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ち び
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彼と向かい合って食べる温かい朝食は、これまでの人生のどれよりも楽しくて、美味しくて、胸の奥がずっと幸せな気持ちで満たされていく。
彼のことが、彼と過ごすこの一分一秒の時間すべてが、あまりにも尊くて――。
「……すきだなぁ」
「え?」
あ、あれ……?
今、もしかして声に出てた……?
自分の失態にハッと気がつき、僕は慌てて下を向いて両手で口元を塞いだ。
恐る恐る、指の隙間から彼を見上げる。
目の前にいるしゅんは、僕の不意打ちの告白に相当驚いたのか、箸を持ったまま完全に固まっていた。
「あの……しゅん? 今、なんか聞こえた……?」
聞こえていないなんて可能性は100%ないような硬直ぶりだったけれど、念のため、恥ずかしさを誤魔化すように聞いてみた。
すると、フリーズしていた彼の顔が首筋から耳の裏までみるみるうちに真っ赤に染まっていくのが分かった。
「あ、あかん……っ、」
「しゅん、顔、真っ赤だよ?」
「あかんってほんま……っ//」
いつもは僕をからかってくるくせに、自分が攻められると弱すぎる。
僕はそんな彼がどうしようもなく愛おしくなって、テーブル越しに手を伸ばし、彼の熱い頬を自分の手のひらでそっと包み込んだ。
じわりと、彼のピュアな熱量が手のひらを通じて伝わってくる。
「ふふ、かわいい……」
「ちょっ、! か、かわいいんはじゅうやろ!!」
限界を迎えたしゅんが、真っ赤な顔のまま必死に反論してきた。
「しゅんはかわいいし、かっこいいし、ずるいよね~」
「言っとくけど、それ全部じゅうのことやからな!? 会社でもな、じゅうのこと狙ってる奴なんていっぱいやし、高校のときだってじゅうのファンクラブできてたんやで!? じゅう、なんも知らんやろ?」
「え、なにそれ……。全然知らなかった……」
謙遜とかそういうことではなく、本当に初耳だった。
目を丸くして驚いている僕に、しゅんは「やっぱりな〜」と呆れたような表情で、はぁーと深いため息をついた。
「ほんま、じゅうは自分のことになると鈍感やなぁ……」
「……うるさいな」
「でもほんま、俺が裏でそいつら全部排除せんかったら、今頃もっと大変なことになってるで?」
……ん?
いま、聞き捨てならない不穏なワードが聞こえたような。
「えっと……しゅん、排除ってどういうこと……?」
「え……あっ!!! いや! 別に……っ! な、なんでもない、なんもないで!!!」
しゅんは分かりやすく目を泳がせ、大慌てで両手を振って弁解している。
……いや、絶対に「排除」って言ったよね?
高校時代や会社で、僕の知らないうちに一体何をしてくれていたのだろう。
ちょっとだけ気になるけれど……。
でもまぁ、しゅん以外の他の人のことなんて今の僕には本当にどうでもいいし、彼が僕を守ってくれていたのなら、別にそれでいいかな、と思った。
「まぁ、いいや。わかった」
「お、おう……っ!」
大焦りでお茶をがぶ飲みしている彼を横目に、僕はクスクスと笑いながらご飯を食べる手を進めた。
それにしても、身体の芯からじんわりと温まる、最高に美味しいごはん。
幸せだなぁ。
本当に、東京に帰りたくなくなっちゃう。
「ごちそうさまでした」
綺麗に平らげて手を合わせ、僕たちは朝食会場を後にした。
「今日、15時の飛行機だよね?」
「そうやなぁ。これから部屋に戻って、さっとお風呂入って準備して、11時にはチェックアウトやな!」
「そしたら、空港に行くまで少しだけ時間に余裕あるよね? 帰りにさ、初日にパンフレットで見て気になってた、近くにあるあの湖に寄ってみたいんだよね」
「おー!!! あの、青い綺麗な湖のところやんなぁ!? ええな、行こっ!」
しゅんが僕の提案に嬉しそうに声を弾ませる。
「じゃあ、急ぎで準備しよ!」
「せやな! ほな、大浴場は間に合わんから部屋のお風呂でええか!」
「うん! 十分! 早く行こ!」
僕たちはまた、子供みたいに手を繋いで早歩きでお部屋へと戻った。
部屋の客室露天風呂に浸かって、お互いの身体を温める。
のんびりしたいところだったけれど、今回はほどほどで切り上げて、大急ぎで身支度と荷造りを済ませていく。
私服に着替える僕を見ながら、しゅんが名残惜しそうに呟いた。
「あぁ……じゅうの浴衣姿も見納めやなぁ。寂しいわ」
その寂しそうな横顔を見つめていたら、胸の奥が甘く疼いて、僕は自分の口から未来の約束を紡いでいた。
「……じゃあさ、夏になったら花火行こ。二人で浴衣着てさ」
僕の言葉にしゅんは、弾けるようなキラキラとした輝きをその瞳に宿した。
「ええやんっ! 最高の楽しみ出来たわ!!! 約束な!?」
「うん、約束。ほら早く行くよ!」
お揃いのシマエナガのマグカップを壊れないように大切にバッグに詰め、ロビーでチェックアウトの手続きを済ませる。
お世話になった旅館のスタッフさんたちにお礼を言い、温かく見送られながら旅館を後にした。
名残惜しい気もするけれど、この北海道の旅はまだ終わらないと思えば、僕たちの足取りは驚くほど軽かった。
レンタカーのトランクに荷物を詰め込み、助手席へと乗り込む。
急いで準備をした甲斐があって、予定の11時よりも少しはやくに出発することができた。
ここから、目的地であるあの綺麗な湖までは約1時間の道のり。
窓の外に広がる北海道の広大な青空を眺めながら、僕たちは賑やかなドライブを楽しんだ。
to be continued…
コメント
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こんなに面白い作品に出会えたの初めてです‼️本当に面白くてついつい読むてが止まりませんでした‼️主様の比喩表現が好きすぎます♡最高すぎていいね1000にしました‼️続き楽しみにしてます‼️フォロー失礼します🥰