テラーノベル
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4話目です!!
一次創作です!下手なので暖かい目で見てください!!
「ここが俺の家だ!」
『ほう…ナーサリー家』
「地位とか財産とかはぜーんぶ取り上げられちまったけど、屋敷だけは残ってんだよ」
『そうか、家族はいるのか?』
「いいや、俺一人だな」
『…悪い、心無いことを言った』
「はは!!死んだわけじゃねぇよ!安心しろ!」
『…じゃあどこかに住んでるのか?』
「…嗚呼、故郷の東の地の山奥で静かに暮らしてんだと」
『そうか、東は他の地に比べると比較的安定しているから住みやすい』
「嗚呼、ほら中入ろうぜ
茶くらい出してやるよ」
『はは、それはありがたい』
アルベルトは屋敷の中へ入った
『外観はいかにも廃墟という感じだったが中は綺麗だな』
「これでも掃除はしてんだ」
『嗚呼、よく掃除されている』
「……あ、けど悪ぃな
紅茶の入れ方なんぞ知らんから文句言うなよ」
『紅茶か、水でいいさ』
「お、そうか」
『……』
「ほらよ、あ、安心しろよ!コップは最近新しく買ったばかりだからな」
『はは!!気にしなくてもいいのに』
「流石に客人には気使うだろ」
『はは!そうか!気にするか』
アルベルトはコップに口をつけ水を飲んだ
「で、なんで追われてんだ?」
『あー……』(王宮から抜け出してきたなんて言えねぇしなぁ……さてどうしたもんか…)
「なんだ、言えねぇのか?」
『いやぁ、知り合って間もないお前に言って迷惑がかかるのは嫌だからな
秘密にさせてもらうさ』
「お前秘密多いな」
『悪いな』
「まぁいいけどよ…夜になったら祭りで人混みで分かりにくいだろうからそん時お家に帰んな」
『嗚呼、そうさせてもらうさ』
「片方の耳についてるのはピアスか?」
『片方…どっかで落としてきたな…ピアスだよ
母のだ』
「形見か……俺も悪ぃこと聞いたな」
『(母はまだ生きているから)気にするな』
アルベルトはこのままの方がやりやすいと思い訂正せずそのままにした
「あ、ベルはなんか特技ねぇのか?」
『特技……』
「そーそー特技!何から1個持っときゃ役に立つかもしれねぇだろ?」
『特技か、考えたこと無かったな』
「なんかねぇのか?」
『ないな』
「なんだつまんねぇな」
『そういうグレンはあるのか?』
「俺は喧嘩…闘うのが好きだぜ!」
『じゃあ剣とかが得意なのか?』
「いや俺は素手だ!」
『それはなかなかすごいな』
「だろ!?素手が1番だぜ!」
『はは俺はタッパはあるがいかんせん筋力がないからな
素手は無理だな』
「そうだよなぁ、なんかベルひょろっとしてるよな」
『はは…』
カーンとコップが床に落ちた
『ッ……』(何だこの眠気…)
アルベルトが手に持っていたコップを床に落としてしまったのだ
幸いにコップは割れることはなかった
「なんだ眠くなってきたのか?」
『…嗚呼…そのようだ…すまないが…ここらへんでおいとま…』
「まぁ待てよ
このままここにいればいい、起きた時に帰ればいい
その状態じゃあ追いかけられてもすぐ捕まっちまうぞ」
『…ッ…』(今はどちらかと言うとこの男と2人っきりの方がマズイ…!)
「大丈夫だ、何が来ても守ってやるよ」
『ッ……ハァ…』
アルベルトはそこで意識を落とした
一方その頃シエルとマラはというと……
「ッ…アルベルト…どこにいる…!」
「ここまで見つからないとなると魔法を使ってる可能性があるな」
「魔法か…なにかを分からないかシエル」
「アルベルトの持ち物になにか付けとくべきだった!」
「…日が落ちたら父上たちに知らせよう」
「…嗚呼…それまでは…」
「嗚呼、それまでは俺らで探すぞ」
((アルベルト…!どうか無事であってくれ…))
そんな2人の願いも虚しくアルベルトの行方は分からずじまい…あともう少しで日が沈む時間まで差し掛かっていた
「…くっそ…!まずいまずいまずい…!」
「…」(シエルも焦ってきてる…こんなんじゃ見つかるものも見つからねぇ…!)
