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…ね
…だね
…いだね
…ていだね
…いていだね
…最低だね
『あっ…!っ』
勢いよくソファから飛び上がる
ふと時計を見るともう夕方の時間だった
…悪夢を見ていた様だった
ソファを立ち上がるとダイニングにあるテーブルに向かう
そこには見慣れた文字で『1000円置いときます。これで夕飯を買ってください』と書かれていた
その文字を書いた主は、私のお父さんだ
早朝に家を出て、夜中に帰ってくるお父さんだ
まぁ…お父さんも家系を支えてくれるから仕方ないけど…
1000円札を握りしめ、靴を履いて外を出る
ここは都会から離れた地域だから少しコンビニに行くのが面倒臭いんだよな…
お母さんは5年前病死し、そのタイミングで私の妹…明司莉佳は病気にかかってしまった
そこからお父さんは変わってしまった
会うのだって1ヶ月に3回程度
久しぶりにコンビニじゃなくて…誰かの手作りを食べてみたいな…
いつもの道を通ると裏道と表道で分かれていた
表道は人が多いから安全だけど…裏道の方が近いんだよな…
その代わりに、裏道は少し薄暗くてあまり人が通らない
誰か1人歩いてて欲しいけど…
そんなことを思いながら私は裏道を歩いた
…やっぱり怖いな…ここ…
夕方といってもまだ冬があけた頃なので薄暗い
早く抜けちゃお…
バンッ!
『?!』
奥に銃声の音がした
…まさか…
けど…なんでこんな人が通りやすい所で…?
とりあえず私は銃声の音がした方に行った
「日本の裏切り者はぁ…スクラップ…だよなぁ…?」
「ギィィ…ぎっ…ひぃっ…!」
「あまり手間を取らせるなよ…」
銃声の音がした方に行くと、数名の男性の声がした
そして…
バンッ!
『?!ひぃっ…!』
また銃声の音がしてそこを覗くと…
「ぁ…ぁぁ…」
「ゅ…ぁ…」
「裏切り者に二言は要らねぇよなぁ?」
男性2人組が殺されていた
どうしよう…っ警察…いや…通報…?と、とりあえず逃げないとっ…!
私は振り返り足を進めると…
「…お前…みたな…?」
『!』
肩を掴まれるとさっき銃で人を殺した人だった
その人の見た目はピンク髪で…髪が長かった
『ご、ごめ…っごめんなさい…!』
「”ごめんなさい”じゃないんだよ、俺の質問に答えろ「 」
『み、見ましたけど…!たまたま通りかかっただけで…!』
男性は不審そうな顔をしてこう言った
「…まさか…グルか…?」
『グル…?ち、違いますっ全くの無関係ですっ!』
「そういうのが怪しいんだよ…」
男性は頭を少しかくと…
カチャ…
『…!』
「また俺の質問に答えろ、さもなくば…分かるよな?」
『は、はい…っ』
銃を私の頭に突きつけた
「…梵天を知っているか」
『梵天…?し、知りませんっ』
梵天なんか聞いた事ないし…
「それじゃあ…お前の名前は…?」
『えっ…名前…?あっごめんなさいっ応えますからっ!』
銃を深く突きつけ始めたので流石に話すことにした
『えっと…明司花ですっ…』
「…明司…?」
男性が驚いた様で少し銃を突きつける力が弱まった
今が逃げ出せるタイミングだけど…何されるか分からないし…
「おい…三途…何事だ…」
『…えっ?』
もっと奥から現れたのは…
『おとう…さん…?』
私のお父さんだった
「はっ…お父さんって…」
「は、花っ?!」
男性の銃を突きつける力が大分弱まった気がした
「…っおい三途っソイツは俺の娘だっ」
「まじかよっ…」
三途?さんは銃を完全に私の頭から離した
『ふぅ…うぅ…ぅっ…』
「は、花…すまん…後で説明するからな…」
『ぅっ…うっ…』
「…ちょっちょっと…!貴方達っ何やってるんですか!」
『…?』
聞き慣れた声がしたと思ったら…
「はっ花…?!」
声の持ち主は…
私の親友、冴波一花だった
『い、一花…?』
「は、花を離してっ…!」
「あ…そ、そういう事ではなく…」
『一花ぁ…!』
私は色々限界を感じて立ち上がった
「は、花…泣いてるじゃんっ!貴方達っ何したんですかっ?!」
「チッ…なんでさっきから聞き分けが悪ぃやつが来るんだよ…」
ピンク髪の人は舌打ちをしながらお父さんを見た
「明司…テメェが事の発端に過ぎねぇんだからお前が責任とれよ…」
「わぁったよ…花、それと花の友達」
「な、なんですか…!」
「俺の家に来い」
『お父さんっ?!』
まさか…この人達、自分達の家に連れ込む気…?!
