TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

⚠注意


① 引き続き,記憶の追憶です。苦手な方は回れ右をしていただけると幸いです。

② 「」が現実(?)のエマ達のセリフで,()が同じく現実(?)のエマ達の思考です。

③ []が記憶の中のエマ達のセリフで,〚〛が同じく記憶の中のエマ達の思考です。

④ アニメと漫画両方を加えていますが,アニメの方は,記憶が曖昧なので,おかしな部分もあるとは思いますが,ご了承下さい。

⑤ 原作にもアニメにもないセリフを,私が一部,入れています。


それでは,本編へどうぞ!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
















[地図の発行は2010年…か。]


ハウスの図書室。

そこで,ノーマン,レイ,エマは集まってハウスのことや〈外〉のことについて調べていた。


〚世界は今,どうなっている!?〛


エマは自問自答する。

だが,情報が少ない今はまだ,何も判らない。


[考えてみたら現在地…このハウスがどこにあるのかもわかんないんだよね…。正確には。]


エマの言葉に,レイが本から顔を上げてエマが見つめる地図を指した。


[太陽が南寄りに昇って見えるから『北半球』。四季があるから『中緯度』のどっかかな。]

[そんなレベル…。]


レイはそう言うと,再び本に目を向ける。

エマは眉根を寄せた。


〚外には鬼…。どこまで?どれだけ!?〛


力がほしい…。とエマは拳を握った。


〚誰一人死なせない力…*!!* 〛


エマがそう考えていると,レイは椅子に座ったまま,本棚の横に背を預けて本を読んでいるノーマンを振り返った。


[カメラ・盗聴器のチェック。柵の先の確認。ロープの入手。今の所,概ね順調だろ。]


[次,どうする?]とレイが言ったその時。


[レイ,ノーマン,エマー!]

[ママの声だ!]


イザベラが3人を呼ぶ声が聞こえてきた。

3人は顔を見合わせ,コクリと頷き合ってからイザベラの元へと向かった。

















エマ達がイザベラの元へと向かうと,そこには既に,イザベラ以外の先客もいた。


〚ギルダとドンも!〛

[何?ママ。]


エマ達の一つ年下のギルダ,ドンがいたのだ。エマ達同様,イザベラが呼んだのだろう。

ドンがニコリと微笑みながら尋ねた。

それにイザベラも,ニコリと微笑み返す。


[お手伝い…]


ドキッという音を立てて,エマの心臓が跳ねた。


[頼めるかしら?]


そう言ったイザベラの手には,コンパクトが握られていた。
























「次は3日後の状況だよ。」

「え!?飛ばしすぎじゃ…」

「いいから。黙って見てて。」


ノーマンの言葉にコナンが思わず声を上げてツッコんだが,ノーマンは無表情まま,真っ直ぐと目の前の映像を見据えて言う。


「~~~…。」


コナンは,渋々納得してもう一度映像に向き直った。













〚これで3日目…。〛


映像内のエマがベッドの骨組みに以上がないかを見ながら冷や汗をかいて,心の中で呟いた。


すると,グルンと情景が変わり,今度は3日前の情景だという。つまり,イザベラがエマ達に『お手伝い』を頼んだ直後だ。

エマが狼狽えながら身振り手振りを使って必死にノーマンとレイに訴えている。


[まずいよ…*!* 疑われてるってことだよね!?何かバレて…?]

[落ち着け。敵の立場で考えてみ。]


あわあわとしているエマに,レイが冷静に声をかけた。

それにエマは,きょとんとする。


[敵の立場?]


そう聞き返すと,レイは小さく頷いた。

そして,掌を上に向けてエマにもわかるように説明する。

ここまでくれば,レイのあれ(掌を上に向けること)は何かを説明するときの癖だろうとコナンは即座に思った。


[どの子供にも反応はない。ならまず年長者(オレたち)を疑う。“当然”だろ?ビビるこたァねぇ。]


レイのその言葉にノーマンが付け足すようにピッと人差し指を立てた。


[油断は禁物だし,これまで以上に用心はすべきだけど,大丈夫。何も掴まれていない。]


エマがポカンとしていると,レイが真っ直ぐにエマを見据えて言った。


[ボロを出すな。出せばママの思う壺だ。]


そう言ってくるりと背中を向けたレイと,ニコッと笑って[行こう。]と言ったノーマンを見て,エマは目を見開いて固まった。


〚本当すごいな。二人とも。何でそんな頭回るの!?いつも…昔っからそう。〛


そこで,エマはハッと気が付く。


〚そうだ。この力“戦略”。──『観察』・『分析』・『敵の策(て)を読む』……〛


ぐっとエマは拳を握り締める。


〚ほしい…私も…こうなりたい…追いつきたい**!!* * 誰一人,死なせないために…*!!* 〛


と,エマは意気込んだ。



そこで,再び場面が3日後に戻る。

レイが舌打ちをしたいのを堪え,箒を持って一人ごちった。


[──にしてもウゼェな。これで3日目。]


レイは掃除をしながら(気持ちが一切入っていないようだが……。)この3日間,イザベラに『お手伝い』と称されてやらされていることを思い出す。(絶対に,意地でも,『やっている』とは言いたくないらしい。)


[食料庫の整理・予備リネンの点検・空き部屋の片付け。]


チッと,レイは今度こそ,あらかさまに舌打ちをした。


〚“どうでもいい仕事”ばっかふって,昼間の自由時間すらナシかよ。〛


同じことを考えていたノーマンも,眉間に皺を寄せながらイザベラの策(て)を考える。


〚時間は有限。焦らせてボロを出させる作戦?──いや,それにしては妙だ。何か……〛


同じくエマも,雑巾を絞りながら冷や汗をかいた。


〚でもとりあえず盗ったのがテーブルクロスでよかったー**!! * シャツやシーツならバレてた…!* 〛


レイ,ノーマン,エマの3人がそんなふうに頭を回していると,耐えきれないとばかりに,ドンが箒を持ったまま両手を天井に突き上げた。


[あー遊びてぇ〜*!!!


突然のその叫びに,エマ,ギルダがビクッと肩を跳ねさせる。

ドンはくるっと回ってレイとノーマンにギャーギャーと吠えた。


[ねぇ,なんで俺らだけ!!?]

[[…*!!* ]]


そして次はエマとギルダに吠える。


[何の罰ゲーム!?何か悪いことした?俺達**!* * ]

[……]

〚ごめん…。〛


ドンの一言に,エマはズキンとくるものがあり,心中で素直に謝った。

対して,ギルダは,目を細くしてギュッと雑巾を絞りながらドンを見る。


[ドン。ちょっとこっち,手貸して。]

[えー。]


そして,徐ろに立ち上がると,ドンの手を取って部屋の外へと引っ張り出していった。


[ほら早く**!* * ]

[……………]


レイは,階下に降りて行った2人を無言で見つめた。

すると,その場がシン…と静まり返る。

その静寂を破ったのはノーマンだった。


[やはり,アレをなんとかしないと,脱走は不可能だ。]


ノーマンの言葉に,心の中で,3人の息がピッタリと合う。


〚〚〚──発信器。〛〛〛


だが,エマは難しい顔をして改めて自身の体を触った。


[でも,どうやって…。あれから体中探したけど,埋められた手術痕(あと)なんてどこにもなかったよ?]