「…もういっその事ここら一体を」
「シエル落ち着け…!それは最後の手段だ…!もう日も落ちかけてる父上たちに知らせよう」
「…ッ…」
「…とりあえず城の近くまで、に………」
「どうかしたかマラ」
「あれ、……」
マラは路地に入っていった
「マラ!!突然どこに行くんですか…!」
「これ、アルベルトのじゃないか…?」
そこに落ちていたのはアルベルトが付けていた翡翠のピアスだった
「こんな所に落ちてるなんて笑えないぞ…」
「……」
2人の中で同じような嫌な…出来れば起きて欲しくない単語が頭をよぎる
それは誘拐という単語だった
「…ッ」
「…シエル、お前はルース叔父貴に伝えてこい…!俺はこの辺をもう少し探す!」
「わかった…!お前は腕輪つけてるよな」
「嗚呼、どこかのバカとは違ってつける!」
「ならいい!」
シエルは風魔法を使って城の方へトップスピードで向かっていった
このアルベルト捜索が難航している要因は色々ある
1つ目はアルベルトが腕輪・ブレスレットつけていないこと
腕輪とは他者との連絡を取れる魔力を持っているものであれば誰でも使えるという魔法陣と魔法石が組み込まれ埋め込まれているものをアルベルトはつけていない
恐らく邪魔されたくなかったのだろう
2つ目は祭りだった
アルベルトは視察に来ようとしていたのは祭り…つまり今日来ようとしていた…祭りで城下はいつも以上ににぎわいを見せている…その中でのアルベルト捜索…
出店の人間なんか商売するのに精一杯で客の顔なんかいちいち覚えていない…実際マラとシエルが出店の人間に聞いてみたところ
やはり覚えていないようだった
そして3つ目はアルベルトの魔法能力の高さだ
あいつは魔力量も多ければ精度もいい、認識阻害系統魔法を使えばシエルとマラでも一瞬見逃すことがある
2つ目の要因と3つ目の要因が重なると人っ子一人見つける難易度は跳ね上がる
「くっそ…!アルベルト!!!アルベルト!どこだ!どこにいる!!」
マラは強硬策にでた
アルベルトという名前を出すのはあまり良くない…この国の皇太子の名前と同じなのだから誘拐犯に気づかれる可能性もある…
そうも言ってられなくなったのだ
アルベルトはもう実際誘拐された可能性が高いとマラは見ている…なので周りに知らせることにした
“皇太子が誘拐された”ということを…
またその頃アルベルトは———–
『ン……』
「お、起きたか」
『…ぐ、れん…?』
「おう、悪ぃな寝ちまったみてぇで
俺のベッドに移動させちまった」
『!』
アルベルトはすぐに起き上がりグレンから距離を取ったがそれより早くグレンは動きアルベルトをベッドに縫いつけた
『ッ…はな、せ…』
「お前、やっぱ皇太子だろ」
『…皇太子…?あのだらしがないとかいう
冗談も程々にしてくれ』
「言っとくが、もう阻害認識系統魔法は機能してないぞ」
『!…』
「お前に出会ってから、顔がボヤけるというか認識ができなかったんだ…
だから寝かせた」
『ッ…正体がわかった俺をどうするつもりだ』
「あーそれに関しては安心しろ
今のところ、あんたに関する依頼は何も来てねぇからな、
俺はどうこうするつもりはねぇよ」
『なら、この手を退かせ!もう俺は帰る』
「そう暴れんなよ
少し力入れただけでも折れちまいそうだ…」
『う”ッ……!』
ミシミシとアルベルトの腕から聞こえた音と痛みにアルベルトは顔を顰めた
「恐らく今あんたを探して少人数だが兵が動いてる」
『そうか、じゃあ見つかったらお前…』
「嗚呼、命はねぇな」
『わかってんじゃねぇか』
「出来れば解放してやりてぇけど、」
『なら今すぐしろ』
「約束してくれよ」
『あ?』
「俺を王国騎士団に入れることを」
『…ぷはははは!!!』
「何笑ってんだよ!!」
『真剣な顔で何を言い出すのかと思えば…!!あははは!!』
「真剣な話なんだが…」
『お生憎様
俺には王国騎士団にお前を入れれるような権利は持ってない
残念ながらその権利があるのは俺の叔父の王国騎士団総隊長しかねぇんだわ』
「ッ…なら…!」
『まだ俺は王じゃない
ただの継承権1位の皇太子だ
実権なんかあってないようなものだよ…あまり俺に期待するのはやめておけ』
「……じゃあどうすればいいんだよ…!」
『何か困ってんのか?』
「……さっき話しただろ…東の地に家族が暮らしてるって…」
『嗚呼』
「…目的が妹のためなんだ…妹の病気が酷いから……せめて自然の多いところに…東の地に向かったんだ…!
でも金がないと薬も医者も頼れない!!どうしろってんだよ…!王国騎士団は任務が任務だ…!
