テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「…ん、どうした、揉んでも何も無いぞ」レインは胸を後ろから触るフィンにそう言った。
最初は軽く抱き締められていただけだったはずの手はいつの間にか胸へと行き、筋肉質なそれを揉んでも何も楽しくないはずなのに、もにもにと骨ばった細いその手で揉み込んでいた。
最早虚無みたいな顔を肩に乗せて無防備に晒して手を動かすフィンが独り言のように
「…いや、乳首開発しようかなって」
とこぼした。
「なんて?」
フィンから飛び出たまさかの言葉に思わず食い気味にレインは聞いてしまった。
仕方がないだろう。まさか自分の弟がそんなことを考えてるなんて今まで頭の隅にすら思い浮かびやしなかったんだから。
恋人ではある。あるし、フィンが男だって事も分かりきっては居たんだがそんなことを考えていたという考えにまでは至らなかったんだ。
いや、だって考えてもみろ。そもそもフィンが兄でしかも男である俺を好きであることにさえ驚いて、あろうことかこんなごつい男を抱くというだけでもなかなか「ほう…?」ってなってたんだぞ???こんな硬い筋肉質な身体より柔らかい女みたいな身体の方が愉しいだろうにって。別にフィンが喜ぶならなんだってする覚悟だったし、結果的には善かったから嫌な訳ではなかったが…、にしたって、こんな男の乳首を開発したって、何になるんだって、普通なるだろ?!確かにッ、行為中触られることがなかったかと言われれば違うが…だって、それは、してたからだろって、思ってたからだし…!
レインがぐるぐると思考を回しているとフィンの顔から瞬く間に血の気が引いて行った。
「…?!あ、いや、違うよ?!ただっ、可愛い兄様がもっと見たいなっ…て、あぁっ、えっと、そういう訳でもなくて…!!」
失言に気が付いたのかフィンが慌てて取り繕うが焦っているのか余計に墓穴を掘っている気がする。
ヒィィと独り言のように零しながらフィンは失言に失言を重ねる自分に頭を抱える。
これは、フィンの願いを聞いてやった方が、落ち着くんだろうか…
レインの頭の片隅にはそんな安易な考えが浮かんでいた。
「フィン、」
「ひゃいッッッ」
フィンの方に振り向き真剣な声色で名前を呼ぶとびくりと身体を跳ねさせて返事をする。怒られるとでも、思っているのだろうか。
「お前が、したいなら好きにしていい、お前がしたいように、この身体を作り替えてくれ」
フィンが目を見開きただでさえ落ちてしまいそうな程に大きく開かれている目が、さらに開かれて月のように輝く瞳の全てがレインだけを映しこんだ。
恥ずかしさでうるさいくらいにバクバクと鳴る胸に自分自身の頭を抱えていたフィンの手を添えさせてレインより少し色の濃い、カサついた唇にキスを落とす。
フィンは少し目を細めると、少し熱を持った声で名前を呼ぶ。
「兄さま、」
その声は、名前以外にも意味を含んで発せられたものだと理解するのは、容易だった。
そう思考を回すと同時に顔に手を添えられ、落とした目線を上げ次にフィンの顔を見た時には、それはもう可愛い恋人の顔ではなく、情欲を剥き出しにした雄の顔をした恋人だった。
「待ったは無しね。兄さま、”ココ”だけでイけるようにしたげるね?」
胸の飾りに触れるか触れないかの距離に指を置かれ放たれたその言葉に、レインが直前の自分の言葉に後悔が芽生えたのは、言うまでもないだろう。
「でね、これ使っていい?一応使用量は最低限を攻めてるから大丈夫だとは思うんだけど」
開発を了承したあと出されたのは少しピンクに色づいた薬品。さすがのレインでも何となくで効能は分かる気がしなくもないが危険なものでないかはちゃんと自分で確認しておきたい。
「匂い確認してもいいか?お前の事だから危険な薬品ではないと思ってはいるが一応、な」