[服や,靴にもね。]


それに肯定するように,ノーマンも自身の腕を触った。

そして,『機械に詳しい』レイに向き直る。


[──レイ。]


ノーマンが言うと,レイは予想していたのか,やはり掌を上に向けて説明し始めた。


[人間の科学技術の常識から考えれば,恐らく,電波を使った発信器。でも,それには内部に電池が要る。消費も早い。…ちょっと計算もしてみたけど…電池寿命が10年以上で,手術痕が残らないほど超小型。2015年当時じゃ,多分,**実現不可能(フィクション)**の代物。]


そこまでを一息に言ったレイの説明に,ノーマンは顎に手をやり,エマは眉を顰めて聞き返した。


[……つまり?]

[仕組みを予想して,場所や壊し方を特定するのは困難ってこと。まして,鬼独自の技術ならお手上げだ。]


溜息混じりに言ったレイの言葉に,ノーマンは[確かに…。]と漏した。


[鬼独自の技術の可能性も…むしろ,その方が…]

[え…。]


対して,エマは目を剥いてレイを見た。


[詰んでない?]

[詰んでる。]

[だめじゃん!!]


頭を抱えたエマに,ノーマンは思わず顎から手を離し,レイは,**[レントゲンとかあればな…。]**と切ない願望を漏らした。

すると,ノーマンは何かに気付いたのか,もう一度顎に手を当てた。


[──いや,仕組みじゃなくても,予想はできる。考えれば,必ず策(て)はあるはず。]


〚発信器さえ,何とかできたら…*!* 〛とノーマンは高速で頭を回転させた。


〚究極,あとはママ一人出し抜けば(かなり無茶だが)逃走にも踏み切れる。……考えろ。敵の視点(め)で。合理な支配…。どこにどんな発信器を埋めればいい?〛


ノーマンは考えながら部屋の外に出た。

エマとレイもそれに続く。


〚どこに…どんな…〛

[[[………]]]


そして,壁に凭れ掛かる。


[情報が足りなさすぎる…*!* ]

[それな。]

〚ノーマン…‥。相当参ってる……。〛


ノーマンは眉根を寄せながらも,顔を上げた。


〚けど,それでも,見つけなければ…*!* 〛


エマもキュッと唇を引き結ぶ。


〚発信器の…〛


レイも,探るように目を細めた。


〚『場所』と『壊し方』…。〛


ノーマンは眉を下げて格子窓から下の庭に居るイザベラを見つめる。


[手詰まる(こうなる)ことがわかっていて──の“余裕”なのかな…。]


ノーマンの言葉の意味を捉えられなかったエマは,僅かに首を傾げた。

レイも,少し目を見開いてノーマンを見つめている。

2人のその様子に気付いたノーマンは,壁に手をついて2人を振り返った。


[ママだよ。引っかからない?時間は有限。焦らせてボロを出させる作戦…。でも,時間が有限(それ)はママも同じはず。]


ノーマンは悩むように顔を俯かせた。


[うまく言えないんだけど,回りくどいというか…手ぬるいというか…。]


それを聞いたレイが,ノーマンの言いたいことが判ったかのように,スッと人差し指を差した。


[『標的を探す必死さに欠ける』?]

[*! …そう*!* * ]


レイの言葉に,ようやく合点がいったように,ノーマンは腕を組んだレイを勢いよく振り返った。

エマもレイの言葉を受け,顎に手を当てて真剣に考える。

だが,ノーマンは再び顔に影を落とした。


〚発信器からは何の“断定”もできない。たとえ疑われても,全ては“疑い”,全ては“警戒”の域だ。ママは一刻も早く標的を特定・対処したいはず。なのになんだこの違和感。ママは何を考えている!?〛


ノーマンと同じことを考えていたエマは,ぞわっ…と背筋に悪寒が走った。


そして,同時に小さい頃のことを思い出す。


〚ママは,母であり,師…。〛


昔,ノーマン,レイ,エマの3人対イザベラで,チェスをしたときの光景が,エマの頭に過ぎった。


〘さぁ**! * 相談していいわよ。3人まとめてかかっていらっしゃい*!* * 〙



〚私達を教え,育てた……〛


ノーマンが難しい顔をしてエマとレイを振り返った。


[引っかかるんだ…。思いすごしならいいんだけど…。]


3人共,取っ掛かりを覚えて,眉根を寄せる。


〚ママは…ママはもっと……〛


エマが考えを巡らせていた,その時。


[おーい。サボんなよ。最年長〜*! 何も変わってねー*!* * ]

[…*!* ]


ドンが空のバケツを持って戻ってきた。

ギルダに何か入れ知恵されたのか,出て行く前とは違って,キビキビとしている。

ギルダはギルダで呆れ果てているが…‥。


[ごめんごめん**!* * ]


エヘヘッとエマが頭を掻いて答えた。


[さっさと終わらせよう**!* * ]

[あーコレ,また明日も続くのかな〜。]


ドンの言葉を合図に,5人全員で溜息をつきながら“どうでもいい仕事”を再開した。
















エマ達がいる部屋を,コンパクトを手にして,庭から見上げていたイザベラは,フィルとシェリーが近寄ってきたのに気付き,目線を下げた。


[ねぇママ。エマ達いつまでお手伝いなのー!?ぼくエマと遊びたい**!* * ]

[ノーマンとー**!* * ]


イザベラは,それを聞くと,優しく微笑んだが,ふと,2人の数歩後ろで,摘んだ花を持ってモジモジとしているジェミマに気が付いた。

ジェミマは,イザベラが自分に気付いたことを自覚すると,オドオドとした様子でイザベラに近づく。


[…こ……これ……このお花………すごくきれいだなって思って……レ………レイに…直接…見せてあげたくて……あの……だから……その……]


バッとジェミマはイザベラを見上げると,目に涙を溜めて必死に訴えた。


[お願いママ**!!! * レイを返して*!!!* * ]

[誘拐か。]


ジェミマの一言に,イザベラは思わず,間髪入れずに冷静にツッコんだ。


〚……なんか………昔も言われたわね。こんな感じのこと。…確か,ノーマンが風邪を引いたときのことだったかしら。元凶はエマとレイだったわね……。エマはともかく,レイは以外だった…。〛


そんなことを思いながら,イザベラは再度ニコリと微笑むと,一番手前にあったフィルの頭を優しく撫でた。


[大丈夫。お手伝いは今日までよ。]


イザベラがそう言うと,パチン**!* * とコンパクトを閉じる音が鳴り響いた。























10月17日の朝。

その日,ハウスでは珍しいことが起きていた。

少なくとも,ノーマン,レイ,エマの3人にとっては,最悪の事態が…。


[[[え…。]]]


**〚〚〚やられた!! 〛〛〛**と,3人は同時に思った。

食堂の入口前に集められた子供達の眼前には,赤ん坊を抱いたイザベラと,その横に立っている見たことも無い女の大人の人がいたのだ。

イザベラが口火を切る。


[紹介するわ。新しい妹,キョロルよ。そして,シスター・クローネ。ママのお手伝いに来てもらったの。]


エマ達の頭に,数々の言葉が飛び交う。


鬼の配下 ママの手下?