多額の報酬が貰えると聞いた…!それに入るのに貴族も庶民も関係ない!!」
『だから俺の正体に気づいて俺に頼んできたと』
「許してくれ…暴くつもりはなかった…でも…本当の顔を知ってから友達になりたかったんだ………
顔を見た瞬間……皇太子だと気づいて…」
『…そういうことか…一旦俺の腕を掴んでいる手を離してくれ』
「…」
グレンは素直に離した
『お前が入りたい理由はわかった
お前剣の腕はからっきしか?』
「……1、2回握ったことはあるが素手の方が戦いやすい…」
『…そうか……まっ、直談判のみだな』
「え、」
アルベルトはそういうと首元についていたチョーカーを無理やり引きちぎった
「わぁー!!!なにしてんの!!??」
『落ち着け…』
アルベルトはチョーカーに下がっていた宝石に魔力を少し込め目の前に小さく魔法陣が浮かび上がった
「それ魔導具だったのか」
『一目じゃ分かりずらいだろ?』
ある人物に繋がった
《アルベルトか!!?》
『嗚呼、アルベルト・グレーダスだよ
ルース叔父さん』
《お前!今までどこに!!!…ッとりあえず無事なんだな?》
『嗚呼、めちゃくちゃ無事』
《ハァ…兄貴やマラもシエルたち、皆心配してる!!早く帰ってこい!!それか街にいる兵に声をかけろ!いいな!!》
『ルース叔父さん、1つ聞きたいんだよね』
《…なんだ、今じゃないとダメなのか?……お前まさか道に》
『迷うわけないだろ
何歳だと思ってんだ!』
《王宮ですら迷子になるんだ》
『何年も前の話をしないでくれ…って話が逸れたな……
ねぇルース叔父さん、素手で闘う隊員欲しくない?』
《…お前は何を言うかと思えば…!!》
『俺は少なくとも真面目に話してるよ
どう?素手で闘うの』
《…王国騎士団には剣しか扱えない者以外禁止とは書いていないから受けるのは自由だ
それに魔法が使えるなら万々歳だな》
『そっか…ならさ今度入団テストしてよ』
《はぁ??お前どっか頭ぶつけたか?》
『失礼な
ちゃんと正常だ
だってもう試験を受けようにも願書は終わってるんだ
だから、さルース叔父さんが決闘して決めてよ』
《……名前は?》
『自分で名乗れ』
「……グレン……グレン・ナーサリー…」
《…ナーサリー家の次男坊かい》
「あ、嗚呼…兄と父はどこかへ消えた
死んだのか生きてるのかも知らない」
《そうか、アルベルトの言う通り願書のうけつけはもうしめきってる……
試験の人は約3日間に審査をする
その3日間の最終日に受験者と同じように来い
話はつけておく》
『おっ、流石ルース叔父さんだ』
《ただしこれは異例中の異例だ
願書も受け取ってないお前を審査するんだ
時間も何時になるか分からないぞ
それでもいいんだな?》
「はい…!どうかお願いします…!」
《よしわかった
ならその日に願書…とまでは行かなくてもいいから役所に行って自己証明を貰ってこい》
「は、はい!」
《あと一応嫌かもしれんが剣は腰に下げてこい
受験者が毎年多いからな、剣は自分のを持ち込みOKにさせている
素手で戦うにしろ剣がない受験者は浮いてしまう
みすぼらしくてもいい、堂々と胸を張って試験の最終日に受験者と同じように来い
いいな?》
「はい!!ありがとうございます」
『ルース叔父さんありがとうな』
《お前は今度の剣術訓練、いつも以上に厳しくするからな
覚悟してこいよ》
『…う、うっす…!』
《とりあえずお前は帰ってこい
兄上や義姉さんが心配で死にそうだ
それに俺もマラもシエルもサルヴァトーレ公爵もラルクアン公爵も
弟たちも心配してる》
『…ふっ…兵に拾ってもらって帰るとするよ』
《はは!!お前帰ってきたらみんなからの説教忘れんなよ!》
『嫌だけど仕方なく受けてやるよ』
《それと…グレン、ちゃんと来いよ
お前が来るならそれ相応に応える》
「!…」
『ルース叔父さん怖がらせないでよ
王国最強が言うとシャレにならん』
《うるせぇよ》
『じゃっまた後でな
みんなに知らせといてルース叔父さん』
《おいおい…自分で知らせてくれよ…伝える俺の身にも…》
プンッとアルベルトは魔力を込めるのを辞めた
『じゃあなグレン
また会おうな』
「!嗚呼…会えるように頑張る」
そう告げるとアルベルトは元ナーサリー家を出て風魔法を使い大通りまで出て兵に見つけてもらい保護された
王宮に帰れたあとは酷かった
ルース叔父さんの事情聴取紛いの尋問…それが終わったと思った瞬間の父と母からの魔法と木刀が降り注ぎ
サルヴァトーレ公爵には”視察は大事だが心配をかけては行けない”と一言だけ言われた
ラルクアン公爵にはみんなからの一連を見てツボに入り笑いこけて”アル坊もたまにはやるなぁ!!”と感心された
そしてマラとシエルに関しては両方からのグーでのみぞおちを殴られた
一瞬意識が飛びかけたが何とか保った
褒めて欲しいくらいである…その後は抱きつかれて2人から”心配したんだ…!”
