その日、三咲は本当に心の中で抱えていた感情を爆発させる時が来たと感じた。これまで、智也に対して抱いていた混乱や疑念、不安。それらすべてが、今日、彼女の中で一気に溢れ出した。
最近、学校の噂や智也の行動に対する不信感が強くなり、三咲はますます彼に近づけない自分に苦しんでいた。智也と春菜の関係が明らかになったとき、三咲の心は完全に崩れたように感じた。しかし、どんなに自分が傷ついても、彼に対する思いが完全に消えることはなかった。
ある日、三咲は学校の校庭で智也を見かけた。彼は友達と楽しそうに話していたが、三咲はその姿を見るたびに心が揺れ動くのを感じた。これまでどんなに無理に心を閉ざしても、彼に対する気持ちは消えなかった。反対に、その気持ちがどんどん強くなっていくのを感じていた。
「どうしてこんなに苦しいんだろう…」三咲はひとり心の中で呟いた。彼のことが好きだと認めることがこんなにも辛いなんて、思ってもみなかった。
その時、智也が三咲に気づき、彼女に向かって歩き出した。「三咲…」彼の顔には、いつものような優しさが浮かんでいたが、その裏にはどこか遠慮が感じられた。
三咲はその姿を見て、胸の奥で何かが弾けるような感覚を覚えた。彼が自分に近づいてくる度に、どうしても心が乱れていく。そして、これ以上このまま我慢できないという気持ちが湧き上がってきた。
突然、三咲は思いきって大声で叫んだ。「智也!私は…私は、あなたが好きなんだよ!」その声は、校庭に響き渡り、周りの人たちも驚いて振り返った。
智也は一瞬驚いたように立ち止まり、そしてゆっくりと彼女を見つめた。三咲の目には涙が浮かんでいたが、それでも彼女は言葉を続けた。「あなたがどんな人間でも、私の気持ちは変わらない。たとえ周りの人たちが何を言っても、私はあなたが好きなんだ!」
その告白を聞いた智也の顔には、驚きと戸惑いが入り混じった表情が浮かんでいた。「三咲…」
彼の言葉が途切れると、三咲は少し強く息をついた。「ごめんなさい、こんなこと言って。もう、どうしていいかわからない。でも、これだけは言わせてほしかった。」
その瞬間、智也は何も言わず、ただ彼女を見つめ続けた。三咲はその視線に耐えきれず、そっと目を閉じた。彼女は自分の気持ちを、ようやく智也に伝えたことに安堵を感じたが、同時にその後どうなるのかもわからなかった。
智也はしばらく黙った後、ようやく口を開いた。「三咲…ありがとう。でも、僕も君の気持ちを受け入れられるか、まだわからないんだ。」その言葉に、三咲は胸が締め付けられるような思いを抱えた。
しかし、それでも三咲は顔を上げて、涙を拭いながら微笑んだ。「いいの、智也。私はただ、あなたに伝えたかっただけだから。」
その後、三咲はその場を立ち去り、智也はただその背中を見送るしかなかった。彼女の気持ちは、今、智也に届いたのだろうか。
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