『ちょっ…!ちょっとお父さん…っ!』
「すまん…ここでは説明しずらいんだ…」
『…っ』
…従うしかないか…
「花の家久々に来たぁ…」
『昨日来たばっかりだよね…?』
「お前感覚終わりすぎだろ…」
…ていうか、たくさん人増えてるんだけど…
『えっと…とりあえずお茶出す…?』
「大丈夫だ…話をするだけだから」
『あっはい…』
さっきのを見たらお父さんと話すだけで怖くなる
本当…なんであんなこと…?
『と、とりあえず…さっき何があったか説明してくれません…?』
「ああ…」
お父さんはそう言うと近くのソファに座った
「…コイツらは”梵天”の幹部達だ…」
「ボンテン…?耳かき…?」
『多分ASMRじゃないと思うよ…?』
というより…梵天って何…?
『お父さん…梵天って…』
「ああ、それを今から説明する…」
「…梵天は、悪党を殺す組織だ」
『こ、ころ…?悪党…?』
「まぁ要するにサツと似た組織なんだよ」
「け、警察と…?」
それ聞くとますます分からないんだけど…
「…俺らの組織はさっき言った様に極悪人を殺す仕事だ…」
銀髪の人がそう言う
「だが…サツと繋がっている…だから…」
「犯罪ではないってこと…?」
「…まぁ…そういうことだ」
だけど…人を殺してるし…
『…て事は…お父さんは安全ってこと…?』
「あぁ…まぁ、極悪人以外を殺したり裏切り者を殺さなかったりすると即刑務所だけどな」
「そういう所はちゃんとしてるんだね…」
一花はなるほどなるほどと言ってそう言った
…やっぱり、学校1可愛いって言われるだけあってキラキラしてるな…
やっぱり、一花みたいな純粋に可愛い子がモテるのかも…
「…花?」
『あ…ご、ごめん…』
…こういうこと考えてる暇ないや…
『…お父さん』
「…?何だ?」
『人を殺す仕事ってことは…自分達にもそれなりの被害が来るんだよね…?』
「まぁ…相手の仲間に逆恨みされたりな…」
『…最悪、死ぬこともあるんだよね…?』
「まぁ…俺は人を殺して金貰ってる立場だからな…」
…そんなの嫌だよ
もうこれ以上、家族からは誰1人欠けて欲しくない…
「…武臣、お前の娘でも何かあったら大変だ」
銀髪の人がそう言う
「外部に漏らされても困る…だから…」
「俺たちの手伝いをしてもらう…勿論ショートのお前もだ」
「えっ私も…?てかっなにそれっ!」
『じゃあ…私達も人を殺すってこと…?』
「そういう訳じゃねぇよ」
クラゲみたいな髪型をしている男性がそう言った
「単に”手伝って”もらうだけだ。外部に漏らさない限りお前は普段の生活に戻るだけだ」
『は、はぁ…?』
ますます訳が分からないよ…
「…とりあえず、私と花は外部に漏らさない限り普段の生活をすればいいってこと…?」
「そうだ…」
『…』
…悔しいよ
私…またお父さんの力になれないの…?
「まぁその代わり…」
「ここをアジトとして使わせてもらうけどな…」
「「…はっ?」」
お父さんと私の声が同時に響く
「い…いやいやいや!普通に考えて有り得なくない?!」
一花の言う通りだよ…
外部に漏らさなければそれは手伝ってるって事じゃなかったの…?
