「ねえ、何で勉強って必要なの?」
僕は小さい頃、母に聞いたことがある。
母は言った。
「それはね、将来のためよ。あなたは将来頭がよくなっていい大人になるのよ。 」
僕は中学3年生。藤原神楽。
よく頭いいねだとか、天才とか、そんなことを言われる。
成績はだいたい5でたまに副教科をしくじることがある。個人懇談では真面目な生徒としか言われない。
今日は夏休み明けの始業式。僕のクラスには転入生がきた。
彼の名前は五十嵐日向。初めて見たとき、何だかやばいやつが来たと思った。
中学生なのに耳にかかった寝癖だらけの髪の毛にワイシャツ一枚。しかも腕まくりをしている。
これが転入生の格好か、、?普通ブレザーは着てこない?僕は絶対関わらないなと薄々思っていた。だが、現実はうまくいかない。担任は
「じゃあとりあえず、藤原さんの隣で、学級委員だし。」
学級委員といえど特に大きい仕事はないため、これが初大仕事だ。
まず、雰囲気を良くするために話しかけてみることにした。
「五十嵐、よろしくね。僕、神楽。」
五十嵐が俺の方へ振り向いた。
「あ、よろ。」
予想以上に軽くてチャラついている。それに加えて無愛想な顔。仲良くなれそうにない。むしろあまり関わりたくない。
こう言うタイプは人生の中で関わることがないと思っていたのに。
だが、僕は誰にでも優しく接することがモットーである。
「次、技術だよ。部屋知らないでしょ、案内するよ。 」
「次、技術なんだ、、、へぇ。」
僕は五十嵐を連れて技術室へ行った。
技術の担任は川端という。彼は学校一のモンスターだ。
なぜかと言うと彼は見た目や行動一つで人を見ている。加えて偏見が強い。性格を否定したりと行動が今の時代感に合わないのは可哀想なことだ。彼は僕の知る中で一度だけ担任を持ったことがあるが、25人のクラスで5人が不登校となり、雰囲気は最悪だった。
今では副教科の教科担任だが、いずれも生徒、保護者からの評価は低い。
親への教育方針に口を出したり、ねちっこい。僕もあまり好きではない。
そんな川端が待つ技術室へ向かおうとしたが、五十嵐が
「ちょっとトイレ。」
あと5分で授業が始まるって言うのに。急がなければ。
「先いっているからな!」
そう言って技術室の階と簡易的な地図を描き立ち去った。
授業が始まる2分前にやっとの思いでついた。
だが、川端がすでに教壇に立っていた。
「まずい。」
思わずそう口にした。それには理由がある。
川端には変なルールがあり、川端が教壇に立つと、まだ休み時間だろうが授業が始まる。
それに間に合わなかった奴らは大体3時限ごとに現れるが、いずれも罵詈雑言を浴びせられた。
それが不良だろうが何だろうが心を破壊されていたように見えた。
その様子をあえて他生徒に見せることで授業に遅れたらこうなるという、 恐怖で支配するもはや独裁政権だ。
これは今の時代パワハラなので僕は訴えようといていたが、中3の成績というものは今後に大きく響く。もし逆恨みなんかで評定を下げられたらこれまでの努力が水の泡。
それに、いつも怒られるのは不良生徒やだらしないやつだったのでいつのまにか観覧者になってしまっていた。それはきっと他の先生も同じなのだろう。
教室内が静まる。まるで凍りついている。川端が僕を見る。口元が気持ち悪く笑った。
「あれぇ?こーんなに遅刻してどうしたのぉ?もう授業始まってるんだけどぉ?」
「、、、っ」
始まってしまった。
僕は現在の恐怖と今後の恐怖で体が震え倒している。
だが、このままだと罵詈雑言のうえ、成績が下がる。
「ねえ!なんか言うことないの?ねーえー。」
脳内で一番いい答えを編み出している。僕も川端も円満で終わる方法、、。
そう考えていると
「あ、そう言えばさー、藤原くんってぇ、真面目すぎて平凡じゃない?ねえ!みなさん。 」
いつもなら苦笑い程度の微笑は起きるもの、今回は僕が標的だったためかみんな戸惑っている。
「ああ笑、みんな気使うか、だって彼は優秀な生徒ですものねぇ。へー。」
僕はもうどうしようもない。何ならこの授業休んだ方が良かったのかな。
川端のキレ具合が尋常じゃない。
「て言うかさ、今日来た転入生ってのはどこだよ。なあ!」
その言葉に皆が沈黙する。いや、沈黙から表情までが冷えあがった。
「あれぇ?いないみたいだねぇ。お世話がかりはお前じゃねえのかよ!!学級代表!
今頃、道に迷ってんじゃねえの?可哀想だねぇ。」
そう笑いながら僕のシャツを掴み
「お前はダメ人間だな、人のことを考えず浅はかな行動で、自分しか見えてないんじゃねえの?」
そう言った。
「ダメ人間、、?」
疑問に思った。なんで、お前に言われなきゃいけないんだ。川端。ダメ人間はっ、、。
いや、俺もあいつを、五十嵐を置いていって。自分だけ免れようとして。
ああ、もう僕は。嫌な人間なのかも。
コンコンコン🎵
「おーい、お待たせー。藤ちゃん。」
そう言ったのは五十嵐だ。入り口にいる。ああ、お前ここがわかったか。良かった。ああでもお前も遅刻だ。
「ごめん、、」
そう言いかけた僕を遮るように
「何この光景。怖いんだけど。」
五十嵐がゴミを見るような目で川端を見ているのがわかった。
これに少し驚いたのか川端は僕のシャツを離した。その反動でヨレヨレの僕の足は役目を成さずに
そのまま転げた。
「やあやあ、君がが五十嵐くんねえ?あのさ、君を見放して先に行ったこいつ。
イカれてるよねぇ?こいつが悪いと思うなら、遅刻免除してやる。」
そう五十嵐に投げかけた。
その言葉を無視して僕へ駆け寄り、起き上がらせてくれた。
「藤ちゃん、ごめん。俺がトイレ行かなきゃ間に合ってたよね。でも大丈夫。お詫びはするよ。 」
そう言ってニコッと笑った。無愛想は顔からは想像つかないくらい。
「あんた、川端だっけ?じゃあふぐちゃんね。」
その態度に川端は逆に冷静になり、
「何でぇ、ふぐなんだ?」
そうといている。
「だってーふぐってブーブー豚みたいになくんだよ?だから河豚(かわぶた)って」
にこにこケラケラしながら言った。だけど表情を変え
「今のぶーぶーぶーぶー言ってるあんたにピッタリだろ?」
と真剣な顔で言った。
第二話へ続くー