テラーノベル
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目的地に到着すると、自動ドアが開き店内特有の騒音が迎えてくれた。
壁一面に並ぶ筐体からは様々なメロディや効果音が響き渡り、照明も派手で目がチカチカする。
「あれだな、空いてるしさっそくやろうぜ」
目的の最新格闘ゲーム機へと向かい、早速コインを投入するとキャラクター選択画面へ移行した。
俺は反射的に拳法使いの青い衣装を纏った少年を選択した。
「お前いっつもそれだよな」と圭ちゃんが苦笑する。
「飽きねぇの?」
「飽きるわけないじゃん。このキャラの必殺技って本当にかっこよくて──」
説明中に乱戦が始まり、無意識のうちにスティックを握る手に力が入った。
3ラウンド先取制の第1試合。
開始直後から俺はコンボ狙いの牽制技を連打して攻勢に出る。
だが次の瞬間、視界が揺れた。
「やば……!」
眉をひそめた次の刹那、圭ちゃんの操るマッチョロボットが空中回し蹴りを炸裂させる。
ガードが間に合わず、体力バーが大きく削られた。
「おっしゃ!」
「圭ちゃん腕上げすぎ……!昔は俺の圧勝だったのに…っ」
「ほら、ボサっとしてないで次行くぞ」
そうして第3ラウンドまで行ったものの
結果的に圭ちゃんに過半数ラウンドを取られてしまった。
「ま、まだ一戦だし!もう1回!!」
「いいぜ?俺が勝つし」
敗北に落胆しながらも楽しさが勝ってしまい、笑ってしまう自分に驚く。
昔のようにゲームを楽しむ時間は変わりないはずなのに
“恋人関係”という新たな距離感が加わって妙にくすぐったい気持ちになる。
それから1時間…
「これで最後な」と圭ちゃんに促され、またプレイ開始。
ここまでで11回は対戦しているというのに、俺が勝てたのは奇跡的な1回のみ。
圭ちゃんにドヤ顔をしたせいか「先に10勝したほうが勝ちな」と言われてしまい、互いに火がついてしまった。
しかし、勝てそう!と思ったあとちょっとのところで、毎回圭ちゃんに負けてしまう。
ラスト1ゲームということでお互いに集中力が増していた。
激しい技の応酬に興奮する心臓の音がやけに大きく聞こえる。
「これで決める!」
「こっちのが早いっ」
最終ラウンド、お互いの必殺技が相殺し合い、画面が一時的に白飛びする演出が流れる。
そして次の瞬間、KOを示す文字と共に俺の操作キャラが地面に崩れ落ちた。
「うわああ!また負けたぁー!!本当にあと少しなのに…っ!」
「ははっ、俺の圧勝~」
「……こんなん反則だよぉ」
「反則なわけねぇだろ、実力ってやつよ」
悔しさと敗北感で床に座り込んだまま拗ねていると
「じゃ、負けたんだし罰ゲームな?」と圭ちゃんがニヤリと笑う。
コメント
1件
第4話「11回目のKO」めっちゃ良かった…!ゲーセンでのバトル描写が熱くて、思わずコントローラー握りしめたくなったよ🎮✨ でも何より「恋人関係っていう新たな距離感」って一文に胸きゅんしちゃった…!勝負の悔しさと一緒に甘酸っぱい空気が香ってきてエモすぎる😭💕 罰ゲームの行方もすごく気になる!猫塚さん次の話も楽しみにしてます!