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光の消えた路地にたたずむひとつのバー。
周りに人はおらず、建物でさえ廃墟ばかりのこの場所に、なぜ店をひらいたのか不思議になる。
バーボンは、今夜このバーに呼び出された。
このバーに呼び出されるのは、決まって幹部に報告があるときだ。
しかし、幹部も多忙の身、滅多に呼び出されることはない。
愛車である白のマツダ・RX-7 を走らせこの地に出向いた幹部の一人、バーボン。
表の顔は私立探偵で、毛利小五郎の弟子である安室透。
毛利探偵事務所の下にある喫茶店ポアロで働き、その高い顔面偏差値から、jkに人気なんだとか。
そして、裏の顔は組織の幹部。
情報収集力と洞察力は組織随一であり、探り屋として動いている。
しかしそのどれも、彼のいくつもの顔の一つに過ぎない。
正体は、警察庁警備局警備企画課所属の公安警察官。
組織へ潜入しているNOCの一人だ。
ボロを出すことは許されない。
バーボンはその重い扉を開けた。
キイィィィィと軋む音が鳴り、暗い路地に光が漏れ出す。
「あら、あなたにしては遅かったわね、バーボン」
こっちにきなさい、とでもいうかのように手招きするのは、バーボンもよく行動を共にする大幹部、ベルモットだ。
「千の顔を持つ魔女」とも言われる変装の達人で、極度の秘密主義者だ。
バーボンはベルモットの隣の椅子に腰かけ、店内を見回した。
外見とは違い、中はきれいにされていて、アンティークを基調にした洒落たバーだった。
「マティーニをお願い」
ベルモットからの注文に、バーテンダーはこくりとだけ頷き、棚からジンとドライベルモットを取り出す。
「そういえばジン、遅いですね」
「本当、ジンが私達を呼んだのに、あの痩身長躯ったら,,,」
「悪かったな」
体にずっしりと響くテノール。バーボンを射止める冷酷な目。
しかし、その目線はすぐに逸れ、扉の後ろを向いた。
「今回は、少し紹介したい奴がいる。出てこい」
少し足音がしたその瞬間、バーボンも背筋にとてつもない悪寒が走った。
ただ者ではない、と脳が警報を鳴らす。
扉の後ろから現れたのは、背の高い金髪で青い目の男と、これまた背が高く豚の面をつけたがっちりとした体格の男だ。
金髪の方は、顔面国宝級のバーボンでさえ整っていると思うほどの美男だった。
きっと休日は図書館に行ったり近場を散歩したりと静かな時を過ごしているのだろう,,,,,,,,,,,という想像は、まことに残念ながら一瞬で崩されてしまう。
「いやあ、皆さんかしこまらないでくださいよ!!あっどうも、プーニっていいます!!!」
パリン、そんな音が聞こえたような気がした。
バーボンの脳内警報はだんだん鳴りやんでいった。
「すみません、うるさくて。俺はルースコエいうて、まぁ、アイツの保護者みたいなもんですね」
はぁ、と溜め息を吐くルースコエは、バーボンと同じ香りがした。
「コイツらが、新しく幹部になる奴だ。これは、あの方からの"命令"だ」
「ずいぶんと気に入られているのね、あなた達」
バーボンは胃が痛かった。
ジンやベルモット、その他トリガーハッピー達だけでも大変なこの任務に、プーニ、ルースコエといった要注意人物が追加されてしまったのだから。
「ねぇ、ジン。この子達は何ができるの?」
それは、バーボンも気になったことだ。
彼らがどれほどの実力があるのか、今後の任務でも必要になってくるため、知っておきたい。
「暗殺能力に非常に長けている。組織で随一かもしれないな」
潜入捜査官というものは、非常に大変な仕事なのである。
「いやぁ疲れたな!」
「俺はお前がボロを出さないか、滅茶苦茶心配やったんやぞ!」
先程のバーから少し離れた駐車場。
ルースコエは自転車のロックを解除する。
「俺、歩きできたからその千里馬号、乗せてってや!」
「歩いて帰れ」
「まってや、6kmぐらいあんねん!」
悲痛な叫び声が木霊する夜の路地。
今日は、彼らを隠すような黒く美しい夜だった。
プーニはイタリアのウイスキーで、ルースコエはロシアのビールです!(多分)
コメント
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トン氏とコネさんだ!