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先輩はしばらく黙っていた
何かを言い出そうと顔を上げたり
でもやっぱり頭を下げて躊躇ったり
ちょっと忙しい先輩だね
なんて思いながら気長に待っていたとき
???「あ、あのっ……!」
先輩がやっと口を開いた
澪『はい?どうなさいましたか?』
???「実は……君に一目惚れしました!」
澪『え、えぇっ!?』
私は先輩の言う事にびっくりして
かなり素っ頓狂な声を出してしまった
???「良ければ僕と付き合って下さい…!」
それだけではなく告白までされた
いや、嬉しいよ?嬉しいけど!
澪『あの、お気持ちは嬉しい…です』
私がそう言うと、先輩はあからさまに
悲しそうな顔をした
澪『あぁいやっ……その…
お互いに今初めて会ったわけですし
自己紹介でもしませんか…?』
???「あ、あぁすまん!」
先輩はちょっと顔を赤くした
すぐ表情に出て可愛いな、なんて思った
sha「俺は騎威 紗緒 って言うねん
ちな、3年2組やで 」
澪『騎威先輩ですね、はじめまして
私は桜羽 澪です』
sha『澪ちゃん!ええ名前やなぁ!』
騎威先輩は眩しい程の笑顔を見せてきた
澪『ありがとうございます…!
ところで、先程のはどういう…? 』
sha「あぁごめん、急に困るよな
俺もよく分かってへんねんw
ただ、好きやなぁって 」
澪『そうなんですか』
好意を持たれるというのは凄く嬉しい
そう、本当に嬉しいんだよ
でもなぜか、素直に喜べなくて
今好きでもどうせ捨てられるよねって
そんな心配をしてしまう
澪『もし、私と付き合ったとして……
どうしたいんですか…?』
sha「幸せにしたい
ただそれだけのことやで」
初対面でよく言えたもんだ
そう思うってしまうのは、
私の性格が悪いからなのだろうか…
澪『私といても楽しくないですよ』
騎威先輩は悪い人じゃない
それくらい初対面でも分かる
あの真っ直ぐな眼差しと言動
私には勿体ないくらい眩しい笑顔
全然良い人なんだろうけど
澪『後悔するかもしれませんよ…?』
こんなに素敵な先輩が私を好きだなんて
どうしても信じられなくて
悪い方向にばかり思考が向く
sha「じゃあ、俺が楽しませたるやん
2人で楽しい思い出作ろうや 」
その言葉にハッとする
澪『あ……え…』
sha「あぁごめんっ!
初対面で何言ってんねやろ!」
焦ったように先輩は言葉を発する
sha「無理にとは言わへんねん!
嫌やったらそれでええねん! 」
澪『……………信じて、良いですか…?』
sha「…!」
澪『騎威先輩は、離れませんか…?』
sha「え、な、何で泣いて……」
私はいつの間にか涙を流していたらしい
騎威先輩が凄く困惑した様子を見せる
sha「すまん泣くほど嫌やった!?」
澪『いや、違くて…』
私は涙を拭って話そうとしたが
喉に何かがつっかえて声が出てくれない
sha「じゃあ、こうしようや
1週間お試しで付き合おう
俺がその間めっちゃ楽しませる
それでどうするか決めてや」
どうして騎威先輩はそこまでして
私と付き合いたいのだろうか
そこがイマイチ分からないが
とにかく好かれるのは嬉しいことだ
澪『………分か、りました… 』
sha「ほんまに!?ありがとう!」
騎威先輩はパッと表情を明るくする
sha「休み時間、絶対に来るからな!
あ、あと帰りも空けといてや
一緒にデートしよ! 」
澪『でっ…!?』
初日からデートとかぶっ込んだな…
sha「駄目やった…?」
首を軽く傾げてこちらを見てくる
不覚にも可愛いと思ってしまった…!
澪『……良いですよ』
私は押しに負けて承諾してしまう
sha「やった!」
そんな会話をしていると
いつの間にか外が騒がしくなっていた
見ると、たくさんの生徒が歩いている
澪『も、もうこんな時間…!? 』
sha「時間経つの早ぁ…」
騎威先輩は少し暗い表情になった
でもすぐにいつも通りの表情になる
sha「じゃ、また後で!ほな!」
先輩は小走りで去って行った
友「澪おはよ〜
今先輩とすれ違ったけど…
澪あの人と話してたの?」
騎威先輩とすれ違いで来た友達に
そう聞かれるも、私は
澪『あはは……何でもないよ…』
と、苦笑いするしかなかった