監視の“目” 2人目 妨害者


エマは冷や汗を流しながら必死に言葉を絞り出す。


[お……大人…?]


二人目…*!* 〛とエマの言葉を受けたレイが目を見開く。


[それに,赤ん坊(しんいり)が来るのも,いつもより早い──]

ドクン**!! * ドクン*!!* * と,心臓が嫌な音を立てるのを自覚しながら,ノーマンは唇を噛み締めた。


〚見せられて発信器に注意した…。次いで,ボロを出すなと慎重になった…。その2つにばかり気をとられた。結果,大人(てき)が増えるなんて考えもしなかった**!* * 〛


くっとレイもイザベラを睨みつけた。


〚あの仕事…あの監視の真意。〛


ノーマンも,悔しさで拳を握り締める。


〚あれは,このための準備と時間稼ぎ**!!* * 〛


3人全員の思考が一致する。


〚〚〚敵(カベ)が増えた…。〛〛〛


ボソリと,ノーマンとレイが呟く。


[3歳以下が16人……。]

[敵ももはや,“ママ一人”じゃない…。]


エマは絶句して目の前の光景を見つめる。


〚ボロは出してない。ハッタリも見抜いた。ノーマンもレイも,ちゃんと,ママの策(て)を読んでた。でもママは,それすら読んで,標的(わたしたち)を動かし──そして,追い込んできた?


エマは再び,イザベラとのチェス対戦を思い出した。




〘チェックメイト♡〙


そう言って,イザベラは,白い駒をトンッと突いた。

エマは驚いて顔を上げる。


〘なんでー!?ママ強い〜*!* 〙


ノーマンは,敗因を考えているのか,顎に手を当ててチェス盤を見つめている。


〘僕らの考え,全部,わかっているみたい…。〙


レイは何も言ってはいないが,イザベラに手加減されて負けたことに不満しか感じないようで,眉を顰めてイザベラを睨んでいた。

ノーマンの言葉に,イザベラは口元を緩める。


〘フフッ…わかるわ。だってみんなのママだもの。〙


ギリッと,エマは唇を噛んだ。


[さ,シスター・クローネ。]

[はい。]


シスターは,一歩前に出ると,鬼を背後に立たせているような笑みで自己紹介をした。


[今日からここで一緒に暮らします。どうぞよろしく。]


シスターのその言葉を聞いた瞬間,また,3人の思考が一致する。


〚〚〚──逃げにくくなった。〛〛〛























[はい。じゃ,気をつけて遊んでらっしゃい。]


イザベラはそう言って,フィルとシェリーの頭を撫でた。

シェリーがクリクリとした目でイザベラを見る。


[ママは?]

[あとで♡ママはシスター・クローネとお話があるの。]


イザベラのその言葉に同意するように,シスターは笑顔でひらひらと子供達に手を振った。

















[くそっ**!* * ]


ノーマンはそう溢しながら,ドガッと木の幹を殴った。

レイもやっと青空が広がった空を見上げながら呟く。


[まずいな…。鬼の配下がもう一人…。しかもまた,嫌な場所に住みつきやがった。]

[──片付けた空き部屋…。2階並ぶ,子供部屋の中央(どまんなか)…。]


嫌な場所と言ったレイの言葉を説明するように,エマが小さく呟いた。

ノーマンは,悔しさで押し潰されそうになる中,イザベラの真意を読み取っていった。


[食料庫のスペース確保。予備リネンの点検。僕らは敵を迎え入れる準備をみすみすさせられていたってことだ。考えればわかったのに…*!* ]


木に頭をぶつけん勢いのノーマンに,レイは空から視線を外してノーマンを振り返る。


[けど,わかっても防ぎようはなかったろ。何をそんな…]

[防げたとか,そういうことじゃない…。ママはヒントをぶら下げていた……。]


レイの言葉を遮って,ノーマンは叫ぶ。


[ただ不意打ちを与えるだけなら,あの3つの仕事はさせていない。]


ギリッとノーマンは歯を噛み締めた。


〚読めたはずが読めなかった…。出し抜かれたその時点で既に,僕はママに負けているんだ!


ノーマンは,ママ一人出し抜けば……と考えていた自分に怒りを感じた。


〚甘かった…。甘く見ていた。僕らは未だ手の上の幼児(こども)…。その先に待つのは,確実に**──死。**〛


ノーマンは,イザベラのいるハウスを睨みつける。


[あのママを…あの母(ママ)を超えなければ脱獄はないんだ。


そのノーマンの言葉に,エマは冷や汗をかき,レイは眉を寄せた。

そして,暫くの間,沈黙が流れる。

レイは静かな声で,その沈黙を破った。


[──でも,だったら,そう怯ませるのも狙いなんじゃね?ママの。


レイのその言葉に,ノーマンもエマも顔を上げて驚いたようにレイに注目した。


[『戦略において俺達より上』『お見通し』『諦めろ』。わざわざヒントをぶら下げたなら,恐らくそれを見せつけるため。]


そう言うと,レイは人差し指をピッとノーマンに差した。


[相手のペースに乗ってやるこたねぇだろ。最後に逃げちまや勝ちなんだ。俺達のな。]


驚いてレイを見つめる2人に,レイは声を明るくして誘うように続けた。


[ってわけで,嘆いても敵を喜ばせるだけ。逆に喜んでやろうぜ。]

[え?]


わけがわからないというふうに首を傾げる2人に,レイは,ニッと笑ってプラス思考に切り替えろと言うように続けた。


情報源が2つも増えたってな。]

〚あ**!* * 〛


エマはハッとして目を見開いた。


[丁度情報がほしかった。その意味では悪くない。]


レイの言葉に,エマとノーマンもレイ同様,ニッと笑った。


[“タダでは負けない”。]

[──ああ。最後に勝つのは俺達だ。]






















イザベラの元を離れたフィルとシェリー,そして,途中で合流したジェミマは,笑顔で走りながら,大きな木の元へと向かっていた。


[わーい☆やっとエマと遊べるよー**!* * ]


嬉しさで叫びながら3人の影が見える木へと走っていく。

だが,そこに居たのは,ノーマン,レイ,エマの3人ではなく,ドン,ギルダ,アンナの3人だった。

ズーン…とフィルはショックを受ける。


[いない…。]

[ギルダ達だぁ。]


ギルダとアンナがシェリーと話す中,ドンは木に背中を預けて絵本を眺めていた。


[……ドン。何してるの?]

[レイの真似。これで俺もかっこよく見えるだろ?]

