コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ランチ時の トゥルヌソル
 
 「4番さん7番さんAセットとCセット、バゲット多め」
「左サイド12番さん15番さんBセット、バゲットをライスに」
ルキとアヤノさんの声が厨房に向かって伝わる
 
 「先番さんの3番 Cセット出来上がり 」
「補充のスープとライス追加できたよ」
「バゲット焼き上がりました」
篝は素早く作業をこなし足りない分のランチセットの補充を行う
ローラン
人手が足りないので本日はミチが厨房スタッフとしてかり出されている
そこで、一人スイーツ専用キッチンで本日の曜日スイーツを黙々と作っているのはノエルである。
彼は普段オドオドしておりやや声の音量が低めだが、スイーツ作りの際は一変し、素早い手の動きに凛々しくしまった顔立ちになる。
そんな彼の手元に本日、火曜のスイーツ、オペラを作っている
「オペラお持ち帰りお二つですね」
アヤノさんがお食事をすまされたお客様に手渡す
 トゥルヌソルでは曜日スーツはお持ち帰り可能でございます。
 
 ランチタイムが落ち着いた頃、
 「ふぅ。お客さん落ち着いたぁ……」
「お疲れ様、ノエル。今日も君のスイーツは好評だね」
やや一息ついたノエルの傍にローランが声をかける
「オーナーは疲れていますか?」
「ん~やや少しくらいかな。でも僕は分担できるからさ、ノエルは疲れたかい?」
「少し……いえ、正しくは緊張がほどけた感じです」
厨房奥からほんわかとした会話がする中ー
 
 「やっとランチタイムが終わった……」
「ヘイよ、お疲れさんミチ」
ややへばり気味のミチに水分補給の水を手渡す篝
そこにひょっこり顔を出すルキ
「相変わらず、体力ないなあ、ミチは」
「お前と一緒にするな、おれはそこまで頑丈ではないんだ」
(双子なのになあ……)とあえて口にしない篝先輩
実はこのルキ、以前はランチタイムの厨房スタッフとして人手が足りない時にはいっていたのだが……
あまりの忙しさと作業しなければということが脳と体がテンパリを起こし、ランチセットのバゲットを焦がしてしまったりライスを固くor柔らか過ぎに炊いてしまったりと、それが幾回と続いてしまい、策としてミチを起用し、現在に至る。幸いオーダーの間違いはそんなにしないルキは
ホールスタッフとして店を回して暮れている。
「まあ、ルキの得意、不得意だもんなぁ」
とややルキとミチに甘い篝パイセンだ
するとガタンと音がする
「っ……!そんなとこに」
顔から灰がかぶったように意気消沈気味のツバキがいた
「あぁ……いたよ。君の隣でランチセット組み立てていたんだよ」
「日頃から、お前さんは体力はミチよりも無いもんな」
と、ツバキには容赦のない篝
「僕はルキくんやミチくんの様に体格は良くないし、年齢だって若くない」
ルキは身長187センチ ミチは179センチで年齢は25歳
そんな、ツバキは身長167センチにヒョロヒョロの体型である
年齢は……実年齢よりやや上である
「俺の5個下だろ?」
5個上の篝がジトッという目でツバキを見ている
そこに、にこやかに、賄いのやや崩れた型のオペラケーキを
ツバキの前に差し出す
「お疲れ様です、ツバキさん。ちょっと崩れたものですが……
よろしいなら……甘いものいかがですか?」
朗らかな顔で落ち着いた声のノエル
「あぁ……君だけは優しいね、ノエルくん。ぜひ頂くよ」
救いを求める声と表情のツバキ
「ツバキさんにはお酒でお世話になっていますからね」
「フフ……確かにね。でも君の声には雑味の無いのが良い点だ」
フォークでパクリと食べるツバキ、その背後に控えめな笑顔のノエル
これはツバキのやる気を損ねない為の一連の流れである
これを損ねると、ツバキのやる気はダダ下がりし、本格的に店が
回らなくなるのだ。
だから、ノエルくんはこっそりツバキ用と自分も食べるように
賄い分を作っている。
「ツバキくん、残りのオペラは残っているかい?」
「あと三つ残りました」
「なら、二つ頂けないかな?」
「分かりました。二つ……もしかして」
「あぁ、うちの子達もこのケーキが好きでね。今回は特別にと」
「確かにオーナー珍しいですね」
「実を言うと今朝かたに、子どもたちを叱り過ぎてしまって、その機嫌取りにと」
「お父さんも大変ね」
そこにあらわれるアヤノさん
アヤノさんも実はご結婚されて、三人のお子さんがおられるので
ローランの気苦労が分かるのだ。
オペラのケーキは二つは持ち帰り箱に、さて残りは誰が食べる?
そこにルキとミチが白熱のじゃんけんがはじまる。