「お、今日は1番ノリ〜」
 
 って言っても特にすることも無く、椅子に座ってスマホを見る。
 話が変わるが、最近になって珍しく仁人が甘えたになる時がある。
 そういう時は大抵、前日の仕事が夜遅くまで押した時か、集合時間が早い時。
 普段あんなに素っ気ない態度の仁人がまるで赤ちゃん返りしたようになって、しかもその相手をするのは俺。
 くっつかれるのが嫌とかそんな気持ちは一切なく、ただ愛おしい思う。
 そんな甘えた仁人を思い返してニマニマしていると、扉が開いた。
 
 「お、仁人おはよ」
 
 「…」
 
 「…え、無視?」
 
 挨拶を無視されたかと思えば、持っている荷物を置いて、俺の膝の上にまたがり、そのまま体を預けてきた。
 話しかけてくることも無く、無音の状態でただくっついているだけ。
 
 「あれ、今日は珍しくデレ期ですか? 」
 「…」
 
 「…。じん、ちょっと顔見せてみ」
 
 そう言って、仁人の体を起こし、顔を包んで俺の前に持ってきた。
 眠たそうな目と酷いクマ。
 いかにも、昨日の仕事が大変だったことが分かった。
 
 「じん、みんなが来るまで少し寝てな。集まったら起こしてやるから」
 
 「ん…おやすみ…」
 
 「おやすみ」
 
 再び俺にもたれかけさせて、優しく背中を叩く。
 時折頭を撫でながら、頑張ってるなと微かに声をかけた。
 秒針の刻む音が聞こえる中で、仁人の体の力が抜けたことが分かった。
 数十分して、残りのメンバーが到着した。
 
 「おっはよ〜!」
 
 「しー!バカヤロ、太智声でかいわ」
 
 「うわ、珍し光景やね笑」
 
 「なに、仁ちゃん今日は甘えたなの?笑」
 
 「ん〜…なんかね、来たと思ったら俺の膝の上に座ってきてさ」
 
 「なんかあったんかな?」
 
 「うん…で、顔みたらクマが酷くて。メンバーくるまで寝てろって言って寝かしつけてた。」
 
 「笑ほんとこういう時は可愛い赤ちゃんなんだから」
 
 「な笑みんな揃った事だし、そろそろ起こすか…」
 
 「いや、別にまだ寝かせといていいよ」
 
 「今日は別にYouTubeだけやし、無理に起こす必要ないと思うで!」
 
 「そっか…じゃあ、もう少しだけ」
 
 そう言って、仁人の寝顔をみんなで見守りながらもう少しだけ寝かせた。
 するとどうやら舜太がスマホを取り出して、仁人の寝顔を撮り始めた。
 
 「舜太何してんの笑」
 
 「いやほら、仁ちゃんがこんな甘えたになることなんか滅多にないやん?メンバーの膝の上に乗って寝るなんてさ!可愛くてつい写真撮りたくなったんよ」
 
 「いいな〜…それ俺に送ってよ」
 
 「別にええよ」
 
 「え〜!俺にも送って!」
 
 「じゃあ、グループに送るわ」
 
 「まじ?ありがとー」
 
 「ほんと可愛いね仁ちゃん、勇斗いいな〜」
 
 「だろ?笑俺の仁人だから」
 
 「違います。僕のです。」
 
 「いや、みんなの仁ちゃんやろ!!」
 
 仁人は知らないだろうが、裏では仁人の取り合い。
 みんな必死になって盛り上がるから、結局仁人が冷めてどっかに行ってしまうというのがオチ。
 
 「…ん、みんな来た…?」
 
 「ん?来てないよ、まだ寝てて大丈夫」
 
 「ん…」
 
 …。
 
 「ほら、みんながうるさいから起きるところだったろ!」
 
 「ほんまにそうやで太ちゃん?」
 
 「いや、舜太でしょ」
 
 「いや、柔ちゃんの声が1番大きいって」
 
 「お前らうるさい!今仁人甘やかしてんだから静かにしろ!」
 
 「勇ちゃんが1番ずるいわぁ」
 
 「それな。こんな可愛い仁ちゃんを独り占めとか…」
 
 
 「…お前らうるさい。全部聞こえてるわ」
 
 「え、起きてたん!?」
 
 「いや、今起きた。ごめん太智スマホ取って」
 
 「はいよ」
 
 「さんきゅー…ってお前らなにグループで暴れてんだよ。」
 
 「あ、いやそれは、仁ちゃんのねg…」
 
 「は!?なにこれ。いつの間に撮ってんだよ!消せ舜太」
 
 「残念ながら、ここにいるみんなに行き渡ってマス。」
 
 「は…ダルいって…」
 
 「いやー、いつもの仁ちゃんに戻ったね」
 
 「な〜甘やかしてる時は可愛いのにな〜」
 
 「うるさいです。」
 
 「てか、仁ちゃん勇ちゃんから降りへんの?笑」
 
 「……。今日はそういう気分なの!」
 
 「笑可愛いなぁやっぱり」
 
 
 ほんとに、うちのお姫様は可愛いんです
 
 そんなこんなで、みんなから愛される可愛い仁ちゃんでした。
 
 end.
コメント
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うわ、うちが見てみたかったやつだ最高ありがとうございます🙇♀️
仁ちゃんかわいすぎる