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そう、自分にできることは限られているのだ。
どうすれば彼を安心できる?目が見えない彼に、真っ暗闇にいる彼に、どう光を見せればいい?
悩んでる中ふと脳内で記憶が蘇る。彼との思い出で思い出したことがあった。それは私が中学生の時。何もかも嫌になって放り出したくなって泣きまくってた私に彼が励ましてくれた。頬を手で挟んで目を合わせて大丈夫だよ、って。優しい笑顔で言った彼は輝いて見えた。その時から私の光になってくれたんだ。
今度は私の番だね、空。
前してくれた時のお礼とはいってはなんだけど、今度は私が光になろう。
声は届かないけれど、私達なら大丈夫だ。そう確信した。
数分経って、意を決意した私は彼の隣りに座って手を伸ばした。
目を合わせることはできないけれど、でも安心してもらえるように私は優しく包む。
ただ今の私は声が届かない。だから大丈夫っても言えれない。だから大丈夫と言う代わりに頭を撫でる。何度も何度も、私の気持ちが伝わるように。
その間彼は何も言わず私がしてる事を受け止めるようにじっとしていた。
どのくらい経っただろうか、暫くされるがままだった彼はようやく口を開けた。
「ありがとう」
その声はとても震えていて、泣くのを堪えるように肩を震わせていた。
「あのときみたいだね」
覚えてくれていたのかと目を丸くする。
「今度は俺のことを助けてくれたね」
本当に助けられたのだろうか。
何も出来ずに言う私を無視して彼は言う。
「ずっと、あいたかった」
小さく途切れ途切れで言葉を紡ぐ。
「目が見えれなくなって絶望した。もう君が好きな空を一緒に見ることはできない。
一緒に色んなものを見れなくなってしまった」
「君に嫌われると思った」
「こんな俺を見て引くのが怖かった」
だからごめんと。
私は気にしてないというように頭を撫でる。これぐらいにしか出来ないから。どうか伝わってほしいと心に願うばかりだ。
それにね、空。私は風景もたしかに好きだけど、空と一緒に映る風景が好きだったんだよ。だから君がいなくちゃ困るのに。
「….俺さ分かるよ」
うつむいてた顔をあげて彼は言った。
「声でなくなったんだろ」