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コメント
1件
うわああ亜弥子さんの気持ち痛いほどわかるよ〜😭💦 山下さんとの二人きりのお茶、願ってもないチャンスだったのに「前島くん誘って」って言っちゃうの、自分を守るための保険かけた結果がこれか…って思うと切なすぎる💔 「おばさんに負けた」って自己卑下するとこも、美容に頑張ってる理子さんと比べて落ち込むのも、すごくリアルな人間の感情だなって思ったよ。でも前島くんの神タイミング退場には笑ったw 彼には悪いけどGood Jobすぎた🤣 亜弥子さん、次こそ勇気出せますように…!応援したくなるヒロインだね🌸
82 ◇思いを寄せていたのに
容姿端麗で性格もこんな積極的ではっきりしている人間、危ないでしょ……
どうみてもね。私勝てる気しないしぃ。
理子は綺麗な顔をしていて目はくっきり二重瞼でナイスバディをしている。
もう30手前の29才ってことで去年あたりからお腹やわき腹のぜい肉を
吸引して取ったり、瞼の幅を広げたりとかなり美容にお金をつぎ込んでるらしい。
何事も堂々とやるので、ある意味その行動力とあっけらかんとした性格が
羨ましい。
私など、お金もないけど自分のぜい肉の付いた身体を
相手が医師と言えども恥ずかし過ぎて見せられないよ。
瞼整形して綺麗になるのも抵抗がある。
医師や助手が自分のことをどういう風に見てるんだろうって思うだけで
もう駄目っ。彼女見てると『かなわん』って思う。
しかし、山下さんったら私からの情報はちゃんと生かしてたんだ。
ちょっと考えてしまうな。
私からここの情報聞き出してた時、すでにさっきの女性を
思い浮かべていたんじゃないかと。
私の誘いには乗らなかったのに彼女のことは誘ったのだ。
そのことが少しチクリと胸に刺さった。
彼女はどう見ても私より一回りは確実に上の年齢に見える。
『おばさん』に負けたのだという現実が私を打ちのめした。
そんな風に考える自分が嫌な人間だなって思うけど、どうしようもなかった。
◇思いを寄せていたのに
島本亜弥子には入社してから数年間、ずっと気になっている男性がいる。
会社のイベントなどではなるべく話ができるようにいつも山下の
近くにいるようにしている。
だが、なかなか話し掛けるきっかけが掴めず苦戦していて、二人きりで話したことが
あるのは後にも先にも一度、たった一度だけ。
他にもたくさんの社員がいる中、社内で行われたクリスマス会のあった日、
不自然にならないように少しずつ間合いを詰めて山下の隣を
キープすることができた。
飲んで食べて無礼講みたいな空気感の中、かつてないほど
彼と会話を楽しめて幸せだった。
だから何かその先の進展を期待したけれど、何もなかった。
83 ◇チャンス到来
年上過ぎてこちらから誘うのはなんだか気が引けて自分から進展させることも
できずにいたけれど、ある日チャンスが巡ってきた。
前々から自分に気があるらしい1つ年下の前島から休日出勤の帰り道
羊と亀のお遊戯会
515
#名探偵
空蝉 桜
136
おきつね
101
『お茶でもどう?』とすぐ先に見えるカフェを指差しながら誘われた。
たまたま帰ろうと社屋を出たところ視線の先に山下の姿を見つけ
『どうしよう、こんなチャンスもう二度とないかも』
と変に焦っていたところだった。
……というのも帰宅時間が同じになるなんて今までなかったから。
同じ頃というのはあったのかもしれないが、視界に入るくらいの同時刻
というのはなかったのだ。
亜弥子は小走り気味に急いで歩き出した……ものの、なかなか声を掛ける勇気を
持てずにいた。
そんな時だったのだ、後ろを歩く前島から声をかけられたのは。
