テラーノベル
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qn視点
あれから1週間。俺は今、ベッドの上に座っている。
あの後、結晶化は深刻になり、今や胴体全部を覆っている状態だ。腕も満足に上がらないし、足も自由に動かせない。
辛うじて指は動くため、撮影の時間になったらゲーミングチェアに座り、みんなとエンドラを討伐する。そんな生活が始まってしまった。動くのが苦痛なため、一日中ベッドかゲーミングチェアに座って過ごしている。
食べ物はどうしているのか、って?
1週間前、orが帰ったあと、なんとなく嫌な予感がして、スーパーに買い物に行った。カップラーメンを箱買いし、ペットボトルの水もたくさん買った。
今、ベッドからすぐに取れる位置にカップラーメンも、水も、ポットもある。つまり、食料問題は簡単に解決した、ということだ。
そろそろ、撮影の時間だ。ベッドのフレームを掴み、体を起こす。ゲーミングチェアを引っ張ってきて、倒れるようにそこに座る。くるりと回転し、机を掴んで、机に寄る。この動作も慣れたもんだ。
パソコンの電源をつけ、discordに入る。やはり、まだdzさん以外は来ていなかった。
「こんにちは。お疲れ様です。」
dz「おんりーか、お疲れ様。…最近、体はどう?」
俺のこの症状を唯一知っている彼。こうやって、2人きりの時はたくさん心配してくれる。ありがたい。
「…最近は、…あまり、体が動かせなくて。」
dz「動かせない…?」
「はい。…もう、胴体全部イカれちゃったみたいで。腕も足も、自由には動かないんですよ。」
dzさんの暖かい温度感に安心したのか、自然と現在の状況を口にしてしまう。ヘッドフォンの向こうで、dzさんが息を呑んだ音がした。
dz「それ、大丈夫なの…?」
「まぁ、なんとか。これもこれで、楽しいですよ。」
嘘だ。楽しくない。
俺は、エンドラRTAという競技を生業としている。こんな状態じゃ、うまくプレイができない。うまくプレイができなければ、いいタイムを出すことができない。
俺にとっては、拷問と言ってもいいくらい、苦しかった。
dz「…qnがいいなら、いいけど…。…あ、そうだ。今日の撮影終わり、qnの家行ってもいい?」
「いいですよ。…お出迎えはできない、ですけど、…。」
dz「いいのいいの。…ちょっと、話させて。」
柔らかい声色の中にも、真剣さを感じ、俺はまた温かい気持ちになった。こんな上司、なかなかいないだろう。
「わかりま___」
or「お疲れ様です!」
dz「おぉ、or!お疲れ様。今日も元気だね。」
or「ふふ〜、今日な、猫ちゃんがほんまに可愛くて…!」
「いいね〜。後で写真見せてもらっても?」
or「もちろんや!」
テンションの高いor。そんなorが可愛くて、愛おしくて。ヘッドフォンの外に硬い音が響いた気がした。
そして、3時間ほどの撮影を終え、dzさんの来訪のために、パソコンを切る。ゲーミングチェアに座ったまま、床を蹴ったり、壁を掴んだりして、玄関の方へ向かう。
パソコンの机の下で、綺麗な青が光っていた。
qn視点
ピンポーン
軽い電子音が玄関に鳴り響く。どうぞー、と声をかけると、ドアが開き、見慣れた男が呆れた表情で入ってきた。
dz「…qnねぇ…。いくら動けないからって、ドアに鍵をかけないのはよくないよ…。」
「だって、鍵を閉めに行けれなかったんだもん、」
クスッと眉を寄せてdzさんが笑う。そんなdzさんの後ろに、なにか大きな荷物が見えた。
「dzさん、なに持ってきたんですか?」
dz「これね。車椅子持ってきたの。いつまでもそれじゃ、不便でしょ?」
「……、」
そう言って目の前に置かれたのは、この前テレビで『最高級』と紹介されていたものだった。確か、自動運転も可能で、絶対に壁にぶつかることはなく、価格は400万円ほど…。
400万…?
「ッ貰えないですよ!そんなに高いやつ…!」
dz「貰えないって言われてもねぇ…。買っちゃったし…。」
「買っちゃったって、…。」
さすがは社長。俺たちとは財布の感覚が違うのかもしれない。たしかに、よく高級な焼肉屋さんやお寿司屋さんに連れて行ったり、みんなで外食をしたときには、奢ってくれたりしているけれど…。
dz「だから、ほら…。1回乗ってみてよ。」
「…はい、」
dzさんに車椅子を床に置いてもらい、乗り移ろうとする。だが、ゲーミングチェアが動いてしまい、うまく乗り移ることができない。
dz「…ちょっと失礼、」
「…っわ、…。…ありがとうございます、」
dz「ど?いいでしょ、それ。」
そんな俺を見かねてか、俺を軽々と持ち上げ、車椅子の上に座らせてくれた。
車椅子はとてもふわふわで、座り心地が最高だった。dzさんに渡されたリモコンを押してみると、ウィーンと音がして、背もたれの部分が倒れていく。
「これベッドにもなるんですか?」
dz「そうそう。便利でしょー?」
その後も、背もたれや足を置く台の角度を変えてみたり、自動運転を使ってみたりと、高級な車椅子を楽しんだ。
dz「ほら、使えるでしょ?…貰ってくれる?」
「……。…はい。ありがとうございます、」
こんなにもいいものを、わざわざ選んで買ってきてくれたdzさん。その好意を無駄にはできなくて、頷いた。dzさんは嬉しそうに微笑んでくれた。
早速俺は車椅子を使い、dzさんをリビングへ招き入れる。
dz「お邪魔します。…それで、ここからが本題なんだけどさ、」
「はい、」
dz「…ちょっと残酷なこと、言うね。」
1段階低くなったdzさんの声に、空気が張り詰める。dzさんの顔は、真剣そのものだったが、よく見ると、とても悲しそうで、苦しそうに見えた。
dz「…君、このまま行くと、…3日後には死ぬよ。」
そういえば、この青い宝石って、ブルートパーズなんですよね。(ミニ意味深)
全然今日決めたんですけど。
コメント
1件
えっちょっと待って待って待って…!?!?!?!? qnちゃんの体こんなに悪化してたの知らなくて最初から泣きそうになったんだけど…😭💦 dzさんが車椅子持ってきてくれて「ちょっと残酷なこと言うね」からの「3日後に死ぬよ」って…しんどすぎるじゃん???泣くわこんなん…🥺💔 最後のブルートパーズの意味深も気になりすぎて続き待てないんですけど…!作者様天才すぎる( ; ; )✨
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海月 玲愛 @ 期末テスト期間