Side wki
窓を開ければ、
冬の夜の空気は澄んでいて、
星が静かに光っている。
冷たい風が頬を撫でるたびに、
なんだか、胸の奥が締め付けられるよう。
こんなに空が綺麗なのに、
ここ最近の心の中は深い霧がかかったかのように、曇ったままだった。
窓を閉めて、ふと視線をリビングに向けると、
久しぶりに2人で会えることになった元貴がいた。
俺のマンションの部屋のソファで、
スマホを見ながらふっと笑うのが見える。
……その笑顔、久しく俺に向けられてないな。
……最近、あいつはどこか冷たい。
年が明けてから
同じ仕事をして、同じ体験をして、
今も、同じ空間にいるのに、
心がすれ違っている気がして、
ずっとモヤモヤと嫌な感情が心を支配していた。
ベランダの窓を閉めると、
ビュービューとビル風が吹いていたのが
聞こえなくなり、
テレビも付けてない部屋は
シーンと静まり返る。
……なんで。
なんで久々に二人で逢えているのに
元貴は俺を見てくれないんだろう。
……寂しい。
この沈黙に耐えられなくなった俺は
勇気を振り絞って元貴に声をかけてみる。
「……元貴」
そっと声をかけると、
元貴はスマホから視線を外さずに
「なに」とだけ答えた。
その態度に、胸がちくりと痛む。
「……最近さ、なんか……た、楽しそうだね。」
「別に、普通」
「そう……でも……今も、スマホ見て、ニコニコしてたじゃん……。」
言葉を選びながら、手がじんわりと汗ばむ。
「……あのさ、……も、もしかして、元貴……
俺の他に……好きな人、できた……?」
スマホを操作する手が止まり、
初めて視線が俺に向けられた。
でも、その目には、
何も映していないように感じる。
「なんで、そんなこと聞くの」
元貴の声色が冷たくて
俺の胸がギュッと縮こまる。
「だって……最近の元貴、
俺に全然触れてこないし……
俺の目、ちゃんと見てくれない気がしてて……」
「その……なんなら、俺意外には、なんか……、、甘いっていうか……なんか……元貴……機嫌いい気がしてて……」
俺は、震える声で言いながら、視線を落とした。
やばい……
こんな事、言うつもりなかったのに
いざ、沈黙になると、
何も言わない元貴を前に
なにか話さなきゃと
口が勝手に動いてしまう。
俺は、肩が小さく震えていた。
コメント
12件
すごい好きです 、 泣 大森さんに見て欲しい 、 そんな気持ちが大きくなればなるほど 苦しくなるもの 、 、 その文才表現が好きです 、! 見るの遅くなってごめんなさい!
なにこの感情、、自分に言われていないのに胸がキュッとなる。若井はこれ以上に苦しいだろうな 相手への強い気持ちが元貴さんにもあるのだろうか 元貴さんに若井以外の好きな人なんていないと信じたい
はぁ〜〜若井さんしんどいだろうな 勇気振り絞って問いかける姿にこちらまで胸がきゅっとなります。 大森さん若井さんに優しくしたげて...😭