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FORSAKENの薄暗い廃工場。
冷たいコンクリートの床に、強烈な甘い香りが立ち込めていた。
「ふぅ……ッ、あ……? なん……だ、これ……っ」
猛悪なキラーとして恐れられる黒猫の獣人・Gatitoは、床に両手をついたまま激しく肩を上下させていた。
背中の魚の骨柄のパーカーははだけ、緑の大きな爪は力なく床をかいている。
その原因は、腕に突き刺さった特殊な注射筒――マッドサイエンスの粋を集めてRatが極秘開発した『特製高純度マタタビ弾』だった。
「フフフ、素晴らしい効き目だ! 野生のマタタビ成分を千倍濃縮し、血流に乗って一瞬で脳の神経受容体に達するよう化学調整を施した甲斐があったよ!」
Ratは青いジーンズのポケットに両手を突っ込み、ヘルメットの影から赤い眼を爛々と輝かせて高笑いした。
白衣の裾をなびかせながら、力なく倒れ込むGatitoへと近づいていく。
いつもならトゲ付きの首輪と腕輪をジャラジャラと鳴らし、「ぶっ殺してやる!」と襲いかかってくる凶暴なキラーが、いまや見る影もない。
赤い眼はとろりと潤み、舌を少し覗かせながら、恍惚とした表情で「うにゃう……ん……」と情けない甘い声を漏らしているのだ。
Ratは手早く丈夫な束縛用ワイヤーを取り出すと、ヘロヘロになって抵抗できないGatitoの両手首と両足をあっさりと拘束した。
「よし、捕獲完了だ! さて……まずはその神秘的な透ける胴体の皮下組織を切り開いて、肋骨の可動域と内部構造をじっくり調べさせてもらおうか」
Ratは右手の黒手袋をキュッと締め直すと、胸ポケットからギラリと光るメスを取り出した。
普段のサバイバーとしての顔は消え、完全なマッドサイエンティストの笑みを浮かべてGatitoの胸元へと手を伸ばす。
その時だった。
「ん……ぁ……ネズミ……ッ、撫で……ろ……っ」
拘束されたGatitoが、ろれつの回らない舌で唸りながら、自らRatの手に頭をすり寄せてきたのだ。
オラオラ系だったはずの男が、マタタビの毒気に完全にやられ、喉を「ゴロゴロ、ゴロゴロ……」と重低音で鳴らしながら、嫌がるどころかRatの手に頬を擦り付けて甘えてくる。
「っ……!?」
メスを構えていたRatの手が、ぴたりと止まった。
透ける胴体の奥で、興奮のためにトク・トクと脈打つ心臓と、それに合わせて繊細に動く綺麗な肋骨。
そして何より、普段の凶暴さからは想像もつかない、隙だらけで愛くるしいギャップ――。
「あ、甘えている……? 僕に……? 天敵であるこの僕に……!?」
Ratの脳内に、雷が落ちたような衝撃が走った。
彼の探究心は本来、無機質な「解剖データ」を得るためのものだった。
だが、目の前で赤くなりながら喉を鳴らし、自分に擦り寄ってくるGatitoの姿を見た瞬間、Ratの胸の奥で正体不明の熱い感情が芽生え始めた。
「……切り刻んで標本にしてしまうのは、あまりにも……惜しいんじゃないか……?」
Ratは持っていたメスをゆっくりとポケットに戻した。
左手の赤手袋で、Gatitoの黒い耳の根元を優しく撫でてやる。
城プル
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ゆ♨️
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ゆ♨️
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99
するとGatitoは「にゃぅ……っ」とくぐもった声を上げ、さらにうっとりと目を細めてRatの体温を求めてきた。
「ふむ……計画変更だ。メスを入れるのはいつでもできる。それよりも……このオラついた黒猫が、僕の手の中でどう翻弄され、どんな表情を見せるのか……『生きている状態』での観察実験を強化するとしよう」
Ratはヘルメット上のサングラスをクイッと押し上げ、ニヤリと口元を歪めた。
マッドサイエンティストの単なる好奇心が、「Gatitoという存在そのもの」への歪んだ愛着と執着に変わった瞬間だった。