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事務所にて。
「夜勤、慣れた??」
「それなりに。」
「今年の新人は格別優秀でありがたいよ。」
「あたりめーだろ。」
短い会話をして夜の街へ。小夜はビルの屋上で、爆豪は切島とパトロール。
「個性凄すぎて処理できねぇ!!」
「それも筒抜けだぞ!!ちったぁ慎め!!」
「わりっ!!じゃなくて、すいません!!」
「はい、集中集中。」
他のヒーロー達も切島にエールを送った。
「さて、今日もお疲れさま。」
毎度おなじみ、小夜はビルから直帰コース。
「いつもこの後何してんだ。」
「警察の仕事手伝ったり、ラジオDJしたり。」
「ラジオDJ??」
「うん。“DJルナ”知ってる??」
「雄英の時、たまに動画サイトでアーカイブ聴いてた。あんただったのか。」
「リスナーさんだったとは意外な共通点。」
どんな人が喋っているのか気になって、よく聴いていた。まさかその人と一緒に仕事をしているなんて。嬉しくて、鼓動が跳ねた。
「事務所着いたから切るぞ。」
「はい。じゃ私はこの前報告あげてくれた違法カジノ店の情報集めます。」
爆豪も自分なりに違法カジノ店について調べることにした。
そんな中開かれた新人歓迎会。日も暮れたと言うのに、小夜の姿が見当たらない。
「皆楽しんでる??」
その声に待ってましたと先輩達が拍手する。きらびやかなドレスを纏った小夜はステージに用意されたピアノの前に座った。
Fly me to the moon
Let me sing among those stars
Let me see what spring is like
On jupiter and mars
「(ああ、この曲だ。)」
この歌を歌う彼女に惹かれたんだ。グラス片手に久しぶりの“Fly me to the moon”に聞き入る。
「こういうの苦手??」
数曲ジャズを歌ってステージを降りた小夜。先輩や後輩達に声をかけた最後に、カクテル片手に爆豪の所に来た。
「苦手だよ。でもアンタがいるから来た。」
「ありがとう。そう言ってくれて嬉しい。」
「…綺麗なカクテルだな。」
「シリウスっていうの。よかったら作るよ。」
「ん…お願い、します。」
珍しく素直な爆豪に驚きながらも、手際よく作る。
「ここ、アンタの店なんだって??」
「正確には共同経営者の1人で、雇われ歌手。」
「へぇ。…ッ!!」
「テキーラベースのカクテルよ。テキーラは始めて??」
カッコ悪いところを見られて分が悪い。
「可愛いところあるじゃん。」
「クソが…!!」
「イッキ飲みしちゃダメ!!」
時遅しで飲み干した爆豪の顔は一気に赤くなる。
「言わんこっちゃない。」
「うるせー。俺より3つしか変わんねーのに大人ぶりやがって!!」
「なんだその屁理屈。ま、お酒を嗜むことができるってことは大人なのかもね。」
「てめえこそ、屁理屈並べてんじゃねぇよ。もう1杯。」
「えー??」
「いいから作れやクソが!!」
「分かった。とりあえずチェイサー挟んで、バイオレットフィズ作るね。一気飲みは無しよ。」
と飲み続けた結果。
「だれかー。ダイナマイトと家近い人いるー??」
「1人で帰れるわボケェ!!」
暴言吐きながらも、動けず。見かねた同期は切島を呼び、小夜と店長がそれまで見守ることに。
「ほんっとにすいません!!うちの爆豪が!!」
切島はひたすら頭を下げて、暴れる爆豪を回収した。