フィンはそれを快く了承した。きゅぽんと音を立てて蓋を外せば蜂蜜のような甘い匂いがする。間違いない。これは媚薬に似た類の薬。つまるところ快楽特化の感覚強化だろうか。
何度見たことだろうか。この手の薬は学生が恋叶わずヤケクソで使ってワンチャン狙うだとか、恋人と盛り上がりたくてとかで持ってることが特に多かった。しかも使用用法やらなんやら全く守らずに使う奴がまぁ多い多い。読めよ。お陰で何度事故ったって報告を受けてヤる直前だの最中の現場に行ったことか。素っ裸の男女で?しかも用法守らずに使ってるから大体片方がとんでもない汚声上げて顔から出す液体全部出てたり。その場で非合法の物を何個没収しただろう。何度応急処置したことか。
数えたくもないな。
嫌な記憶をぶんぶんと頭を振り思考から消す。
媚薬、ねぇ。
確かに男の胸はもともと感じるようには作られてはいない。開発するのであればそういったものを使って短くても一週間近くかけて開発するものだ。媚薬も、開発を手助けするにうってつけのものではあるし。
レインだってフィンを喜ばせたくて調べたことがある。
結局、言い出せなくて知識を使うことはなかったが。
……フィンはこれを調べた上で持ってきたのだろうか。考えないほうがいい気もしてきた。
「…問題ないな。使ってもいい」
スッと瓶をフィンに渡すとフィンはその瓶の蓋を閉じてベッドの横にあったサイドチェストに置いた。
直ぐに使うわけではないのか…?
「これはいざという時に使うだけ。強硬手段に出るときだけだから。基本的には兄さまのポテンシャルを活かして気持ちよくなってほしいし」
何でだろうか。褒められて期待されているはずなのになんかすごいヤダ。
フィンはレインをベッドに押し倒すとシャツの上から胸を揉み込んできた。
「ん…」
別に感じない。とまではいかないがココだけで完勃ちとまで行ったことはない。
緩く頭を擡げるそれが嫌に熱がフワフワと中途半端に浮かされている感じがして、はっきりと得られない快楽に、むず痒さを感じる。
フィンの言った言葉に若干の不安を感じつつも何もせずに脱力状態を維持した。
「…ん、ぁ」
何だろう。今はただ胸全体を揉み込まれてる感じだから何処かマッサージ感があって血行が良くなって体温が上がるから何だか眠気の方が勝ってきてしまう。
身体がふわふわと暖かくてこのままだと本当に寝てしまうかもしれない。
ふかふかのベッドに埋もれながら微睡みかけていると急に乳首を強くつねり上げられ性急な刺激に堪え切れずに声があふれた。
「う゛ぁッ…⁉♡は、ぐぅ゛……ッ♡?」
快楽の緩急について行けない。やけにフワフワとする頭が快楽を処理しきれていない。
いつの間にか大きく膨らんだそれはまるで性器みたいに敏感で、少し指がぶつかるように触れたくらいで大袈裟に反応する。
「お、やっぱ急に来るって効くんだね。もっと良くなろうね〜」
くにくにと感触を楽しむように弄ってきたかと思えば急に手を離してまわりをなぞって焦らせる。
中心に少しづつ熱が溜まっていくのが嫌でも分かって恥ずかしい。
あんな好きにしろとか啖呵を切っといて今更やめろとはいえないし、でもこのまま中途半端な熱を持て余し続けたくない。触りたい。
空気を柔く突く腰に、無意識に手が伸びた。
「駄目だよ。忘れたの?こっちだけでイッてもらうんだから、ちゃんとこっちに集中して?」
「ひぁ゛、ん゛…!?」
伸ばした手は無慈悲にも掴み取られその代わりだと言わんばかりにピンッと爪で弾いた。
たったそれだけのほんの微量なはずの快楽を熱を溜め持て余す身体は拾おうと必死になって快楽を拾い過ぎる。
「はっ、はぁ゙っ…♡ん゙、んぅ…♡」
そのせいで苦しくて、気持ちいい。
「んー…手伸ばしちゃうならそれ相応の対応しよっか。兄さま、両腕こっちに出して?」