[ヒマなんだね。いいよ。遊んだげる。]


ドンがキランッと目を細くさせて完全にレイの真似をすると,フィルはドンよりも年下なのに気を遣った。





「……ふっ…」


ふと,笑いを堪えるような籠もった声が聞こえてきて,コナンは顔を向けた。

真似されている(た)レイが,怒ることもなく,寧ろ,フィルに気を遣われてあんぐりと口を開けたドンにツボったらしい。フルフルと肩を震わせていた。


「ふふっ……ふうぅぅぅ…………あーおもろ。」


イザベラと同じように深呼吸で笑いを堪らえていた。

ふと,コナンは驚いてユウゴの方を見る。

てっきりレイにも「うるせぇ…。」とか言ってしまうものだと思っていたが,ユウゴは何も言わずに,レイを見つめているだけだった。

ノーマン達も,クスクスとレイにつられて笑っているにも関わらずだ。


(何でこいつが居ると何も言わねぇんだ?怪我人だからか?)


だが,ここに居るレイは,確かに入院着を着てはいるが,撃たれた腹を痛そうにはしていない。

恐らく,現実の世界で着用していた服などは同じなのだろうが,怪我などは綺麗サッパリここでは無くなってしまうのだろう。

そう考えると,コナンは,結局,益々わからなくなり,レイ達が落ち着いて,再生された映像を見るしかなかった。












[エマは?]

[さぁ…。どっか行ったみたい。]

[ノーマンと?]

[レイとも?]

[うん。多分。]


シェリーとジェミマの問いかけに,ギルダとアンナが膝を曲げて目線に合わせた状態で対応する。

それを聞いたフィルは残念そうに眉を下げた。


[チェッ。遊びたかったなぁ〜。最近全然一緒に遊べてない。]

[………]


フィルの言葉に,ギルダは一瞬,何か考えるように目を伏せると,森の奥を,心配そうに見つめた。


[そうね……。どこ行ったのかしら。エマ達。]



















森の奥深いところに移動していたノーマン,レイ,エマの3人は,勿論,遊んでいる場合ではないと,脱獄の話をしていた。


[まずは,2人がどこから来たのか。]


エマの言葉に,[だな。]と,レイも同意する。ノーマンも,顎に手を当てて口を開いた。


[キャロルはコニーの代わりだ。つまり,商品の補充……。]

[──ああ。“孤児院”でなく“農園”なら,補充され続ける。一歳児をつくるか攫うかして用意している『拠点』があるってことだ。]


レイの推理に,ノーマンは冷や汗を流してボソリと呟いた。


[食用人間の供給拠点……。]


うーんと,エマは地面に腰掛けて悩んだ。


[キャロルは…いや,私達も皆,元はそこから来たってこと?]

[多分な。そしてあの“シスター”もだ。]


と,レイはエマの質問に答えた。

ノーマンは,厳しい顔つきで,地面を睨む。


[ママ以外の飼育者(おとな)がいるって事実も大きいね。**GF(ここ)と同じ農園が他にもあるのかもしれないし…**彼ら鬼に従う大人が『生まれた時から鬼の支配下』なのか,『人間社会で生まれたのちに捕獲された』のか。それだけでも出た先の世界は違ってくる……。]


そう言うと,ノーマンは僅かに顔を上げた。


〚あの2人の生い立ち…。それが世界(そと)の謎を解く**“鍵”**か…。〛

[今,新人(キャロル)が来たのもデカイぞ。]


レイは腕組みをして言う。


[他のどの子供にも痕跡がなくても,来たばかりのアイツにはあるかもしれない。]

[*! …発信器の手術痕……!!* ]


レイの言いたいことを察したエマが,グッと肩に力を入れた。

スッとレイは親指,人さし指,中指を立てる。


[**目下3つだ。①大人が外を知る鍵ってこと。②キャロルが発信器の糸口ってこと。**そしてもう一つ……]


レイは一度言葉を切って再び口を開く。


[③なんかやっぱママのやり口が変ってこと。]

[…!!?]


ババンッ!!という効果音をつけて言ったレイに,ノーマンは頷き,エマは目を白黒させた。


[えっ…ちょ…何?ん!!?ごめん。わかんない…。]

[や,だって変だろ。]


エマが分かっていないことに気付いたレイは,エマにも分かるように説明した。


[わざと見せる。そんでビビらす。最初の発信器といい,今回といい,そんなんばっか。**おかしいって。明らかに何かある**“お見通し”ならさっさと見つけて即出荷**!* * それでいいだろ。]

〚確かに**!!* * 〛


ピッと人差し指をどこに向けるでもなく差して言ったレイに,エマもようやく合点がいって頷いた。

ノーマンも,軽く首を傾げる。


[でもママはそれをしない。それができない“理由” ──あるいは,それをあえてしない*“狙い”* が,何か,ママ側にあるってことだ。]**

〚“理由” ?“狙い” ?〛


エマは顔を顰めた。


[一体どんな…]

[それはわからない…。]

[でも,だから俺達にはママの策(て)が今一つ読めない。]


レイはそう言うと,真っ直ぐにエマを見つめた。


[敵の出方がわからねぇ以上,事は一刻を争う…。わかるな?エマ。

[うん!]


グッと,エマは自身の左腕をきつく握り締めた。


〚ママが何考えてるかわからない。つまり,いつ,どんな策(て)を打たれるかわからない。いつどんなピンチが…死に繋がるピンチが…。そうなる前に!!一刻も早く!!


エマは一度地面を睨みつけるように顔を下に向けた。


〚チャンスは潰せない。次に私達が……いや,私がすべきこと。〛

俺達じゃ近寄れない。]


レイとノーマンが真っ直ぐにエマを見つめる。

エマも,それに応えるように勢いよく顔を上げ,右手を胸の前でグッと握った。


[任せて!私がキャロルから発信器のヒント掴んでくる!]


そう言うと,エマは,門で見た鬼を思い出した。


〚私達全員…必ず生きて農園(ここ)を出る!! 負けない…鬼にも…あの大人2人にも……! 〛











「何で近寄れ……」

「いちいち言うの面倒だからちょっと黙っててよ。」


またしても小五郎から質問が上がりそうになったが,ノーマンがそれを遮った。

それにレイは慌てて仲裁に入った。


「お,おいノーマン!そんなに言わなくったって……」

「ずっと止めて邪魔して来るんだ。『説明は面倒だから記憶を見せる』って言ってるのに,説明を求めようとするから。」

「いや……そうだが……何もそんなにキツく言わなくても…。」


眉を下げて必死にノーマンを落ち着かせようとするレイに,小五郎と,(何故か)公安の風見が乗っかった。


「そうだ!そいつの言う通りだ!さっきからてめえらは怒ってばかり。理不尽な怒りもあるしなぁ。」

「我々は警察だ。犯罪者を裁く義務がある。」


コナンが恐る恐る安室……いや,降谷を見ると,降谷は深い深い深〜い溜息をついて頭を抱えていた。


(風見さん……。耐えきれなくなって出てきたんだろうが,まずいだろ色々……。あー…安室さんが……。)


