次の日、本当に三角頭は俺の部屋に来てくれた。昨晩話したばかりなのに繰り返しまた会えるのが嬉しくなった俺は、結局夜更かしをしてしまい、あまり寝れなかった。重たい身体をどうにか起こして扉を開ける。目の前には見惚れてしまうほどの筋肉質な身体、そして三角の頭から聞こえるコォォと言う音だけ。
「おはよう…三角頭…ふわ〜ぁ…」
あくびをしながら彼に挨拶する。すると彼はどこからか紙とペンを出してサラサラと何かを書く。2ページほど書き終えた後、俺にそれを見せてくれた。どうやら心配してくれている様な内容だった。
ーおはよう、寝不足か?今日は身体を動かすから、スタミナは十分に確保しておく必要があるぞ。それに、私はかなりのノウキン?だから、もしかしたら倒れてしまうかもしれないが…。ー
三角頭が脳筋なんて初めて知った…でもちゃんと寝なかったのは俺のせい。心配しなくても、俺は大丈夫。あんたと一緒ならどんな事だって受けてみせる。
「平気さ。ほら、速く行こうぜ!」
三角頭の手を引っ張って一緒に部屋から出ると、ある大きな男に目が入る。ツナギに、白いマスク…どうしてここに彼が…?
「シェイプ?」
「……頭」
「あ、い、いいぜ?」
そうだった。シェイプは儀式がある度に俺の所へ来てこうして頭を撫でていたんだ。最近全く来なかったからすっかり忘れてた…。
「儀式頑張れよ」
「……」
少しは反応してもいいだろと思うが、余計なことはどうでもいい。今は彼と一緒にいるのだから、思う存分時間を忘れて楽しもう。そう思いながら三角頭の方を見ると、ジーッと見つめられていた。
「えっ!ど、どうしたんだ?」
「……」
訳を聞こうにも、三角頭はずっと俺の方を見るばかりで変化はない。それに、紙に何かを書こうとする気配もない…俺は一体何をしたんだ?三角頭はまた何かを紙に書き始めた。
ーいつもあれを彼にしているのか?ー
「え、嗚呼…」
ーどうして?ー
「だって、言う通りにしねぇと俺が殺されちまう」
ーだからいつも言いなりに従ってるのか?ー
「そうなるな…言葉が通じる事も滅多にないし、例え話しかけたとしても殺されかけるし…。実際俺、そういうの経験済みだから…」
ーどういう事だ?ー
「え?」
三角頭が執拗に聞いてきた。そこまで知りたいなんて…俺、あんたの気に触るような事したか?とにかく大事にならない程度に話しを終わらせねぇと。
「あの…三角頭と話す前に、一回シェイプに聞きに行ったんだよ。何して鍛えてるんだって。でも話が通じるわけもなく殺されそうになった所をナースに助けてもらったってだけだ。心配ねぇよ」
ーそうか、それならいいが…。ー
余計に気を遣わせちまう言い方をした俺を悔やみたい。別に三角頭が気にすることでもないのに。本当に優しいな。とにかく分かってくれたことだし、気を取り直して今日を全力で楽しまねぇと!
「それより、速く行こうぜ!俺ずっと楽しみにしてたんだ!」
ー分かった。ー
俺は再び三角頭の手を引いて外に出た。そこからは彼に案内され、何やら不気味な小学校に連れて行かれた。全体的に錆びていて鉄臭い…血かも分からないものがこびり着いてるし、あと変な生き物が檻みたいな所に入ってて時々変な叫び声を上げてるのが余計に恐怖を煽ってくる。
「ひぃっ!」
勢いよく三角頭の背中に隠れてしまう。やっぱり逞しい背中は安心感があって落ち着く…このまま身体を預けてしまいそうだ。
ー心配するな。時期慣れる。ー
「そうなりゃいいけど…」
ー来い、目的の場所まであと少しだ。頑張れ。ー
「…分かった」
渋々彼の後をついて行くと、そこには大きな穴が壁にデカデカと出来ていた。一体ここで何をするんだと思えば、三角頭はまた何かを紙に書き始めた。
ー吊り下がっている鎖が見えるだろ?ー
「あ、嗚呼…」
錆まみれで、今にも崩れ落ちてきそう…。
ーその鎖を使いながら、どこかに挟まっている鍵を取ってきて欲しいー
「…え?」
あんな不安定な場所で?しかも挟まってる鍵ってどんなのだよ。取ってくるって事は登らなきゃ行けねぇわけだろ?あんなの無理だって!
ー嫌なら引き下がって大丈夫だぞ?ー
…三角頭が、俺の憧れだった人にお願いされてるのに引き下がる男がどこにいる。受けてみせるさ!どれだけ落ちても諦めねぇから!
「平気。さっさと終わらせてやる!」
ーそれならいいが…。ー
さて、これからどうしたものか…。
コメント
3件
ミッドウィッチで何をする気なんだ!? ((o(´∀`)o))ワクワク
久しぶりに投稿したのにもうこんなにハートが付くなんて身に余る光栄です!! (;∀;)