フィンに言われるがままにだらんと両腕を前に差し出せばそばに放られていたネクタイで手首とベッドの上部を一つに括られた。
「これで勝手に触んないね。んじゃ、続けようか」
意外と強く結ばれたのか、ぐっと手を動かしてみたがびくともしなかった。
今更ゾク、と僅かな恐怖心が湧き上がる。レインにとって自分より遥かに力がないはずの人間に好き勝手身体を開かれることへの恐怖。それでも溢れ出る好奇心と快楽がすぐにそれを掻き消した。
「んぅ、ひ、っあぁ…っ♡」
声にどんどんと色が混ざり始める。
浮いてフィンに媚びる腰が情けなくて、踵でシーツを蹴って離れようとする。
「はいはい逃げないの〜」
それすらもフィンに軽く腰を掴まれて阻止された。ぐっと腰をシーツに押し付けられ身を捩ろうにも捩れない。擽ったくて嫌なくらいに甘い快楽が溜まるばかりで、ズボンを押し上げテントを作るそれに触れたくて、ベッドの柵が軋む音を立てていることに目もくれず手首の拘束を外そうと腕を何度も強く引っ張った。
「ん゙ぅーーーーッ!♡、ふ、ぐぅ゙っ♡あ、っ、だ、くそ、はずれ、ろよぉ゙っ…♡!」
ガタガタと柵の軋む音はするのにネクタイの緩む気配は一向にしない。
いつしか先走りを垂らし始めていたそれは下着さえも通り抜けズボンををべとべとに汚していた。
「フィン、あづいっ♡、とって、下、とってくれッッ♡♡」
レインか半ばヤケクソに叫ぶように頼むと、フィンは仕方ないといった顔をさせてカリカリと爪で先を弄ることを止めないままゆっくりと脱がせ始めた。
「わがまま聞いてあげてるの、僕優しすぎない?」
わざとフィンはレインが恥ずかしがるように耳元で呟く。
でも、頭の禄に回らなくなっていたレインが、それを恥ずかしがることは出来なかった。
「ひ、ぁ、ぁ゙う…」
カチャカチャと金具になる音。ベルトが外されるときの服の擦れすら心地が良くて、頭ばかりが回らなくなる。前のキツさだけでもなくなってほしくて、はやく、はやくと腰を押さえつけるフィンの手さえも浮かすほどに腰を強く反らせる。
「はや゙、く」
我ながら媚びきった声で乞い願う。帰ってきたのは無慈悲にも似た宣告だったが。
「そこまで来ると焦らしたくなるんだけどな」
ニヤリと上がった口角。あ、と思った時にはもう遅くて。
「ここ、苦しいよね、楽になりたいよね」
「ちゃんと、どうすれば良いのかぜーんぶ、僕に言って?」
意地悪そうに笑ったフィンの顔。いつもそうだ。こいつは俺の弱った場所を見つけられると分かったらとことんそこを突いてくる。
総じて弱みを突いてくるときは意地悪そうに笑う。
今みたいに。
はやくして欲しいという願いばかりが頭を満たして、どうすれば良いのか、すぐに思いつくことすら、忘れてしまっていた。
「ぁ゙っ、ん、♡っと、ズボン、ズボン脱がせて、…♡」
「どうやって?」
フィンはズボンを脱がす方法を問うているのに、熱に浮かされてばかりで、分からない。
乳首だけでもいじるのをやめてくれたら分かるかもしれないのに、フィンは手を止めず、ずっと乳首をいじめる。
痛い。ずっとちんこが勃ってて、触ってももらえなくて。
単調な思考ばかりが脳を満たしてフィンの問に答えられないでいると、痺れを切らしたフィンが乳首をピンと指で弾き、レインは声にもならない悲鳴を上げる。
「〜ッぁ゙♡」
「ねぇ、答えて?じゃなきゃ、ズボン脱がしてあげない。それに、乳首だけでイくんだからズボンなんて脱がなくてもいいでしょ?」
もう限界だった。早くイきたい。早く楽になりたい。そんなことばかり考えて、目の前が白む。
サイドチェストにある媚薬を使ってくれたら、どれだけ楽なことか。
「なんでもいいがらイギだぃ゙っ…!!♡も゙、つらい…っ」
生理的な涙が頰を濡らし、ヨダレが枕を汚す。
