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#ベリアン・クライアン
ぷち
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番外編105『悪魔に蝕まれる身体と血に染まる刃』後編
※第7章メイストネタバレ注意です
『これが、ユーハンの心の中……。』
(真っ暗で…凄く静か…ユーハンはどこ…?)
『…なさい、ごめん、なさい…っ。』
(ユーハンの声……?)
すすり泣く声がどこからが聞こえてくる。
『私のせいで…みんなを、死なせた…。
もっと、私がちゃんとしていれば…。父上、母上…村のみんな…ごめんなさい…。』
(ユーハン…。ユーハンは、悪くないんだよ。
悪いのは命を弄んで殺したサルディス・フブキ。ユーハンのせいじゃないんだよ…。)
『ユーハン…。』
『……あるじ、さま…?』
『助けに来たよ。』
『っ……申し訳ございません…私は、悪魔化してしまったのですね…。暴走して、他の皆さんを……。』
『怪我してるけどユーハンは誰も殺してないよ。』
『そう、ですか……。自分でも、分かっているんです。フブキを自身の手で殺してしまえば、きっと私は…悪魔に囚われてしまう。自分の刃で、誰かを殺したという事実をずっと背負って生きていくことになる……。』
『サルディス・フブキは…ちゃんと罰してもらう。私達が。』
『主様が…?』
『うん。もう、逃がさない。ユーハンの手では殺さない。法の下であいつを殺せばいい。』
私はユーハンに手を差し伸べる。
『帰ろう?デビルズパレスへ。』
『あるじ、さま…。はい……。』
と、その手を取ろうとしたその時――。
『小娘。邪魔をしないで頂戴。』
『!!』
ジャラジャラ…!
ユーハンのことを鎖が縛る。
『うぐ……この、声は…。貴方ですか…マルコシアス…っ。』
『それって、ユーハンの契約悪魔の…』
『ふふ。初めまして。悪魔執事の主。』
マルコシアス。ユーハンの契約悪魔。黒い雌狼だ。
『ユーハンを離して!』
『お黙り。この子は私のよ。悪魔化したら身体も心も私のものよ。』
『ユーハンは私の執事だから。返してもらうわ。』
『生意気な小娘だ事。あんまり騒ぐようなら、私の鋭い爪と牙でその喉元を掻っ切るわよ。』
『っ…。』
(怖い、でも、ここで怯んだら、ユーハンは…。)
『それでもいい。』
『!』
『ユーハンを助ける為なら、私はそれでもいい。 』
『そう。それなら望み通りに――。』
『マルコシアス。』
『!』
(何、この冷たい声……悪魔である私が…怯えている…?この人間に…?)
私は鎖を断ち切る。
『ユーハン!』
『私の主様には傷一つ付けさせません。』
『っ、いつの間に…。』
ジャラジャラ……!
鎖がマルコシアスを縛る。
『く…っ。』
『あなたの契約主は私です。大人しく闇の中に帰りなさい。』
『主も執事も揃って生意気ね…いいわ。ここは引いてあげる。だけど、二度はないわ。悪魔は強欲なの。我慢させた分次はその命を頂くわ。』
ジャラジャラ…!
鎖に絡め取られたマルコシアスは暗闇に消えていく。
『主様。私はもう絶望には飲み込まれません。私には主様がいる。そして、執事の皆さんが。』
『うん。帰ろ?ユーハン。お姉ちゃんも待ってるよ。』
『主様…えぇ。』
ユーハンの手を取り、一緒に目を覚ます。
『ん……。』
『主様……良かった、随分長く眠っていたから心配したぞ。』
『ユーハン。大丈夫か?』
『ハナマルさん、テディさん……申し訳ございません、私…。』
ハナマルさんは私の頭を撫でる。
『わっ!』
『ったく…心配かけやがって。』
『ユーハンらしくないですよっ。俺達は無事です!ほら、傷1つ……あたたっ。』
『…ふふ、テディさんったら…。』
『帰ったらみんなであんまんでも食べようぜ。お酒を飲みながら。』
『職務が終わったら、ですね。』
『いつものユーハンだな。』
『ふふ、ですね!』
別邸のみんなはふふっと微笑む。
『良かった、いつものみんなだ。』
『談笑中申し訳ない。』
『フィンレイ様…。』
『フブキはこちらで引き取る。ユーハン君。』
『は、はい。』
『フブキと会うのもこれで最後だ。何か言いたいことはあるかな。』
『……。』
『私は死んでもお前を許しません。絶対に。
私の家族を奪ったこと…心底憎いです。でも…。もう貴方に会うことはないと思うと清々します。さようなら。サルディス・フブキ。』
ユーハンはニコッと微笑む。
『……チッ。』
(あの時の笑顔のまま…それを私に見せるとは。皮肉だな。)
『…では失礼する。』
拘束されたフブキをフィンレイ様が連れて行こうとする。その前に私は声をかけた。
『待ってください。』
『主様……?』
『まだ何かあるのかな?』
『はい。』
私はフブキの頬を叩く。
バシンッ!
『っ……!』
『主様…?』
『これは、ユーハンの分。絶望の原因は貴方だから。』
バシンッ!
『これはみんなの分…。他のみんなも貴方には沢山苦しめられた。それでこれは――』
私は思い切り頭を振って頭突きする。
ゴチンッ!!