コナンも思わず溜息が出てきそうになった時,この場の空気が冷たく冷え切ったのを感じた。

全員が凍りつく。

コナンがぎこちなく首を上げると,そこには,ノーマンが温度のない瞳で小五郎と風見を見ていた。

誰かが息を飲む音がやけに大きく響く。

そして,たった一言。


「君達とは話してないよ。」


ノーマンはそう言って小五郎達を一睨みすると,瞳に温度を戻してレイに向き直った。


「レイ…。君,随分と優しくなったね。……いや,違う。そうじゃない。元々優しかったけれど,それが更に増して,『優しすぎ』てるよね。」

「……っ…ノーマン…。」


レイ…。と,ノーマンはレイの肩をキツく掴んだ。

レイはそれに,僅かに顔を顰める。


「あのねレイ。言っておくけれど,この人達の対応によっちゃ,僕はこの人達を封いでいくつもりだよ。」

「…っ……でもっ…!この人達は何も悪くなんて無いだろ…。いや,殺さないだけいいけど……。お前が言うとやべえ気しかしねぇよ……。」


ノーマンは一瞬,レイの言葉に驚いたように目を見開いた。

エマもユウゴもノーマンと同じように目を見開いく。

イザベラはくっと唇を噛み締めた。

そして,ノーマンは顔を伏せて,低く呟いた。


「……『何も悪くなんて無い』……?レイを轢き殺そうとした奴らなんかが……警察なんかが……何も悪く無いわけ無い!!!!」


腹から思いっきりそう叫んだノーマンは,グッとレイが着ている入院着の襟を引っ張った。


「なっ……!!?どういうこと!?轢き殺そうとしたって……」

「一体何が…」

「え…?安室さん?」

「あ……いや……ちょっと用事があって来てて……。」


コナン同様,驚きのあまり,声を上げてしまった安室が,蘭達に慌てて苦し紛れの言い訳をしようとするが,安室はスーツを着ているし,その胸元には警察官の証であるバッチが光っている時点で誤魔化しようがない。

小五郎の興味がレイから安室に移り変わろうとした時,エマの高い声が響いた。


「『どういうこと』……?『一体何が』……?わからないの?じゃあ教えてあげる……。事実,レイは殺されかけた──警察官に。」

「!!!!…どうして……」


佐藤がそう呟くと,エマはキッと佐藤達を睨みつけた。


「『どうして』……?こっちが聞きたい!!!!貴方達人間世界出身の人達には,私達食用児のことを知ってる人間もいる!!!でも,その人達は大抵,食用児(私達)の“支援者”か,理不尽に怒りをぶつけてくる人とに分かれてる!!!後者の方はタチが悪いの!!!飲み物に薬物を混ぜてきたり,いじめてきたり…………殺そうとしてきたり……。」

「…!!!?」


エマは,クッと歯を噛み締めると,ギリギリという音が聞こえてくるくらい強く,強く,拳を握り締めた。


「レイはそういう人達に殺されかけた……。処置がギリギリ間に合ったから良かったけど,じゃなきゃレイは今,ここに居ない…この世にいない…。しかも,レイを襲ったのは警察官。日本の警察官じゃないけど,レイはそいつらに2回轢かれた……。2回も──レイが……死ぬかと思った……。居なくなっちゃうと思った……!家族を…また……失うかと思った…!」


そこまで言うと,エマはとうとう泣き崩れてしまった。

声を上げて泣き崩れたエマに,ノーマンが,静かになったレイから離れて,慌てて寄り添った。

ユウゴがボソリと呟く。


「…………何でなんだろうな…。同じ人間なのに。“食用児”だったってだけで,何でこんな理不尽に扱われるんだろうな…。少し違ってれば,そいつだって“食用児”になってたかもしれないのに……。」


イザベラとレイは俯いたままだ。

それを受けた風見がレイに駆け寄る。


「そういうことなら,我々の方で出来ることはしますので,事情聴取など,少し協力を……」

「必要ねぇ。」


バシッ!!!と,レイは風見の手を振り払った。

驚く風見達に,レイは眉を顰め,盛大に睨みを効かせた。


「俺は別にあんた達が責められる義理は無いとは思ってる。」

「レイ!!?」

「でも…」


レイの言葉にイザベラとエマも顔を上げ,ユウゴは眉を寄せた。

ノーマンはそんな3人を代表するかのようにレイの名を叫ぶ。

レイは気にせず口を開きかけ,一度閉じると,しっかりと警察官を視野に入れて口を開いた。


「だからといってあんた達を信用してるわけじゃない。寧ろ疑ってる。」

「…!!?」

「俺がこうやって言ってんのはあんた達に殺されかけたわけじゃないからだ。そこは勘違いすんなよ。」


レイはそう言うが早いか,くるりと回ってノーマン達に向き直った。


「……ノーマン……エマ……ユウゴ………‥ママ…。」


4人全員の名前を呼び,注目を集めたレイは,眉を下げつつも,ニコリと笑った。


「ありがとう…。でも,俺は大丈夫。皆のその気持ちだけで,俺は嬉しい。十分だ。──だから,この人達に理不尽に怒りをぶつけるのはやめてくれ。この人達は関係ない。俺は大丈夫だから。な?」


レイのその言葉を受けたエマは,一気に涙を引っ込めると,明らかな怒りを含んだ表情でレイにズカズカと近寄った。


「レイってば,そんなんばっか。ずっと……ずっと……『大丈夫。大丈夫。』って……。嘘言わないでよ!!!!」


パシッとエマはレイの手を取ると,グッと手が震えるくらい,キツく握り締めた。


「どうして一人で我慢するの?どうして自分ばっかり苦しい方向に一人行こうとするの?どうして一人で抱え込んでしまうの?どうして私達を頼ってくれないの?──私達は,そんなに頼りない…?」

「!‥え……いや…そういう…わけじゃ……」

「だったら!!!」


レイの手を握ったまま,エマは泣きそうに顔を歪めながらレイを真っ直ぐに見つめた。


「もっと私達を頼ってよ。もっと私達を信じてよ。私達家族でしょ?兄弟でしょ?友達でしょ?私……ううん。私達家族全員,レイが居なくなるのなんて…また,家族を失うなんて絶対に嫌なの。ずっと一緒に居ようよ。ずっと一緒に支え合って暮らそうよ。レイ。」


エマのその言葉に,レイは一瞬,気持ちが揺らぐように顔を歪めたが,次の瞬間にはすぐに顔を隠すように伏せていた。


「……でも…エマ。俺は…………。それに,ホントに,全然大丈夫なんだよ…。俺は……一人で抱えてなんか……」

「じゃあさっきあの人の手を振り払ったのはどうして?」


途切れ途切れに話すレイの言葉を遮ったのは,今度はノーマンだった。

ノーマンは,僅かに顔を上げたレイを,真っ直ぐに見つめて口火を切る。


「辛かったからでしょう?苦しかったからでしょう?痛かったからでしょう?それを全部,たった一人で我慢して,我慢して,我慢して……レイはそうやって一人で抱え込む。僕らのために……僕達家族を守るために……。一緒に生きるって,言ったんじゃなかったの?レイ。」