ちょうど山下のことを考えながら歩いていたこともあり、亜弥子は反射的に
前島に返事をするより先に、前方を歩いていた山下に声を掛けていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「山下さぁ~ん、前島くんとお茶して帰るんですけど一緒にいかがですか」
私の声掛けに山下さんがこちらを振り向いた。
「おぉ、いいね。仕事疲れで喉を潤したいって思ってたところだよ」
「山下さん、どっかで寄り道して一杯ひっかけて帰ろうとしてたんじゃ
ないっすか」
「ンまぁ、そんなとこかな、ははっ。で、どこにする?」
「そこにしませんか」
前島くんがさっき指差してた店を改めて提案した。
私たちが席を決めて座り、何を注文するか決めていた時のことだった。
前島くんの携帯が鳴った。彼があちゃぁ~って顔をした。
すぐに電話に出て対応した前島くんが言った。
「気にはなりながらたぶん上手くいくだろう、いってくれぇ~って思ってたら、やっぱり
やり直しの指令がきたぁー」
と絶叫し、彼は御免のパフォーマンスを残し社屋に戻って行った。
私と山下さんはふたりして、彼のまるで独り芝居のようなパフォーマンスを
ジトーっと眺め、彼がカフェの扉を開けて慌ただしく出て行くのをぼんやりと
見つめた。
「あーあ、言い出しっぺがいなくなっちゃいましたね」
「相変わらず落ち着きのないヤツだよ、まったく」
前島くんGood Jobだよ。サンキュー。
84 ◇折角のチャンスをものにできず
「忙しい中のしばしの休息もなくなって、前島もご愁傷さまだな」
「仕方ないですよね。
3月辺りまで猫の手も借りたいほどの繁忙期ですから」
「まぁ、時間の取れる時にちゃんと休養しておかないとな。
島本さんは今週は休日出勤はないの?」
「実は明日半日ですが出勤する予定になってます。
山下さんは?」
「俺はきっちり土日休みを取るよ」
「わぁ~、いいなぁ~」
◇ ◇ ◇ ◇
話をしている間に運ばれてきたのは島本のエスプレッソに
山下がオーダーしたカプチーノだった。
「島本さんだったらこの近辺で友だちと行くならどこがお勧めかな」
-手元にあるハートマークの浮かんだエスプレッソを眺めていたら
山下さんから人気のスポットの話題が出た。-
「それって女友だちとっていうことでしょうか」
「う~んと……、じゃあデートも含めてってことで」
「私一度学生時代に行ったことがあるんです けど、異人館が立ち並ぶ
北野の異人館街がよかったですよ。
近くにフランス料理を堪能できるお店もありますし。
あぁ、もちろんフランス料理のほうは就職後会社の同僚とですけどね。
学生の分際で行けるお店ではないので」
「私でよければ、異人館もレストランもご案内できますけど?
前島くん誘って3人で行ってみます?」
「ははっ、若者の邪魔はしたくないなぁ~。パスっ」
前々から仄かに好意を寄せている山下との二人きりで話せるというチャンスを
ものにするべく、かなりの勇気を振りしぼり誘ったつもりだったが一刀両断されて
しまった。
『前島くんを誘って』というのはよけいだっただろうか。
けれど『私と』と言って断られることはとても耐えられそうになかった。
亜弥子からすれば、3人で行くことにして後で前島に気持ちを伝えて
2人で行ければ、との望みをかけていたのだが。
がっくり項垂れていると、白けた空気をものともせず山下が言った。
「コーヒーもなくなったし休憩終わり、終わり~。
早く帰って寛ぎたい~。ごめんな爺臭くて。
もう40代、疲れるんだよぉ」
「分かりました。
さてと、私もまだ20代ですが同じく家に帰って疲れを取るとしますか」
私ったら何やってんだか。
◇ ◇ ◇ ◇
天から降ってわいたようなチャンスをものにできず亜弥子は
一挙に疲れを感じるのだった。