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放課後、教室に残っていたのは、みことだけだった。他の生徒たちはもう帰ったのか、静かな教室の中には時計の針が刻む音だけが響いている。
みことは、机にうつむきながらノートをまとめていた。放課後の部活には参加しないと決めていたから、今日はゆっくり帰るつもりだった。でも、その思いを打ち破るように、教室の扉が開き、入ってきたのはすちだった。
すち:みこちゃん、何してるの?
すちは軽い笑顔を浮かべながら、みことに声をかける。背の高いすちは、スポーツの部活に所属しているのに、どこか柔らかい雰囲気を持っている。みことはすちを見上げ、答えた。
みこと:授業の復習してたんだ。
すち:そうなんだ。眠くなりそうだね。
すちはみことの隣に座り、そのままノートを覗き込む。みことはどうしても目を合わせられず、下を向いたまま言った。
みこと:別に、眠くならないよ。
すち:本当に?
すちは少し前かがみになり、みことの顔を覗き込む。みことはその距離に慌てて顔を赤くして目を逸らす。どうしてこうもすちの言葉が胸に響くのか、みことには分からなかった。
すち:みこちゃん、顔が赤いよ。何かあったの?
すちの声が優しさを含んでいることに、みことはますます混乱する。みことはどうしてもそのまま逃げるように顔を隠したくなって、立ち上がろうとした。
みこと:いや、何でもないから…!
その瞬間、すちがみことの腕を掴む。驚いてみことが振り返ると、すちは少し真剣な顔をしていた。
すち:嘘でしょ。無理しなくていいんだよ。
みことの心臓がドクンと鳴る。すちの手は温かく、どこか安心感を与えるような気がした。でも、同時にその温かさが、みことをさらに動揺させた。
すち:俺、みこちゃんが気になるんだ。
思いがけない言葉に、みことは目を見開く。彼がこんな風に自分に関心を持つなんて、信じられなかった。普段はおっとりしていて、周りの女の子たちにも人気があるすちが、どうして自分にこんな風に接しているのだろう。
みこと:え、えっと…
言葉がうまく出てこないみことを見て、すちは優しく笑った。その笑顔に、みことは胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。
みこと:気になるって、どういう…?
みことが尋ねると、すちは少しだけため息をつき、近づいてきた。そして、みことの耳元に静かに囁いた。
すち:俺、みこちゃんが好きなんだ。
その瞬間、みことの顔は真っ赤になり、心臓が激しく打ち始める。言葉が遅れて脳に届く。好き、というその一言が、みことの中で大きな波となって押し寄せた。
みこと:え…っ?
言葉にならないみことの反応を見て、すちは再び少しだけ笑った。そして、みことが振り払おうとする前に、その小さな手を優しく引き寄せる。
すち:逃げないで。今までずっとみこちゃんを見てきたんだ。
みことはその言葉に戸惑いながらも、すちの強さと優しさが混ざり合ったその手を、自然に受け入れていた。まだ自分がどうしていいのか分からないけれど、この瞬間が、間違いなく特別なものだと感じていた。
そして、次の瞬間、すちの唇がみことの額に軽く触れた。
すち:大丈夫。焦らなくていい。少しずつ、みこちゃんのペースでいいから。
その優しさに、みことは思わず涙がこぼれそうになった。
みこと:ありがとう…。
みことは、まだ自分の気持ちを整理できていなかったけれど、すちの隣にいることで、少しずつ心が温かくなっていくのを感じていた。