フィンは満足そうに口角を上げて、ぱっと、手を離した。
「…は、?」
当然レインは困惑した。
イかせてくれと懇願したのに、イかせるどころか、触るのもやめたから。
「大丈夫♡すぐイけるから、少しだけ我慢ね?」
レインは直前まで浮かされた熱と痛むくらいに腫れたそれに悲鳴をこぼした。
「…ぁ、ふぅ゙、ん、」
「ほら、少し焦らしてみよ?ごーぉ、よーん、」
さぁん、にぃ、いーち。
その時間さえも長かった。
そして、ちょん、と。そう少し弾くようにフィンの指が触れただけだった。
「〜〜〜〜〜ッッッぉ゙、お゙っ!?♡」
レインは首を仰け反らせて白濁を吐き出した。
何が起きたか分からないような顔で魚のように跳ね、体を震わす。
フィンはガクガクと震えるレインの体を優しく撫でて、レインが零す小さな喘ぎさえ塞ぐように唇を重ねた。
「ん、ンぅ…っ」
レインの顔は何処か満足そうで、しかし、消化不良だという顔もしていた。
乳首だけでイッたとはいえ、まだ出し足りないのだ。あれだけ焦らされ、我慢させられ、いじめられて。一回出した程度じゃ、満足はできなかった。
「ん、んぅ、」
少し嫌そうに抵抗すればすんなりとフィンは口を離す。
「…ちゃんと嫌がられるのは以外と傷付くんだよ兄さま」
どうやら嫌がられたのは少しショックだったらしい。
そんなことも厭わずレインは震える声で『お願い』する。
「ちんこ、っ触って、ちゃんとイきたい、は、まだ足んね、から…っん、ふ」
荒れる息が言葉を遮る。しかし伝わったのだろう。
フィンの手が胸から下へと滑っていった。
期待で熱は小さく跳ねる。そうすれば、フィンは咎めるようにそれをなぞった。
「そんなに乳首だけでイくの辛かったの?少し悪いとは思うけど、満足してくれなかったのは悲しいな」
「うぁ、あ…、ん」
形をなぞるように指を滑らせたと思えば、今度は根元から包み込むように撫でる。
ゾクゾクとするそれにレインは身をすこし捩って甘く重くなり始めた腰に胸を高鳴らせる。
しかし、フィンは目に見えて快楽に耽るレインが気に入らなかったのだろうか。
サイドチェストの媚薬を手にとって、その少しトロリとした中身を全てレインの熱に掛け始めた。
「…、?ぁ゙、あっ、〜〜〜〜〜〜ッッッ♡」
少ししてからくるビリビリとした、快楽に溺れろと言われるように達する直前まで攻め上げられるような感覚。
反射的に腰を逃がせば、フィンが熱を掴み強く擦る。
「悲しいじゃないか、逃げないでよっ」
「ぁ゙っ、やだ、むりっ、これ、変になるっ……♡」
その言葉とは相反し、本能は腰を振る。じわりと溶けて染み込むような媚薬の感覚が、頭さえも蕩けさせるようで。
「うぁぁ゙…っ、むり、イぐ、出っ…〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!♡♡」
びゅるびゅると放たれたそれは少し乾いた白濁を覆うように腹に落ちた。
喉をひくつかせ、レインは呼吸音にもならない喘ぎを零す。
少しフィンの手が上下する度に熱が跳ねてとろとろと精液を垂らした。
「ん…兄さまいい子。いっぱい出たし、乳首だけでイってくれてありがと」
レインの髪を少しだけかきあげ額にキスを落とす。
レインは胸を上下させて酸素を必死に取り込むばかりで、まともなキスもできないと分かっていたからフィンの喉仏にキスを落としただけだった。
「わり…お前の、よくして、やれな、……」
フィンの張ったテントを見つめながらレインは目を閉じて眠る。
フィンは分かっていながらも美味しそうなご馳走を目の前で取り上げられたことに少しだけ落胆した。
「まあいいもん。兄さまの可愛い顔オカズにすればいいだけだし」
ぶつくさと不貞腐れたように文句を言いながらレインの体を軽く拭いてやりトイレへと足を運んだ。