ノーマンのその言葉に,エマが付け足すようにもう一度口火を切った。


「レイは誰よりも物知りで,頼りにもなるし,策士だけど,それと同じくらい自己評価が低くて判断が早すぎる!!判断が早いのは良いことでもあるけど,同時に,一番の短所でもある。レイはそうやって,たった一人で苦しい方向に行ってしまう。私達を置いて。私達のために…。たとえ私達のためだったとしても,そんなの,絶対に嫌だ!!たとえ世間や神様が認めても,私達は絶対に認めない!!」

「そうだよ!僕達,家族なんだから苦しいのも辛いのも痛いのも,みんなで一緒に分けようよ。ほら,よく言うじゃない。みんな一緒なら怖くないって。まさにそれだよ。レイ。みんな一緒なら怖くない。みんなで一緒に闘おう?レイが一人で抱え込むのなんて,僕達は誰も望んでなんかいない。」

「ああ!そうだレイ。もし世間にそんな奴が居たら,家族だろうと,何だろうと,ぶん殴ってやる!!だから生きろ!!レイ!抱えてるもん,全部吐き出せ!!」


エマ,ノーマン,ユウゴが必死にレイに訴えかける。

ただ一人,イザベラは悔しそうに唇を噛んでいた。

それでもレイは,未だ顔を伏せたままだ。

エマは一度レイの手を離すと,優しく微笑んで今度は手を差し出した。

ノーマンも微笑んで,エマと同時に手を差し出す。


「一人で抱え込まないで。守ってくれなくったっていい。私達は,レイと一緒に居られるだけで幸せなの。だから…だからね,レイ。色んなこと,一緒に共有しよう?一緒に生きよう?レイ。」


レイは暫くの間,俯いていたが,ふと,顔を上げると,眉を下げて微笑んだ。

その笑顔は,申し訳無さそうな笑顔だった。

エマとノーマンが驚いて目を見開くが,レイは構わず眉を下げたまま,笑みを深くした。

そして,たった一言,呟くように言った。


「ごめん……。」


謝罪だった。

エマもノーマンも辛そうに顔を歪める。

ユウゴも驚きに目を見張っていた。

コナン達も,意味がわからず,レイを見つめる。

すると,エマがまた,涙を流しながら,レイに抱きついた。


「何で…?何でなの?レイ。言ったじゃん!生きるって…。家族全員を守って生きるって……。なのに…それなのにレイは…また……あの時だって……!」


エマは泣きながら,それでも,絶対に離すものかとでも言うようにギュッとレイを腕の中に閉じ込める。

そして,優しく語りかけた。


「ねぇレイ……?レイ…。買って出て悪役になんて,ならなくていいんだよ…?レイは人間なんだから,全部,一人でやろうとしなくていいんだよ…?お願いだから……一生のお願いだから……一緒に生きようよ。レイがまた一人で消えていこうとするなんて,そんなの,もう嫌だ…。嫌なの……嫌なんだよ……。レイ。」


エマの言葉に,レイは少し泣きそうな顔になると,優しくエマを引き剥がした。


「エマ………。ありがとう…。でも,俺は大丈夫だ。本当に,大丈夫なんだ…。ありがとう。…………ごめんな…。」


これ以上言っても,レイの心には届かないと思い至ったエマは,レイの肩に顔を埋めて泣き崩れた。

ノーマンも,のろのろとした足取りで2人に近づくと,目の縁に涙を溜め,震える手でレイの肩を掴んだ。


「………ねぇレイ…。ほんとに……ほんとに…ダメなの…?ほんとに…『ごめん』なの…?ほんとに……」


エマを優しく支えながら,レイはノーマンの方を見る。

その表情は慈愛に満ちていたが,同時に,申し訳無さや,感謝の気持ちも溜まっていた。

ノーマンは息を飲む。

それを見て,もう一度,レイは,呟くように言った。


「ごめん…。」


と。

それを聞いたノーマンは,悔しさと悲しさに顔を歪めると,エマ同様,レイに抱きついて泣き崩れた。

ユウゴは黙ってそれを見つめているが,その表情は複雑で,色んな感情が入り混じっていることは明らかだった。

ふと,コナンがイザベラを見ると,イザベラは終始俯いていて,表情が読めない。だが,影の落ちているそのかんばせに,僅かに光るものが見えたのを,コナンは見逃さなかった。


涙だ。


一筋の涙が,イザベラの瞳から流れ出たのだ。

つまり,顔を伏せているのは,その涙を隠すため。

コナンがそう考えていると,レイが口を開いた。


「取り敢えず……見ようぜ。後で説明すんの,それこそ嫌だろ?」


レイのその言葉で,映像が再生された。


















イザベラとシスター・クローネが話しているところから始まる。

扉を締めて,クローネはくるりとイザベラに向き直った。


[やっとこちら側に戻ってこられた。機会をいただき感謝します。]

[私は“補佐役”を一名要請しただけ。特にあなたを呼んだわけではないわ。]

[先輩のお噂はかねがね……。]


スッとクローネは,手を胸に持ってきて軽く礼をしながら口を開いた。


[**最年少で飼育監(ママ)に抜擢。上物以上の育成数は全棟歴代トップとか。**尊敬する先輩の下(もと)で働けて光栄の至りです。]

[社交辞令は結構よ。無駄なお喋りは止めて,仕事の話をしましょう。]


クローネの言葉を冷たく切ったイザベラは,本棚から資料を取り出し,バサッとそれらを机に広げた。


[私の可愛い子供達の資料よ。今ここで覚えなさい。──毎朝テストで満点(フルスコア)をとるよりは簡単でしょう?]


クローネは,少し瞠目した後,ニッと笑って資料を手に取り,サッサッと,ちゃんと読めているのか疑いたくなるようなスピードで流し読みする。

その中で,クローネは口を開いた。


[ところで,私は何の仕事で呼ばれたのですか?いえ,ありがたい限りですが…]

[秘密を知られた。]

[…!!?]

[子供二人に秘密を知られたのよ。荷台も見られている。]

[なっ…*!* ]


腕を組んでさらっと言ったイザベラに,クローネは再び瞠目した。

そして,バッと資料を机に置いて扉へと進む。


[でっ…では…‥規則通り…直ちに見つけて即時出荷を……]

[待ちなさい。]

[…*!* ]


イザベラはクローネに近づき,その両頬を掴んだ。


[大丈夫よ。必要ない。既に“標的”の見当もついている。出荷まで逃がさなければいいのよ。


イザベラの言葉に,クローネは驚いて目を見開いた。


[私(ここ)の子供は特別なの。これは農園の利益でもある。]


クローネは先程途中まで見た子供達のスコアを思い出した。


フィルが195 ,ラニオンが192

アンナが181, ナットが176

ドンが198 ,ギルダが205

そして,ノーマン,レイ,エマの3人が300──フルスコア──


確かに,ここの子供は他のプラントとは違うだろうと,クローネは思った。

クローネは言葉を絞り出す。


[上に……報告しないんですね…?]

