テラーノベル
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白銀の世界の物陰で、黒い肌に黒地に緑の禍々しい模様が走るローブを纏った男――1x1x1x1(ワンバイワンバイワンバイワン)は、己の震える両手を蒼白な顔で見つめていた。
かつてFORSAKENの凄惨な殺戮の庭において、彼の名は死そのものを意味していた。
サバイバーたちの絶望の悲鳴を糧とし、無数の命を容赦なく葬り去ってきた最凶のキラー。
毒と破壊の化身であるはずの彼が、今やかつてないほどの惨劇――いや、喜劇の渦中に叩き込まれていた。
理由は明解にして最悪。
このあべこべの世界「SWAPSAKEN」が誇る強力な領域法則【己が最も大切にしていた概念ーーアイデンティティの反転】の呪いである。
「な、なんだこれは……!? 力が……身体が、重い……!?」
1x1x1x1は物陰から脱出しようと足を踏み出した。
しかし、かつてサバイバーたちを瞬く間に追い詰めた素早さは影を潜め、足元はまるで泥沼にハマったかのように覚束ない。
角を曲がろうとした瞬間、自分のローブの裾に足を引っかけ、派手な音を立てて豪快に転倒した。
「ぐはっ!? い、痛ぇ……! なんだこの足腰の弱さは!? 運動音痴なサバイバーでも、もう少しマシな走り方をするぞ!?」
膝を摩りながら立ち上がろうとするも、足元が生まれたての小鹿のようにガクガクと震える。
最凶キラーの威厳など欠片もない、運動神経マイナスレベルの哀れな体たらくだった。
だが、本当の地獄はこれからだった。
遠くから、ガシャリ……ガシャリ……と、あの恐ろしい鎧の足音が近づいてくる。
感情を奪われ、自分を殺害するためだけに可動する「修復道具」――テラモンだ。
白いフードの隙間から覗く金色の殺意が、確実にこの物陰へと向かってきている。
「くそっ、冗談じゃない! いくらテラモンが相手だろうと、今の俺にはFORSAKENで磨き上げたあの絶対的な必殺技がある……!」
1x1x1x1は必死に体勢を整えると、両手に禍々しい緑色の暗黒闘気を練り上げ始めた。
FORSAKENで数多のサバイバーを一瞬で腐敗させ、死の絶望へと突き落としてきた最凶の広範囲毒攻撃――『Mass infection(大量感染)』である。
「喰らいやがれッ!! 世界を蝕む我が毒の濁流を――『Mass infection』!!!!」
気迫満点に両手を前方に突き出し、叫ぶ1x1x1x1。
彼の掌から解き放たれたのは、空間を腐食させる死の毒液――
シュワァァァァァァァ………………。
「……は?」
1x1x1x1の突き出した手から噴き出したのは、毒などではなかった。
それは、なんとも爽やかでフルーティな香りを漂わせる、鮮やかな黄緑色のシュワシュワと泡立つバブ(入浴剤)だった。
パチパチと心地よい音を立てて弾ける温かな泡。
あたり一面に広がるのは、森の木々を思わせるリラクゼーション効果抜群のアロマの香り。
死の脅威など微塵もなく、むしろ疲れた身体を癒やすのに最適な極上のバスタイム空間が、白銀の地に誕生してしまったのだ。
「う、嘘だろ俺の毒攻撃が……!? ただの黄緑色の泡立つバブになってる!??!?!?」
頭を抱えて叫ぶ1x1x1x1。
禍々しい見た目のまま、バブの泡を全身に浴びて立ち尽くす最凶キラー(笑)の悲惨な姿。
そして、その極上のリラックス泡の向こう側から、金色の剣を引きずり、感情の欠片もない瞳をしたテラモンが、静かに姿を現した。
「……ターゲット発見。……『バブ効果:疲労回復』を確認。……殺害を開始する」
「回復してんじゃねえよ!! 助けてくれえええええッ!!」
弱体化した最凶キラーの、惨めすぎる逃走劇の幕が切って落とされた。
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ゆ♨️
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ゆ♨️
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#1x1x1x1
ゆ♨️
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