29.遠征先でハプニング発生!?
その巻が完成した場合は、題名の横に「改」をつけます。
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「うわぁぁぁぁぁ!」
早朝、〈旅荘・蒼虎帝宿〉に響き渡った叫び声で、俺たちは飛び起きた。
「何だ何だ!?怪物でも出たか?」
ホテアデスが寝ぼけながら廊下に出たが、そこはもうすでに静寂に包まれていた。
「な、なにが起こったんだ?」
「いや、男性の叫び声が聞こえたきりですね。」
「あぁ、もう!魔法除け魔法がかかってなかったら現状を調べられるのに!」
そう愚痴ったり論議しながら俺たちは廊下に一斉に飛び出して、高級宿の中にいるであろう叫び声の主を探した。
「あ!別館の部屋に人だかりができてます!」
急いでそこにいた人混みをかき分けてそこを見ると、壊されて全開になった扉があった。
そしてそこには魔法帝国警察と思われるゴブリンが立っていた。
ゴブリンは大きく2種類に分けて、敵対ゴブリンと友好ゴブリンがいる。
敵対ゴブリンは敵のゴブリン、友好ゴブリンは人間と同じように暮らす、友好的なゴブリンのことだ。
その魔法帝国警察のゴブリンは、この宿の総支配人に宿の構造を説明してもらっているところだった。
「一体なにがあったんですか?」
近くにいたおじさんに声をかけると、その人が振り向いた。
「この部屋に泊まっていた人が消えちゃったらしいよ。」
「え?」
驚いて思わずその人の顔を見ると、その頭にはちょんまげが。
「あ、あの親切な人!」
「ん?君とは初対面のはずだけど…。あ、もしかして、兄弟たちのことを言っているのかい?弟がリトル・ヘブンに住んでるけど…」
あぁ、お兄さんだったのか。
「多分弟さんです。僕に色々なことを親切に教えてくれたりしてくれるんですよ。いい弟さんですね。」
「そうだろう!弟は、我ら兄弟の中で誇るべき人なんだ!僕ら兄弟は8人兄弟で、全員が世界各地に住んでいてね。僕は、このセグラル自然渓谷村に住んでいるんだ。もしまた弟や兄弟にあったら、よろしく伝えてくれ。僕は、モールだ。」
「俺はリグです、弟さんにはまた会うと思うので、伝えておきます。」
そういって2人で握手して別れると、俺は現状に引き戻された。
誘拐されちゃったのか、この部屋に泊まってた人。大丈夫かな?助けれたんだったら助けたかったなぁ。
「誘拐されちゃったみたいですよ、この部屋の人。」
リグに急いで伝えると、リグは驚いたように目を見開き、その後怒ったような顔をした。
「そうか…。リード、部屋に戻るぞ。」
そういって、紅蓮の鳳凰鳥のメンバーを引き連れて部屋に戻った。
「リードによると、さっきの部屋の人は誘拐されたらしい。そこでだ。お前らに聞くが、俺たちはどうしたらいいと思うか?」
今までとは全然違うリグの雰囲気に、俺たちは思わず息を呑んだ。
「そりゃあ、助けるしかないだろ。」
ホテアデスが最初に口を開いた。
「確かに助けたいけど、具体的にはどうするわけ?」
「どうするって、このまましょうがないか、で誘拐された人を放っておけるか?」
「いや、そういわれるとできない…けど。」
「だったら、やっぱりできる限りのことはすべきなんじゃないのか?それか、ライズの二の舞いを繰り返すのか?」
ん?ライズ?いや、同名なだけだろう。
「あの、ライズさんって誰ですか?」
「あぁ、昔俺たちのクランに入っていてな、あいつがいなかったら俺たち全員が死んでいたような事もあった。
だがな、ライズは家族に秘密でリトル・ヘブンのダンジョンに潜ったきり、戻ってこなかったらしい。
で、その時も俺は今と同じようなことを言ったんだが、ダンジョンだからしょうがないか、でみんな諦めたんだ。
それ以来、俺はできることはできる限りやろう、と思ったんだ。」
そんな過去が…って、多分そのライズさんっていうのは師匠(祖父のルブロック)の弟さんだ。
まあ、今そのことを話すと話しを混乱させてしまう。話すのはまた今度にしよう。それより…
「俺も、できる限り助けることを努力したほうがいいと思う」
「リード、分かってくれるか…。」
「やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい。そんな言葉があるのを知ってる?この言葉の通り、できる限りのことをやらないと後悔すると思うんだ。」
「リード…。うん、わかった。できる限りのことをしよう。」
そうしてなんとかクランの話が一つにまとまった。
そして俺たちは遠征期間内一ヶ月間、徹底して誘拐された人を探すことにしたのだった。←依頼どうするの?