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かい
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それでは、
どうぞっ。
ーーーーー
その日は朝から慌ただしかった。
レッスン、打ち合わせ、撮影、移動。
気づけば夜になり、宿舎へ戻った頃には誰もが疲れ切っていた。
來亜は机の上に置かれた交換日記を手に取る。
いつもなら新しいページが埋まっているはずだった。
けれど、その日は何も書かれていなかった。
真っ白なページ。
柚葉が忘れるなんて珍しい。
少し気になったものの、「今日は忙しかったから」と自分に言い聞かせてペンを置いた。
翌日も、その次の日も。
ページは白いままだった。
レッスン中の柚葉は普段と変わらず笑っている。
話しかければ返事もする。
でも、どこか遠くにいるような気がした。
來亜は何度も「大丈夫?」と聞こうとして、その言葉を飲み込んだ。
もし話したくないことなら、無理に聞きたくなかったから。
その夜。
眠れずに屋上へ向かうと、ベンチに誰もいなかった。
風だけが静かに吹いている。
フェンスにもたれて空を見上げていると、後ろで扉が開く音がした。
振り返ると、柚葉が息を整えながら立っていた。
🩵「來亜。」
🤍「来たんだ。」
🩵「少し遅くなりました。」
二人は並んで座る。
けれど、いつものように会話は始まらない。
しばらくして、柚葉が小さな声で言った。
🩵「交換日記、書けませんでした。」
🤍「うん。」
🩵「書こうとしたんです。でも、何を書いても違う気がして。」
來亜は黙って聞いていた。
🩵「最近、ちゃんと笑えているのか分からなくなってしまって。」
🩵「不安ばかりで、ノートを開いても言葉が出てきませんでした。」
少し震える声だった。
夜風のせいなのか、それとも胸の内を打ち明けたからなのかは分からない。
來亜は静かに答える。
🤍「書けない日があってもいいと思う。」
柚葉は驚いたように顔を上げた。
🤍「交換日記は、毎日文字を埋めるためのものじゃないから。」
🤍「書きたい日に書けばいいし、何も浮かばない日は白いページでもいい。」
🩵「でも……。」
🤍「白紙も、その日の気持ちなんだと思う。」
柚葉は何も言わず、ゆっくりとうなずいた。
翌朝。
ノートを開くと、白紙だったページの真ん中に一文だけ増えていた。
『昨日、屋上で話せたので、今日はもう書くことがありません。 ありがとう。』
その下に、來亜も短く返す。
『話せた日は、それだけで十分です。』
交換日記は言葉を残すために始まった。
けれど今の二人には、隣に座って同じ夜空を見上げる時間のほうが、ずっと多くを伝えてくれていた。
ノートの最後のページは、もうすぐそこまで来ていた。
next.
コメント
1件
ああ、読み終えたわ……第4話、めちゃくちゃ良かった。 交換日記が白紙のままの日が続くって、ああいう「何を書いても違う気がする」感覚、すごく分かる。來亜が「白紙もその日の気持ち」って返したところ、胸がギュッてなった。言葉にできないときの沈黙すら受け止めるって、それもう信頼しかないわ。 最後の「話せた日は、それだけで十分です」は、もう刺さりすぎてやばい。この2人の関係性、静かで深くて、本当に好き。続き、楽しみにしてる🔥