俺が麒麟に戻って先生を待っていると
先生が黒い着物と鳥のマスクを持ってこちらへ来た。
「ペストマスクだ。患者にバレないように
隠せ。見られちまっただろうがな。」
「あ…はい。」
「それと、今は天界だがヨーロッパにある
イギリスに行く。それを着て顔なんかを隠してくれ。
角については帽子で隠すのだ。」
そう言われ、俺は帽子も被った。
ペストマスクは穴が空いていて呼吸可能だし
周りも見えるからまだ良い。着物も慣れている。
それなんかを考えてくれたのかと感動した。
それから数時間、着物を着てから行動したが
天界じゃ気温が不安定なので
寒ければ白衣もしていた。
先生はというと黒衣(黒い白衣のようなもの)
を着てから帽子にペストマスクだ。
「何故、黒衣なのですか?」
ふと俺が聞くと先生はこう答えた。
「襟が長かったりするから翼が隠れる。」
それに成る程と納得した。
俺は翼がないから和服で良いわけだ。
そんなことを考えていると
患者さんが起きたので昼飯を作って食べさせた。
思った以上に元気になったので
速退院になったが天界じゃ普通らしい。
なんせ天人なんだから回復が早いのだ。
だからこそ死病にかからないと死なない。
点滴を外して仕舞うと俺は汗を拭った。
ヨーロッパに行くために荷物もまとめないといけないから
大忙しだ。薬品もまとめて器具もまとめると
天界からすぐに出た。先生も翼をうまく隠して
鳥になったかのように空を飛ぶ。
下から見ればツバメのようだ。
俺はただの下から見ても鳥頭の牛だが
翼がないのだから仕方がない。
飛べば飛ぶほど金色の空から
青く澄み渡った空になった。見たことのない美しい光景に
俺は胸を打たれる。狭い空じゃなくて、真っ白な入道雲に
とても広い透明感のある空は忘れられない。
爽やかな気分なって、またそこから驚かされた。
イギリスの白だ。教会なのかもしれないが
その西洋を感じさせる街中はとても綺麗だ。
姿にも個性があり、透き通るような白色の肌に
革服を着ている。煙草を吸って煙を吐く姿が目に焼き付いた。
キョロキョロと俺がしていると
先生は先に進んでいってしまった。
俺は迷子なんかにならないように
先生の後をついていくと森に入っていった。
青々とした葉の間から光が入って
俺と先生を青く照らした。
獣道に足を踏み入れていくと突き当りには
角砂糖のように白色の病院があった。
そこには
と書かれていて、まだ新しい。
俺は新鮮な気分でその病院に入ってみた。
先生も後に続いて病院に入ると
部屋もちゃんと出来ていて、患者の部屋も倍以上。
くつろげるような部屋もあった為、とても嬉しかった。
イギリスって最高だなぁとつくづく思いながら
手術器具やらを設置して
いつでも患者が来ても良いように準備をした。
それらも全て完了し終えてから
俺がグッタリしていると
先生は忙しそうに動き始めて電話なんかをしていた。
電話のしまいには少し笑みを浮かべて
「分かった。」
なんて言っていた。
始めてと言っていいほど笑わない人だったので
俺は驚きと同時に嬉しくなってしまった。
そんなこともあって、俺はイギリスの病院で
改めて助手をすることにした。
過去のトラウマも水に流すように心がけて
先生のサポートをすると心に決めたのだ。
そんな決意と同時に生活は始まった。
人の患者も体の作りは似ている。
いつでも俺はカルテを持って
原因から経路まで調べ尽くした。
だからそこ、いつしか有名になって
「BIRDドクター」
と親しまれるようになったのだ。
BIRDはペストマスクを鳥と考えたのだろう。
俺と先生は、これを機に”BIRDドクター”として活躍したのだ。
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