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「主様、少しお庭を散歩しませんか?」
「ん?良いぞ。じゃあ行こっか」
「わーい!」
とある日の昼に俺はムーに誘われ、庭を散歩する事になった。俺はここで散歩するのが好きだ。広いから、屋敷や庭を散歩してるだけでもいい運動になるし、執事達によく会うから退屈しないのだ。
玄関の扉を開け、外に出る。すると、出入口に大体小学5,6年くらいの5人の子供がいた。
「あれは……子供?なんでこんな所に……?」
「どうしたんでしょうか、行ってみましょう!主様!」
(そういや、ミヤジ子供に教えてるとかなんとか言ってたし、そいつらかな?でも、ベリアン達となんか言ってたような…確か、退治に来たとか…取り敢えずここに来た理由聞いてダメそうなら追い返すか)
「おう。けど、子供だからって何されるかわからんから警戒しろよ。」
「はい!」
中へ入ろうとする子供達を止めるべく、そちらへ向かう。すると、こちらに気付いたようで、警戒するように全員で身を固める。
(子供相手だし…しゃがんで優しく言った方がいいか。)
「こんな所で何してるの?森で一人で来ちゃ危な…」
「悪魔退治に来た!!」
「うわっ!?」
俺のセリフに被せるようにして放った言葉を合図に、子供達は一斉にこちらへ攻撃してきた。子供に視線を合わせる為にしゃがんでいたのが災いして、乗っかられたり、髪の毛を引っ張られたり、そこらで拾ってきたのであろう木の棒で叩かれたりと好き勝手される。
「悪い悪魔は退治してやる!」
「おい、やめっ…!」
「主様!?このっ…主様から離れて下さい!」
「ね、猫が喋った…?!」
「悪魔の手下なんだろ!やれ!」
「いたっ…や、やめてくださ…」
「猫が喋るとか気味悪いんだよ!」
今度は俺なんかを庇う為に止めに入ったムーが標的にされ、殴られる。木の棒が擦ったのか、少し血が垂れている。
(俺だけならともかく、ムーまで巻き込みやがって…!!)
「ってめぇら!いい加減にしやがれ!!それ以上やったら子供だからって容赦しねぇぞ!!」
「ひっ…な、なんだよ!おい、こいつを狙え!」
「いっっ……!」
何かが頭に当たり、血が出る。どうやら石を投げられた様だ。石の飛んできた方向を見ると、そこに1人子供が居た。そういえば、最初は5人居たのにやられてる時は4人だったような気がする。つか、こいつらマジで俺らの事退治しようと…?
「…はは、良いよ。そっちがその気なら俺にも考えがある。ここは森だ。ここで死んでもクマに襲われたとかで片付けられる。……覚悟は、出来てんだろうなぁ?」
「ね、ねぇ!怒ってるよ!逃げよ!?」
「こ、殺される!!」
危機を感じたのか、子供達が逃げ始める。その内の1人の胸ぐらを掴む。
「あ!○○くん…!○○くんを離せよ!!」
「るせぇ!いいかよく聞け!てめぇらが悪く言ってる奴らはなぁ、お前達を守る為に命張ってんだよ!悲しい過去抱えて、絶望してもお前らを守る為に闘ってんだよ!」
「トラウマに魘され眠れない日だってあんのに、それでもなおお前らを守る為に頑張って訓練して!!そんな人達をお前らは!!!」
「ふざけんな、ふざけんな!!!!」
「何が不気味なんだ、怖いんだ!あいつらは誰よりも優しいんだよ!!」
「謝れ、謝れよ!!ムーに、あいつらに!!あいつらが許しても俺が許さねぇ!!」
「私はあいつらが好きだ、大好きだ!私の大切な人傷付けんなら殺してやる!!私は、ここの主だ!私があいつらを守る!!!!」
「聞いてんのか、あ!?」
「ひっ!!ご、ごめんなざいいいいい!!!」
「もうしません!ごめんなさい!!」
俺の気迫にビビったのか、泣いて謝ってきた。頭に怪我をして、めっちゃ大声で叫んでたから頭がクラクラしてきた。掴んでいた手を離し、その場に蹲る。その隙に子供達は逃げていってしまった。
「主様、主様!!大丈夫ですか!?」
「ってぇ…こんくらい大丈夫よ、心配すんな…」
「で、でも!沢山血が出て…!」
「だい、じょう…死な、ねぇ…か、ら………」
「主様!?主様!!!」
そこでパタン、と意識が途絶えた。