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眠るのは怖い
寝ている間に死んでしまっていたら?
悪夢で殺されてしまったら?
憂鬱な明日が来てしまったら?
そんなことを心配してしまう。
けど、それは私が死にたいと思っているから。
心のどこかで、寝ている間に死んでしまいたい、楽に死にたい、なんて考えているから、死ぬことを心配してしまうんだと思う。
まあ、心配なんて表上の綺麗事で、ただ心配している自分に堕ちているだけ。
ある日友達に言われた、「大丈夫?」
そんなことを聞かれて、「心配してくれている」なんて感心してしまってはだめだ。
大丈夫?なんて聞かれても、大丈夫と答えるだけだろう。
なぜ人というものはすぐに情を訴えかけてくるのだろう。
でも、ちょっと変わったあの娘はちがった。
私がしゃがみ込むと、無言で薬を出してくれて、椅子に座らせてくれる。けど、それ以降何か言うとか、何かするとかはなくて、他の友達と話しに行く。
これが冷たいと感じるかどうかは人それぞれだが、私にとっては1番優しさを感じる行動だと思う。
彼女は明るくて、優しくて、泣き虫で、怖くて、いろんな面を持ち合わせている。当然、人は様々な面を持っているだろうが、彼女は人一倍そういう面を持っていた。
いや、人によって面を作り出していた。
それはどういうことか。
例えば、大人しくて静かなAさんと話している時は、声のトーンは優しくて、繊細。
野球部のBくんと話す時は、ハキハキしていて、活発に動く。
まだあまり話したことの無い人には、黙ってその人の性格を理解しようとする。
そんな彼女は、いったい自分の本性をいつ出すのだろうか。そんなことを考えていると、彼女がとても哀れで、美しくて、残酷で仕方がない。
そして、そんな彼女の優しさを受け入れられない自分もまた、滑稽で、醜くて、惨めで仕方がない。
だからまた、私は縄に手をかけ、刃物を首に突き立て、薬を手に取り、眠りに落ちる。
眠るのも、案外悪くないな。
こうして、私の物語の第1章は終わる。
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