
少し照れたような彼女の声は少しずつ小さくなっていた。
🧡「、…甘え過ぎかな?」
🩷「…もっと甘えてください。」
🧡「じゃあ今夜はもう少しこのままでいさせて。」
2人の間を静かな時間が流れていく。
言葉は少ない、でも体温がちゃんと伝わる。
明日からもきっと誰かが彼女に憧れている場を近くで見るのだろう。
でも、今この瞬間だけはその強さも、弱さも、独占欲も全部。
未渚美の腕の中にあった。
end