『 雪降る世界に真紅の華を 』
ー 残月 ー
side:燈
私の隣の席の女の子は
とても整った容姿をしていた。
そして、どこか普通とは違っていた
高2になって高校初めてのクラス替え
そこで私の隣の席になったのは
薄紅色の頬が似合うあの子。
どこか特別な雰囲気があり、話しやすくて
休み時間に話したり一緒にお昼を食べたり
少しずつ仲良くなっていった
そうは言ってもあの子は仲の良い子が多くて
私はその中の1人に過ぎなかった。
友達としてあの子のことは好きだった。
あの子が普通の子と違っていると感じたのは
仲良くなって半年ぐらいたった時 。
クラスメイトの女子、桜が彼氏と別れた。
彼氏のことはまだ好きだった
でも、自分への愛が薄れていっている事に
なんとなく気がついてしまって、
とても耐えられなかった。
だから、自分から振ったのだと。
確か、そんな内容だったと思う
出来ることならまた前の様に付き合いたい
そう寂しそうに話す桜にみんなは
「辛かったね」
「桜なら大丈夫だよ」
「次があるよ」
なんて慰めの声をかけた
そんな中 、
あの子だけは心底不思議そうな顔をして
「意味わかんない。 まだ好きなら別れなければいいじゃん、辛いって、馬鹿みたい。」
真っ直ぐ目を見てそう言った。
その言葉に桜は泣き出し、
女子達はあの子のことを責め出して、
それでも、
本当に意味がわからないという顔をした。
そして、
責めたてる周りの声など
聞こえてないとでも言うように
どこか遠くをぼーっと見つめていた。
その瞳が、泣きじゃくる桜よりも
何故だかずっとずっと悲しそうに見えた
あの子の言葉には、目には、
どんな意味が含まれていたのだろうか
教室の窓に淡い残月が映る。
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