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★途中作品です。
※擬人化&女体化注意
※記憶喪失もの
※☀️の愛が重い
※ワンコ(SM)プレイっぽい
※(客観的に見ればハッピーエンドでは)ないです
※おーけー?
♡お前の全ては神のもの
日常とはいきなり崩れていくものだ。俺、マリキンの日常はあの日を境に唐突に崩れていってしまった。
その日、俺は単独でパシリオーダーをこなしていた。簡単な小遣い稼ぎ程度の内容だったから特に苦戦することなく終わったんだ。さて、次は何を受けようか。そんなことを考えながら掲示板を眺めていた時、目の端に俺の相棒でもあるフサキンが映りこんだ。ここはマスタベタウン。こんな所になんの用だろうか。そう考えた俺は、フサキンの肩を叩いて話しかけた。
「よっ、フサ」
ぽんっと肩を叩かれたフサキンは驚いたような顔をしながら首を傾げて俺に尋ねてきた。
「…………君、誰?」
「……………………は?」
思わず俺の口からも腑抜けた声が漏れた。
「い、いやいや!なんかの冗談だろ!?な!?フサ!?」
「わわっ!?だから、何!?いきなり他人に掴みかかるなんて……ちょっと失礼じゃない?」
彼女の肩を掴む俺の手を払い除けて、フサキンは俺のほうを睨むように見下ろしてくる。白く長い触覚のような前髪が頬にかかり、不定形のぐちゃぐちゃとした瞳が俺の目をしっかり捉えている。あ、これ本気なんだ、と理解するのにそう時間はかからなかった。
「俺の名前……何処で知ったの?それに君は…………」
「…………スマン……!」
「あっ!ちょっと!!」
後ろから俺を呼び止めるような声が聞こえた気がしたが、そんなこと気にも止めず、俺はその場から逃げ出した。何故、何故、フサキンは俺の事が分からないのだろうか。記憶喪失……?いや、そんなまさか。
フサキンから逃げ出した後、他の色んな沼とこを回ってみた。シグキンやバチキン、Jackにあづキン……しかし、全員が口を揃えて俺の事は知らないと言った。おかしい、おかしい!なんで全員俺の事を覚えていないんだ!?ポロポロと止められない涙を流しながら、半狂乱で走ってセキゴウの洞穴へ向かった。後会っていない沼は太陽だけ。どうせ覚えていないとは思ったが、今は藁にもすがりたい気持ち一心で小屋のドアを開けた。
「太陽!!!」
フローリングをスニーカーのようなヒールを踏み鳴らして、机と向き合って座っている太陽に近寄った。
「………………うるさいですよ。勉強中です。」
「お前は、俺の事分かるよな!?な!?!?」
太陽の横に回り込み、机に勢いよく手を叩きつけながら彼女に問うた。
「は????何を言ってるんですか???分かるに決まっているでしょう???」
「!!!!」
はぁとため息を付きながら、太陽はこちらを一瞬見てからそう答えた。思ってた回答とは違う理想の答えが太陽から帰ってくる。その言葉を聞いた瞬間、ダムが決壊したかのように涙が溢れ出てきた。
「た、たい、太陽…………」
「うっわ!!??!!なになになになに!?!?誰か!!!大人の人呼んで!!!!」
「ひぐッ、グスッ……たいよぉ…………」
目の前でボロボロ泣き崩れる俺に太陽は続けた。
「だぁかぁらぁ!!なんなんですか!??!!話してくれないと分からないんですけどぉ!??!?!!」
「じ、じつは……」
鼻を啜る音と嗚咽混じりで聞き取りずらかったとは思ったが、太陽は途中特に口を挟むことなく、最後まで聞いてくれた。こんなことは太陽にしては珍しい。最後まで聞き終えた太陽は椅子に偉そうに腰掛けながら口を開いた。
「へ〜〜〜〜???つまり、俺以外の沼共からお前の記憶だけ綺麗さっぱり無くなってた、と???」
