テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ずっと、心に穴が空いている
そんな気がする。
ずっと何処かが苦しい。
何をしていても手前の事を
思い出して、
満たされない。
ずっと考えている
あの日の事
何か
何か
何かあの時、別の事を云えていたら
まだ、
まだ手前は…
〝此処〟に居たのかな
そんな事ばっか考えて
仕事に集中できなくなる
あの時、太宰に云った
云ってしまった一言に
後悔してる
その言葉は迚も俺らしくないし
太宰も少しばかり引いてたかもしれねえ
でも、それぐらい俺は
太宰が
..まあ好きだったし
頼りにはしてた、と思う
から、
凄く…なんつーか
〝織田が死んだあの時〟から
彼奴はやっぱ変わってしまって
俺が何度声を掛けても
振り向いてくれなくて
やっぱ、
俺じゃなかったんだなって
思った
其処から手前はポートマフィアから
姿消してさ
すげー心がギュって、
何か、何かなこんな気持ち初めてで
俺多分結構可笑しいと思う
あれから会ってねえから
彼奴が今何してるとか
何処に居るとか
マジで何も知らねえーし
そもそも、
この街に居るのかも分かんねえけど
其れでも俺はずっと探してる
太宰のあの頼もしい背中が
もう一度見たくて
織田が死んだあの時
太宰は織田と友人で親しい仲だったらしい
だから、織田が死ぬかもしれないって
なった時、すげー焦って外飛び出して
俺なんか見もしなくて
心が苦しくなったのを覚えてる
事の全てが終わった後、
太宰が施設から出てきた時
俺は織田が生きてると思っていた
だから俺は太宰の手の血にも
気付けなかったし
俺は其処に
一緒に織田が居ない事にも気付けなかった
そして何より、
太宰が今にも
死にそうな顔になっている事にも
俺は何も気付けなかった
太宰が弱ってる時に
太宰に縋って
織田より好きになってもらおうとして
太宰の弱い所突くみたいに
穿り返してたら
織田が居ない事に気付いて
馬鹿みたいに焦った
それで太宰の顔色にも
顔の包帯がなくなっている事にも
要約気付けて
俺も血の気が引いた
中也「ッ..ぁ、…なあ..」
中也「..織田…死んじまったのか?」
太宰「……そうだよ」
中也「…そ、うか」
中也「じゃあ、戻って報告しねえーと」
中也「…行こうぜ?」
太宰「…………馬鹿じゃないの」
太宰「報告、報告って…」
太宰「今僕に掛ける言葉其れなの」
中也「…は?報告しねえーとボス困るだろ」
太宰「……ッそんなの..もう良いでしょ」
中也「…そりゃ友人が居なくなったら俺だって悲しいけど」
中也「前向いてかなねえーと保たねえぞ?」
中也「織田なんて居なくても…」
太宰「は..、?」
太宰「織田作の居ない世界なんてッ」
太宰「もう意味なんてないんだよ!!!」
太宰のそんな顔初めてみたから
太宰にとっての織田は
この世に居る意味なのかもしれない
って思った
そして俺は本当に莫迦だ
この言葉が太宰を一番傷付けている何て
知らなかったんだから
中也「…太宰、ッ」
太宰「話付き合った僕が莫迦だったよ」
太宰「こんな奴の話なんて訊くんじゃなかった」
太宰「もうホント…、ッ」
太宰「僕の気持ち何も判ってないッ..」
中也「…行くのか、」
太宰「…もう、戻る気はないよ」
中也「はっ!?」
太宰「…此処に居る意味ももう無い」
太宰「君と、相棒で居る意味も」
太宰「もうないよ」
中也「ッ..」
太宰「じゃあね」
中也「!!」
中也「…ッぁ太宰!!!」
中也「ッお願いだから..!!」
中也「行かないでッ..」
太宰は俺の言葉なんか訊かず
そのまま、闇の方へ
消えてった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!