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第73話 「思い出の君」

現在より時間は遡って――まだ大学一年生の頃。

「あ、萩野じゃーん」

「何してんのこんなとこでさー」

「……」

萩野浩二は、ピンチだった。

進学して数ヶ月、ようやくキャンパスライフに慣れた頃。

二度と会いたくなかった連中と再会してしまった。

「あはは、相変わらずかわいい顔してんねー!」

「ついにおっさん相手にエンコーでも始めたの?」

「ちょっとー、無視しないでよー」

「高校時代のトモダチが声かけてんだからさー」

ニヤニヤと下品な笑みを浮かべるのは――萩野の元クラスメイトの女子たち。

高校時代の萩野は、見た目が中性的な雰囲気だったせいか、男女共によく構われた。

男子からの「かわいがり」も多かったが、萩野個人としては女子からの「かわいがり」のほうが印象に残っていた。

どちらにしろ、高校時代にいい思い出はなかったので、大学はなるべく知り合いが********

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両片思いをこじらせている二人の話。

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