[しないわ。“標的”は私がしかるべき手順で処理をする。]


そう言うと,イザベラはクローネの頬から手を離し,一歩下がった。


[あなたは“見張り”…。何も考えず,ただ“見張り”でいればそれでいい……。この家の主(ママ)は私。あなたは“補佐(シスター)”。


イザベラはクローネにくるりと背を向ける。


[あなたには私に準じた権限を与えるけれど,あくまで私の指示に従ってもらうわ。]


そう言うと,イザベラは再びくるりと回り,クローネに向き直った。

その表情には,薄く笑みが浮かべられている。


[いいわね?シスター・クローネ。]

[──イエス。マム・イザベラ。]


イザベラの問いかけに,クローネはニッと笑って答えた。

















エマは森でレイ達と分かれた後,ハウス内の廊下を歩いていた。


〚ベビーベッドはママの寝室(へや)に9台。1〜2歳の最年少9人がママと共に寝起きしている。そのママの寝室(へや)で,毎晩,最年少(かれら)の着替えや入浴の手伝いが許されるのは……なぜか年長の女子のみ。


着替えを持って,エマとギルダが廊下を歩いて行く。

同時に,エマはノーマンとレイに言われたことを思い出していた。



〘僕らじゃ通常近づけないし,無理に近づいても不自然だ。〙

〘発信器は見つけて壊す。できなけりゃ脱走は不可能。全員で逃げるならなおさらだ。──頼んだぞ。エマ。〙


その時,コクッと,二人にエマは頷いた。

2人の期待に応えなければならない。

……いや,それ以前に,エマがやらなければならない。


コンコンッという音を立ててノックしてから,部屋に入ったエマは,まず一番にキャロルの元へ向かった。


〚私が見つける。末妹(キャロル)から……発信器の手がかりを…*!* 〛

グッと,エマは意気込んだ。


















シャーッと,夕飯に使った食器を洗いながら,ノーマンとレイはヒソヒソと話していた。

ノーマンが肩越しに後ろを振り返る。

その視線の先には,シスター・クローネがいた。


[……なじんでるね。]

[ああ。なじんでる。]


クローネは,子供達に群がられてニコニコと微笑んでいた。

ノーマンが視線を外すと,それを狙ったように,レイが口を開いた。


[発信器は勿論,『全員を連れ出す方法』も考えねぇとな。]

[うん…。]


レイの言葉に,ノーマンは眉を下げて居心地悪そうに頷く。

2人は,手元に集中しながら,話にも集中する。


[あの大人2人出し抜くにしたって,単に目晦ましゃいいって問題じゃない。]

[それね。]


**〚鬼へ通報させてはいけない! 〛**と,ノーマンは眉を寄せた。


[鬼は必ず近くにいる。財である家畜(ぼくら),まして“高級品”を放置して離れるわけがない。──ゆえに,何よりマズイのは,鬼への通報。脱獄初動であの化物に追われること…。]


と,ノーマンは顔を顰めた。

すると,レイが,洗っているフォークを握ってノーマンを横目で見た。


[阻止する方法は一つ。ママとシスターを──]


カンカンッ**!* * と,そのフォークを,レイは皿に軽く打ち付けた。

お互いに横目で見つめ合う。

そして,同時に背後を振り返った。

そこには,ニコッと笑ったクローネが立っていたのだ。


[[………]]


クローネはニッと笑みを深めると,2人に顔を近づける。

レイは人見知りなのか,ノーマンと違ってあらかさまに体を引いた。

それを見たノーマンは,苦笑しそうになるのを堪える。


〚レイったら……。すごい避けてる…。……まあ…普段,みんなとそんなに関わってないから……なの……かな…?いや,もしかして元々?……まあ,今はいっか。〛


ノーマンがそんなことを考えている間,レイも思考していたが,全く別のことだった。


〚え…。めっちゃ失礼だけど,シスター顔怖っ…めっちゃ筋肉質だし……。あと,近ェし…‥。距離感おかしいだろ…。バグってる…?あ。エマもか。〛





「ちょっとレイー!!?」

「事実。お前はスキンシップが多い。」

「なにをー!!レイが人見知りなだけじゃん!!!」

「エマの距離感が近いことは今に始まったわけじゃないよね〜。」

「ノーマンまで〜!」

「大丈夫だよ。エマ。いいことだから。レイが人見知りっていうのも事実だしね。」

「………チッ…」

「あ!舌打ちしたー!」


映像のレイの言葉のお陰で元気を取り戻したのか,会話が目まぐるしく回っていく。エマとノーマンの目は,赤く腫れていたのだが……。

その3人の様子に,コナンはいい加減思った。


(説明が面倒なんだったら早く見せろよな……。)


と。

ユウゴが何か言ってくれないかと思って見てみると,その期待に応えるように,ユウゴは,レイが来て初めて口を挟んだ。


「お前ら……。進まねぇからそれはもう後にしろ。な?」

「あ。うん。そうだね…。分かった。」


ユウゴの言葉に,ノーマンが素直に頷くと,エマとレイも押し黙った。

そうすると,何度目か分からないが,再び映像が再生された。















もう一度ニコッとクローネは微笑み,ピッと人差し指を立てる。


[ノーマンとレイね。]

[[…はい。]]

[テスト,満点(フルスコア)なんですってね。]

[[…はい。]]

[すごいわ。]


とても静かに『はい。』としか答えない2人に,クローネは,気分を害することなく,両手を2人に差し出した。


[よろしくね。仲良くしましょう。]


差し出された手に,戸惑いつつ(特にレイ)も,ノーマンとレイは,その手を握った。

すると,クローネはあっさりと2人から離れていった。

食器洗いに戻るふりをして(それでも,食器洗いはちゃんとする。),2人は会話を続けた。

レイが小さく,でも,少し焦ったように呟いた。


[聞かれたか?]

[いや,大丈夫。ちゃんと黙った。ただ,見る目が違った。最年長(ぼくら)を疑ってるんだ。ママの手は確実に僕らに伸びてきている…。]

[ああ。]


レイを落ち着かせるように言ったノーマンは,[それと,レイ…。]と,もう一度クローネを振り返った。


[ひょっとして,ママ……]


眉を寄せて,ノーマンが呟くと同時に,クローネも頭を回転させていた。


〚穏やか…。とても秘密が漏れたとは思えない。これがイザベラの子供達……。〛


暫くの間,ノーマンとレイを中心に,部屋全体を見回したクローネは,不意に,不敵に口角を上げた。


なるほどね♡いやまさかあの“イザベラ先輩”がこんな凡ミスやらかすなんて。しかも上に報告もせず,ミスの事実をもみ消そうとしている。これは重大な規則違反**!! * …とはいえ,“先輩(イザベラ)”の優秀さはあっちでさんざん聞かされてきた。彼女が言うなら“標的”は絶対に逃げられない。その点では本当に“問題ない”んでしょう…。ここで私も手を貸しておけば,イザベラに恩を売れて私の出世は確定する。いつかは“ママの座”!* 〛


そこまで一気に考えたクローネは,**〚──でも…〛**と思った。


〚これ,チャンスなんじゃナイ?いつかじゃなくてなんじゃナイ?“ママの座”はわずか。そう簡単に空きは出ない…。そして私が標的(しょうこ)を携え,違反を告発すれば,イザベラは間違いなく失脚する**!* * つまり,従順な補佐(シスター)としてイザベラの後ろ盾を手に入れるより,従順なフリをして,イザベラ堕として“ママの座”奪う方が早いんじゃナイ?〛