太陽の言葉に鼻を啜りながら俺はコクコクと頷いた。
「……へんなの。しゃーねぇから原因は調べてやんよ。その間お前はここに居ればいい。が、邪魔だけはすんなよ??いいな???」
「スマン……ッ、太陽……」
べしょべしょの顔で上を向けば、いつもの顔の太陽と目が合う。たったそれだけのことなのになんだか妙に嬉しく感じられて、また涙が溢れ出てきた。太陽はそんな俺の目元をガサツに拭って手を離した。
「ま、行く宛ての無い英雄サンよ。そのひっでぇ顔直す為に寝たほうがいいんじゃあないですかね???ベッド貸してやっから、感謝しろ。」
太陽の言葉に言い返す気力もなく、俺はフラフラと吸い込まれるようにに簡易ベッドに倒れ込んだ。惑星の方の太陽の匂いと、沼のほうの太陽と同じ匂い。二つの匂いが混じっているのに、なんとなく嫌な匂いだとは思わなかった。自分よりもはるかに大きい手が頭を撫でていくような感覚がして、それが妙に暖かくてだんだん頭がトロけてくる。瞼がどんどん重くなっていって、俺の意識は夢の中に落ちていった。
「…………………こーんなに上手く罠にかかっちまうなんて思いもしなかったなぁ???アイツらの記憶消したの俺なのに。犯人の元へのこのこやってきてさ???やっと俺のとこに来てくれた……後はじぃっくり堕とすだけ………」
太陽はマリキンの頬を撫でながら続けた。
「俺だけ、俺だけだ。お前の事を愛しているのは。他の奴なんて見なくていい。お前は俺のことだけ見てればいいんだよ。 」
あれから何日経っただろう。俺は太陽の小屋で生活を共にしていた。太陽は思っていたより優しくて、俺が生活する為の必需品をしっかり用意してくれて。なんならこのチョーカーやイヤーカフ、ペアリングまでくれたんだ。太陽のメッシュと同じ赤みが強いオレンジ色。俺はこの色が好きだ。太陽を身近に感じられる、というとがまあ一番大きいんだがな。
「マリキン!!」
その時、誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。太陽ではない、誰だ…?
「やっと見つけた……!!最近見てなかったから心配で……!! 」
「………………誰だ?」
「…………え?」
白く長い触覚のような前髪と猩々緋の鉢巻き。紺鼠のマントを羽織る和服の俺より少し背が高い沼だ。
「帰ってくれ。変なやつと話すなって言われてんだよ。」
シッシッと犬猫を払うように片手を動かせば、俺に声をかけてきた沼が面食らったような表情をして手を伸ばして俺を止めようとしてきた。
「ちょちょちょ!!ちょっと待ってよマリキン……!!」
「…………フサキン、今日は引き返そう。」
「なんでシュミちゃん!?」
フサキン、と呼ばれたその沼を諭したのはシュミちゃん、と呼ばれた小さな沼だった。小さいながら、物分りがいいらしい。
二人はコソコソと何か話した後、俺に背を向けて去っていった。
「……………また、来るからね……」
最後にフサキン?が俺に対して何か呟いたように聞こえたがそんなことはどうでもいい。俺は太陽の元に帰らなければ。
「太陽!!」
小屋の扉を乱暴に開け放ち、太陽の元に駆け寄る。太陽は相変わらず机と向き合ってペンを走らせていたが、そんな事今さら気にしない。
「帰ったか。」
太陽の隣に回り込んだ俺に視線を移すことなく、太陽はそう言った。
「あのな?さっき外で沼二人に会ったんだけど、ちゃんと追い返してきたぜ?」
沼二人に会った、という言葉に太陽が一瞬渋い顔になった気がするが、すぐにいつも俺に向ける優しい笑顔に顔を戻し、俺の頭に手を置いた。まるで子供を撫でるように柔く、優しく撫でてくれた。
「………そうか、よく言いつけ守れたな」