と泣かれてしまった
弟たちは心配していたが、眠気が買ってしまったらしく帰る数分前に寝てしまったらしい
『いってて、…… 父上も母上も本気で木刀と魔法ぶつけてきやがって……これなら説教だけが良かったなぁ…』
アルベルトは寝室で手当をしながら独り言をこぼしていた
『あ、そういえば金貨あいつのところ置いてきたなぁ…まぁいいか……せめてもの足しにして欲しいものだな』
コンコンコンっとアルベルトの寝室をノックする音が部屋に響いた
外から声が聞こえアルベルトは入る了承を出した
『…こんな夜遅くに訪ねてくるなんて珍しいなぁシエル』
「…まぁな…」
シエルとマラはちゃんと礼儀がある
いくら幼い時から一緒にいようが今まで夜…寝る前に訪ねてくることはなかった
『どうしたんだ?もしかして寝れないのか?それなら仕方ねぇな
シエルくんの為に俺が一緒に寝てやるよ』
アルベルトは冗談でシエルに向かって言う
いつもならすぐに”気持ちが悪いことを言うな”とか”頭ぶつけたようだな”とか言ってくるが今日は言ってこないで扉の前で止まっていた
『?シエル?本当にどうした?』
「……皇太子殿下直々にそう言ってもらえるとはありがたい限りだ…」
そういうとシエルはアルベルトが居るベッドの上に乗りアルベルトの傍に横になった
『し、シエル?じょうだ』
「…今日は…ここで寝かせてくれ……」
『……わかった…今日だけな…』
「……嗚呼…マラと父上には…黙っててくれ…」
『嗚呼、ふたりの秘密な』
「……なぁアリィ…」
『…なんだ』
「……お前まで…僕の前から居なくならないでくれ……何も言わずに…去らないでくれ……今日ずっとお前が見つからなかった時生きた心地がしなかった……」
『ごめんな』
「本当に…何も無くて良かった…本当に……無事で……」
シエルは事切れたように意識が落ちていった
『…おやすみ、シエル・サルヴァトーレ…』
朝メイドが起こしに来た時にはもうシエルはいなかった
『ファ〜…』(まぁいるとも思ってなかったけど)
シエルは人に自分の弱い所を見られるのを酷く嫌がる
だからかマラやサルヴァトーレ公爵にもできないところを見られるのは相当屈辱らしい
だからメイドが来るまで部屋にいるとは思ってなかった
アルベルトが着替え等準備が終わり庭園へ出ようとしていた時に階段の目の前で珍しくシエルとマラが睨み合いをしていた
「…」
「…」
『シエル、マラ
なにそんなキスしそうな距離で睨みあってんの?』
「こいつ!今日アルベルトの部屋から出てきたんだよ!!!昨日の今日だから俺らは王宮に残ってた!でもアルベルトの部屋から出てくるのはどういうことだ!!」
「なんでもないと言ってる」
「なんでもない訳ないだろ!!お前アルベルトの前に行くには身なり整えてから行くだろ!!なのに髪は寝起きみてえにボサついてたし服も昨日のままだ!!今は違ぇけどな!」
「……」
『マラ、落ち着け』
「アルベルトもなんか知ってだろ!」
『多分こいつ俺を介抱してくれたんだよ』
「は?介抱??」
『少し酒を飲んでたんだよ
その時にシエルにから、少し話しててて多分そのまま寝てシエルはそれを介抱してくれたんだよ』
「…本当か?」
「…嗚呼…」
「…えぇ…嘘……」
マラはシエルに大して哀れみの目で同情していた
アルベルトは多少ならいいが酒を飲むと絡むので酒癖がいいとは言えない
そのためマラは絡まれたときを思い出しシエルに同情したのだった
「んだよそれならそうと言えよ」
『……酒飲むのやめよ…』
「まずまだ飲むのダメだけどな?」
『つい』
「ついじゃねぇ」
『…さっ少し散歩してから色々やるぞー』
「「はい」」
3人は庭園へ歩き出した
「…アルベルト、」
『どうした?』
「ありがとうごさいます」
『何がだ?』
「…いえ、なんでもないです」
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続