クローネはその結論に至ると,ニッと笑った。


〚ステキね。私がここのママになる**!* * 決めたわ。“標的”は捕えて密告(チク)って即出荷!! 一刻も早く見つけなきゃ☆


クローネは,そう考えてニヤリと笑った。










そこで,深い溜息が2人分聞こえてくる。


「「はあぁぁ………。」」


「「あ。」」と言ってお互いに顔を見合わせたイザベラとレイが,この空間に響いた溜息の主のようだ。

イザベラは分かるが,何故レイ…?と思ったコナン達を無視して,無情にも映像が再生される。

2人は気まずそうに目を逸らしていた。













映像が再生されると,早速,別の場面に切り替わった。

エマがキャロルから発信器の糸口を探している場面のようだ。

キャロルを着替えさせながら,エマは頭を必死に動かしていた。


見つけなきゃ。発信器*!! * でもない**! * “傷”なんてどこにもない*!!* * そんな…ここまで全くないなんて…。どうしよう…。発信器なんて埋められていないの?発信器(それ)自体,ママのハッタリ?〛


〚………………いや,そんなはずない。〛とエマは少し鋭くした目つきでキャロルを見る。


〚発信器は確かにある。じゃなきゃあの時,標的が二人だなんてわかりっこない。──違う?〛


自問自答しながら,エマはキャロルを着替えさせる。


〚『拠点』から来たばかりのこの子に,何の痕跡もないのは逆におかしい。何か,見落としがあるはず…。〛


エマは着替えさせたキャロルを抱え,ぐるぐると高速で頭を回す。


〚**諦めちゃダメ。考えろ。**みんなで一緒に逃げるんだ!!ノーマンやレイならちゃんと考える…。観察・分析──手術痕がないならそれだけサイズが小さいってこと。………敵の策(て)を読む…。敵の立場…。〛


エマの頭に次から次に色々な単語が飛び交っては消えていく。


〚敵…農園…ママ…。……あ。〛


何かに気付き,エマはパッと顔を上げた。


〚発信器って,いくら鬼でも食べないよね?じゃあ出荷の時とか,取り除くはず。なら,子供(からだ)が成長しても取り出しやすい場所──*!!* どこだ。考えろ。考えれば必ず──


キャロルを抱えたまま固まっているように見えるエマに,ギルダは近寄って話しかけた。


[……エマ,あやすの上手いよね…。すごいなぁ…。もうキャロル懐いてる…。]


エマに気持ちよさそうに抱きついているキャロルを見て,ギルダはそう言うと,躊躇するようにしながらも,一歩,踏み出した。


[エマ…。私ね…エマに聞きたいことがあるの。あの日…あの夜…っ


そう言いかけたギルダの声が聞こえていなかったかのように,エマはバッとキャロルをベビーベッドに寝かせた。


[?…エマ?]

〚そうだ。確か…そういえば……*!* 〛


未だにギルダの声が耳に入っていない様子で,エマはキャロルの耳を裏返した。

そこには,小さな虫刺されのような膨らみがあった。

ギルダが後ろから覗き込む。


[あれ?何それ?虫刺され?]


エマはようやくギルダの声が聞こえたように,口を開いた。


[……これは…病気の検査のために,採血した痕だって…昔…ママが…


そう言いかけて,エマはもう一度キャロルの耳に手を伸ばす。

そして,そのしこりの上を摘んだ。

すると,コリッと明らかに感触があったのがわかった。

エマはパッと顔を明るくさせる。


これだ!! ナイラ…フィル…マルク…コニー…。誰の耳にもあった。且つ,成長しても取り出しやすい…!“採血痕”。あれは嘘…*!* 発信器は耳に埋められていたんだ!!


でも…。と,エマは眉を下げた。


〚思ってたよりずっと小さい…。11歳(じぶん)の耳,触っても殆どわかんない…。1歳(キャロル)の触ってなきゃこんなの気づけないよ…。〛


不安にかられ,エマはギュッと目を閉じた。


〚全然想像つかない…。一体どんな発信器?もしこれが鬼独自の技術だったら…お手上げ…〛


そんなエマの不安を察したように,キュッと指が握られる。

キャロルだ。

大丈夫だよ。と言うようにニコッと笑っている。


[あー]


その姿に,エマは唇をキュッと引き結び,素早くプラス思考に切り替えた。


〚……違うよね。場所は判かった**! * 一歩進んだ*!! * 迷うな。次は壊し方*!* * 絶対壊して逃げてやる!!!


エマはキッと顔を上げて,格子窓を睨みつけた。





















[定時連絡。定時連絡。]


夜遅く,どこかの部屋で,イザベラはヘッドフォンをつけてどこかに連絡をとっていた。


[こちら73584。第3プラント。**10月17日異常なし。**では,通信を切断──]


言いかけたとき,ザザッという耳障りな音が聞こえてきた。

次いで,女の大人……イザベラよりも歳上であろう女の声がイザベラの耳に届いた。


〔イザベラ?〕

! …“大母様(グランマ)”?]

〔ボスからの伝言を預かっています。〕


ヘッドフォン越しに響くその声に,イザベラは目を鋭くさせた。


〔『例の3匹。予定通り出せるな?』──よいですかイザベラ。今年は総じて他のプラントの実りがよくない。儀祭(ティファリ)で最上物を“摘める”のはあなたのプラントだけなのです。


その“大母様(グランマ)”の言葉に,イザベラは一旦目を閉じると,また開けてから口を開く。


[──はい。元より承知しております。ボスにお伝え下さい。「万事順調。」「いつでも,どの子でも。」と。



そう言って,イザベラは通信を切断した。


























「次がようやく『鬼ごっこ訓練』かぁ。」

「うん…。ドンとギルダを引き入れた日も近くなってきてる。あーあ。僕,脱獄のところ早く見たいなぁ…。」

「ノーマン。お前,それ……本人がいる前で言うか普通。」

「やだなぁ。レイ。本人の前だからこそ言うんじゃない。」

「性格悪っ!」

「ふふふっ…。」


相変わらず切りの良いところで3人(レイは来たばかりだが…。)が話し出すから先に進まないのでは?という疑問を抱きつつ,コナンは背伸びをして話しかけた。


「ねぇ!ねぇ!『説明するのが面倒』なんだったらさ,早く先に進めてよ!(色々,気になることもあるしな。)」


コナンがそう言うと,ノーマンは会話を邪魔されたのが気に入らなかったのか,眉を顰めたが,エマは「そっか。そうだね。」と言って苦笑した。レイも苦笑して「じゃあ,ご要望も出てるし,続き見ようぜ。」とノーマンに言ってくれた。

ノーマンはそれに渋々納得して,一瞬,コナンに一瞥くれてから,再生された映像を見つめたのだった。

幾度目かの鬼ごっこそして譲れない駆け引き

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

201

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