「まぁ…それは俺らの勝手じゃん?」
七三分けをしている男性がそう言う
「俺も…JKの家に居候する悪趣味な男じゃないんだけどね…?」
『JCですね』
「JCの家に居候する悪趣味な男じゃないんだけどね…?」
変えるっちゃ変えるんだ…
「まぁ…アジトにするだけでここに敵が入り込んでくることはねぇよ…」
「そ、それ…ホント…?」
「あぁ…なるべくお前らに迷惑はかけないようにする…」
ここにいる時点で既に迷惑かけてる気が…
「まぁ…花に迷惑かけないんならいいけど…?」
「おっ聞き分けいいなお前」
「それはどうも」
一花があんな顔してる所初めて見た…
いつもニコニコしてるから…
一花は心底迷惑そうな顔をしてそう言った
『…お父さんは、それでいいの…?』
「俺は…花がいいなら…」
『じゃあ…まぁ…迷惑かけないなら…いいですよ?』
「よしきたっ!」
「…それにしてもお腹空いたぁ…」
一花がそう言う
確かに…コンビニ行かずにそのまま来ちゃったから…
「…それなら、俺が何か作る」
図体がデカい男の人がそう言う
『えっいいんですか…?』
「こっちは一応借りてもらってる側だからな…ちゃんと借りは返す気だ」
「おお〜!楽しみ〜」
一花はそう聞くと楽しそうにソファに座った
『あ…そういえば皆さんの名前聞いていませんでしたね…』
「あぁ…俺の名前は”佐野万次郎”だ…首領だ…」
「佐野万次郎…マイキー?」
「まぁ…」
佐野さんは不服そうな顔をしながらそう言った
「…俺は”三途春千夜”…NO.2だ」
「三途春千夜…春ちゃん?」
「変なあだ名つけんじゃねぇよ」
「その方がなんか良くない?」
三途さんはそう言うとキッチンにいる男性に目を向けた
「…俺は”鶴蝶”…NO.3だ」
「鶴蝶…鶴ちゃん!」
「は…?」
鶴蝶さんはそう言うと止めていた手をまた動かし始めた
「俺は”灰谷蘭”〜幹部だよ〜」
「灰谷蘭…蘭さん…」
「なんで俺だけあだ名じゃないの」
一花の嫌いなタイプだったそうだ
「…俺は”灰谷竜胆”…幹部だ」
「灰谷竜胆…竜ちゃん!」
「変なあだ名つけんなって…」
どっちも苗字が”灰谷”ってことは兄弟かな…?
名前で呼ぼ…
「俺は”九井一”…幹部だ」
「九井一…ココちゃん!」
「お前の本名それだったのか…」
「仲間の本名忘れてんじゃねぇよ」
…さっきから気になってたけど…この人達、刺青してる…?
「俺は”望月莞爾”だ…幹部だ…」
「望月莞爾…莞爾さん…」
まぁ流石にあだ名では呼べないよね…
「最後は俺だな…知ってると思うが…”明司武臣”だ…相談役だ」
全員の自己紹介が終わると料理が完成する所だった
『いい匂い…!』
「この匂いは…!オムライス…?」
オムライスなんて…久しぶりに食べるな…
「家にあった材料だけで作ったから質素だが…味は大丈夫な筈だ…」
この人…料理上手いのかな…
オムライス全然崩れてない…綺麗…!
「それじゃあ…!」
『い、いただきます…』
スプーンを持ってオムライスをまずひとすくいをした
『…!美味しい…!』
卵もフワフワだし…!なにより…
久しぶりに人の手料理を食べたから本当に美味しい
…だけど…何か入ってる…?
「んん〜!美味しい〜!」
「おい…食事中だぞ、黙れ」
「えぇ〜別にいいんじゃん〜…ね、春ちゃん?」
「だからその呼び方はやめろって…」
…なんだろこの味…
『…隠し味にマヨネーズ…入れてます?』
「…!なんで分かったんだ…?」
『な、なんとなくです…』
「えぇ〜!よく分かったね…!」
それに…隠し味にマヨネーズが入ってるオムライスなんか食べたことないから…かな…?
『お、美味しかったです…ありがとうございました…!』
「そうか…なら良かった」
鶴蝶さんは優しくそう微笑んだ
「それじゃ、明日も早いから解散とする?」
「えぇ〜俺はまだいたいなぁ?」
「じゃ花またね〜」
「俺の対応雑じゃない?」
まぁ…これに関しては人の好みの問題だよね…
『一花、外真っ暗だから気をつけてね』
「うん!勿論!」
私がそう言うと一花は手を振りながら私の家を去った
「悪いな…皿洗うの手伝わしちまって…」
『大丈夫ですよ、私も任せきりは良くないので』
『それに、オムライスも美味しかったです』
「…そうか…なら良かった」
皿洗いの手伝いが終わるとほとんどの人は帰っていた
『…それじゃあ鶴蝶さん、気をつけて』
「ああ…」
鶴蝶さんはそう言うと外を出た
『つっかれたぁ…』
今日は色々ありすぎたな…
いつもより何億倍も疲れたや…
早く寝ちゃおう…
…明日も暗殺か…