テラーノベル
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二人は森を抜け、町外れにある小さな神社にたどり着いた。
境内には誰もいない。
蒼真は本殿の裏に隠れた。
「はぁ···はぁ···」
息が上がる。
ルミもぐったりしていた。
「少し休もう。」
「アリガトウ。」
二人は空を見上げる。
「キレイ···」
空には無数の星が輝いていた。
「そうだな···」
「ワタシノホシト···チガウ。」
ルミは静かに言った。
「アレハ···?」
ルミは指を指す。
「あれは月だよ。」
「ツキ···、ワタシノホシハ、ツキミッツアル。」
「月が三つ?」
「ウン。」
蒼真は思わず笑った。
「それはすごいな。」
しかしルミの表情は暗い。
「カエリタイ。」
その一言に蒼真は何も言えなかった。
その時。
「···この辺りから反応があるんだが···」
「!?」
不意に境内の表の方から声が聞こえてきた。
「まさか···もう追っ手が。」
蒼真の背筋が凍った。
「ルミ、こっち。」
蒼真はルミの手を取る。
その瞬間。
ピピッ···ピピッ···
ルミの後ろから音が聞こえる。
「な···なんだこれ···」
ルミの背中にボタンのようなものがあった。
蒼真はそれを取る。
「ナニ···ソレ···」
ルミは怯えた表情でそれを見る。
「ナンデ···コンナモノガ···」
「これ···まさか···」
「···イチジョウホウハッシンソウチ···」
ルミは青ざめる。
「···てことは、あいつらはこれを追って···」
「ワタシヲ···ツカマエニ···」
蒼真は嫌な予感を覚えた。
ただの偶然ではない。
あの男たちは最初からルミを狙っていたのだ。
「ドウシヨウ···」
「とりあえず、そこの茂みに隠れるぞ。」
二人は近くの茂みに隠れた。
発信装置は少し遠ざけた場所に投げた。
「この辺りのはずなんだが···。」
一人の男が二人の近くにやってくる。
二人は息を潜める。
「隊長、こちらに発信装置が。」
「···なるほど、この装置に気が付かれたのか。」
「周辺を捜索しますか?」
「いや、これは囮だろう。もうここにはいない可能性が高い。」
男たちは、しばらく周辺を周った後、どこかへ行ってしまった。
「···もう大丈夫そうだ。」
二人は周囲を伺いながら茂みから出る。
「コレカラ···ドウシヨウ···」
ルミは不安そうな表情で蒼真を見る。
「とりあえず、俺の家に行こうか。後の事はまた考えよう。」
「···ワカッタ。」
二人は神社を後にすると、蒼真の家に向かった。
翌朝。
蒼真の家の物置。
ルミは毛布に包まりながら眠っていた。
慣れない環境で疲れていたんだろう。
蒼真は物置の窓から空を見上げた。
昨日までは普通の高校生だった。
それが今は宇宙人を匿っている。
信じられない状況だった。
「これからどうなるんだろうな···。」
誰に聞くでもなく呟く。
その時。
家の玄関が開く音が聞こえた。
父が夜勤から帰ってきたのだ。
蒼真は慌てて物置から出る。
まだルミのことは知られたくない。
「ただいま。」
父の声が聞こえる。
「おう、おかえり。」
蒼真は平然を装った。
「これ、もらってきたから一緒に食うぞ。」
父は手に猪肉を持っていた。
「これ焼くから、物置から焼台と網持ってこい。」
「外で焼くのか?」
「たまにはいいじゃないか。ほら、早く持ってこい。」
蒼真は物置に戻る。
戻ると、ルミは起きていた。
「あ、起きたのか。おはよう。」
「ウン、オハヨウ。」
ルミは窓の外を見る。
「ソウマ。」
「どうした?」
「ナニカ、イヤナカンジ。」
「昨日の追手のことか?」
ルミは静かに頷く。
「キット、マタクル。」
蒼真もそう思っていた。
今回逃げ切れたのは運が良かっただけだ。
次も同じとは限らない。
「すまん蒼真ー、物置に炭とかどのくらい余って···ん···?」
不意に父が物置にやってきた。
そして蒼真とルミを見る。
「と···父さん!こ···この子は···」
蒼真は慌てる。
ルミも毛布で顔を隠す。
「君···もしかして···ルミちゃん···か···?」
「え?」
二人は驚く。
「ワタシヲ···シッテイル···?」
父はゆっくり頷く。
「二人には、俺の仕事を話さないといけないようだな。」
蒼真たちは知らなかった。
蒼真の父親のしている、本当の仕事を。
時同じくある施設···。
「見失ったか。」
武装グループのリーダー格と思われる男が、一枚の写真を見つめていた。
写真にはルミが写っている。
「装置が落ちていたということは···協力者がいるな···。」
男は呟いた。
「だが問題はない、おおよそ、いる場所はわかっている。」
机の上の端末に、地図が表示されている。
それは蒼真の住む町を映していた。
「見つけてやる。」
コメント
1件
バシオさん、第3話読ませていただきました! ルミの「カエリタイ」の一言がすごく胸に刺さりました。三つ月の星から来た彼女が、見知らぬ地球で必死に生きてるんだなって。発信装置の伏線も効いてて、追手の緊張感がぐっと増しましたね。 そしてラストの父の「本当の仕事」…まさかの展開で続きが気になりすぎます!次話も楽しみにしています🌷
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夜鐘
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