『ぐ……っ!』
『お姉ちゃんの分!!私の大好きなお姉ちゃんに手を出したこと…私は絶対許さない!本当なら足りないくらいだよ。顔が変形するくらい殴りたい。でも……お姉ちゃんならきっとこう言うから。』
私はふわっと髪を靡かせる。
『…これ以上の罰はこれから受けろ。』
『主様……。』
『フィンレイ様。もう充分です。連れて行ってください。』
『あぁ。』
こうして、シャーキル様とフブキはグロバナー家へ。その後どうなったかは…私が知る由もない。
『主様……。』
安全な場所に寝かせた主様をユーハンはそっと抱き締める。
『私の為に…申し訳ございませんでした…。』
『ユーハン…。』
『屋敷に帰りましょう…私達の屋敷へ。』
気を失ってる主様を優しくお姫様抱っこする。
数週間後――
あれから、天使の襲撃は無くなった。
一時的な平和な世界が訪れた。
『シャーキル様は…どうしてこんなことをしたのかしら。』
『当主であるあの方が…何故…今でも不思議です。』
『この世界を壊したらみんなと出会えたことも、無くなってしまう。そんなの、私は嫌。』
私はムーを抱き締める。
『みんなと出会えたこの世界で…私はもっと一緒にいたいの。』
『えへへ、僕もです!主様。』
『辛いことや、悲しいこと、沢山あったけど…それでも私はみんなと出会えたこの世界を愛してる。』
『お姉ちゃん。』
隣に百合菜が立つ。
『私もだよ。お姉ちゃんとこの世界に来れて良かった。ずっと、一緒にいたいと思えるみんなに出会えたから。』
『えぇ。』
私と百合菜は指輪を見つめる。
『あの日の夜。私達に指輪が落ちたのは…運命だったのね。』
『みんなと出会うための…運命だった。』
『『みんな。私と出会ってくれてありがとう。』』
『主様…はい。私もですよ。』
『俺もです!主様みたいな良い人この世界にいませんよ!』
『お礼を言うのは俺の方だ。出会ってくれてありがとう。』
『俺の方こそお礼を言わせてください。主様。ありがとうございます。』
『俺も出会えて嬉しいです。貴方という優しくて強い人に出会えて。』
『俺も出会えて嬉しいぞ。主様。あんたがいない屋敷なんて考えられねぇよ。』
『ありがとうございますっす。俺と出会う為にこの世界に来てくれて♡♡』
『ふふ、アモン君は相変わらずだね。主様。私も出会えて幸せです。ずっと一緒にいましょうね。』
『私も出会えて嬉しいです。これからも、その先も、主様とずっと一緒にいたいです。』
『僕もです!主様!ずっと一緒にいましょうね!』
『私も出会えて幸せだよ。これからも傍にいてくれたら嬉しいな。』
『クフフ、死ぬまでずっと一緒ですよ。私と。フフ。』
『ラトってば…主様。俺も出会えて嬉しいです。これから先も……ずっと一緒にいたいです。』
『主様と出会えて嬉しいぞ、俺も。これからも俺に守らせてくれよ、主様。』
『主様、私は貴方という素敵な主様と出会えて幸せです。ずっと一緒にいましょう。』
『俺ってとても幸せ者ですね。主様にそんなこと言って貰えるなんて。ラッキー!』
『これからもそばに居てね。沢山甘やかしてあげるからね♡♡』
『我も、お前と出会えたこと、嬉しく思う。いいか?我の傍を離れることなど許さん。ずっと傍にいろ。』
『ご主人サマ。これからも一緒にいようね。俺と♡♡』
『主様!ボクもずっと一緒ですよ!大好きです!主様!』
『抜け駆けはダメっすよ、ルカスさん。』
『先にしたのはアモン君だけどな〜。』
『お前はダメだ、ルカス。』
『厳しくない?ミヤジ。』
『ベレンさん!主様を甘やかすのは俺もやります!』
『ふふ、それはベレン兄さんの特権だよ。』
『お、俺も主様のこと甘やかしたいです…。』
『フルーレ顔が赤いですよ。』
『う、うるさいっ。』
『『( ‘ ’ )キョトン…』』
言い合いしてるみんなを見て私と百合菜は微笑む。
『『ふふっ。おかしいっ。』』
『あ、主様笑った!』
『だって、みんながおかしくて…。』
『もっと笑ってください!僕みたいに!』
『ラムリ…。ふふ。』
『えへへ、主様の笑顔僕大好きです!』
『ご主人サマも。ほら。にこーって。』
『さっきのは不覚よ……。』
『じゃあくすぐったらどうかな?』
『ちょ…っ。』
『ほらほら…にこーって。』
クロウザーが私に迫り来る。
『こうなったら…。』
ガシッ!
『えぇ!?お姉ちゃん!?』
『逃げるわよ!』
百合菜の手を引いて屋敷を走る。
『主様!病み上がりですからあんまり動いては…!』
『追いかけっこ?僕も行くー!』
『逃がさないよ。ご主人サマ。』
今日も今日とて騒がしいデビルズパレス。
そう。ここが私の帰ってくる場所。
私たちの……大切な場所――
🄷🄰🄿🄿🅈 🄴🄽🄳🄸🄽🄶
コメント
3件
ユーハンの悪魔体侵食してたもんね、そこらへんも拾ってんのすごい!最後にフブキに殴ってるのありがたいうちの分もよろしくね! プチちゃんへいつもありがとう!応援してるね!
読み終わりました…。ユーハンの心の中の闇、マルコシアスの鎖、そして主様の「それでもいい」って台詞が響きました🥀。最後にみんなと笑い合ってる場面が本当に温かくて、ここが帰る場所なんだなって伝わってきました。264話も読めるなんて幸せです…。お疲れ様でした、ぷちさん🤍