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カーテン越しに分かる朝日の光。
また朝が来てしまった。もう何度目だろうか。
布団に潜りスマホを開き、永遠と流れてくる動画を見るだけの人生。
外になんか数ヶ月は出ていない。たまに外の眺めを見る程度。
死んでも死ねない、この身体。
一体、俺は前世で何の罪を犯したと言うんだ。
ピンポーーーン
岐阜「愛知サンーー?失礼しますー」
高くも低くもない、安心する声が俺を呼ぶ。これも日常だ。
岐阜「!!。愛知サン、今日はいつもよりお加減良さそうですね!嬉しいです!」
愛知「………別に…」
岐阜は俺の隣に座り、ニコニコと笑いかけてくる。
以前までは信用できず、【消えろ】や【死ね】【俺の事なんか県として見ていないくせに】などと暴言や物をぶつけていた。
今は俺には岐阜しかいない。頼れる人すら。
昔は、俺が岐阜を支配する立場だったのに。いつの間にか、変わっているように感じ取れる。
でも、支えてくれる人が居るだけ俺はマシなのかもしれない。
世の中には独りで苦しんでいる人が沢山いる。
もし…………岐阜が…居なかったら?
愛知「………ッ…」
小刻みに震える唇と手。冷や汗が気持ち悪い。
岐阜「愛知サン…?大丈夫ですか?寒いですか?」
「お前だけは俺を見捨てないでくれ」
言えない。言えるわけない。
かつては俺が支配していた国に?…無理だ。
俺のプライドが許さない。そんな事あってはならない。絶対。絶対に。
愛知「…岐阜は」
岐阜「はいッ!」
愛知「岐阜は…何で俺の隣に居てくれるんだ」
少し驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔になり
岐阜「愛知サンのことが大好きだからですよ!」
岐阜「僕は、愛知サンの事しか信用してないですし、美濃だった時の僕を救ってくれた愛知サンに恩返しできてるみたいで嬉しいからです!!」
愛知「そんなこと言っても、どうせお前だって俺のこと見捨てるに決まっている」
岐阜「しませんよ!!!神に誓ってそんなことは!!!」
愛知「………」
怖い。
その言葉、信じても良いのだろうか。
俺はいつも騙されてきた。信用していた友や家族にも裏切られて見捨てられてきた。
コイツに裏切られたら、俺はどうなってしまうのだろう。
無論…
自殺を繰り返すことになる。この命の灯火が消えるまで、何年も何十年も。
情けない。
こんな無様な姿、俺らしくない。
荒んで褪せてしまった空っぽの こころ。
気を遣わせて会ってくれなかった職場の同僚。
心底呆れられて縁を切られた数々の友人。
俺のせいで汚名を被り、恥じて自殺した家族。
外に出る度に悪口を言う近所の人。
だから俺は外へ出なくなった。
愛知「……岐阜」
岐阜「はいッ!愛知サン!」
愛知「………蜂蜜…」
岐阜「へ?」
愛知「蜂蜜……ほしい」
岐阜「確かに!美味しいですもんね😊」
岐阜「今すぐ、○○商店から取り寄せます!勿論、僕名義なので安心なさってくださいね!」
愛知「……ありがとう…」
蜂蜜……
それは、蜂が大切に育てた結晶。
俺とは違って。