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わ、わかい、、、辛い。 元貴さんが若井のことをちゃんと見ていると信じたい 若井の寂しさが、ものすごく伝わってくる 元貴さん、若井のこと愛しているよね…
必死なの可愛い、、、 目に映りたくて必死なのが伝わってきます、、! mtkさんも好きとか言ってほしい言葉を言わずにキスだけするのがほんっと意地悪です…
最高です 泣 最後に笑ったのが凄い好きです泣
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「その……なんなら、俺以外には、なんか……甘いっていうか……なんか……元貴……機嫌いい気がしてて……」
俺は、震える声で言いながら、視線を落とした。
やばい——
こんなこと、言うつもりじゃなかったのに。
いざ沈黙になると、
何も言わない元貴を前にして、
なにか話さなきゃと、口が勝手に動いてしまう。
俺は肩が小さく震えていた。
Side Wki
「も、元貴さ……!
もしさ、俺以外に……好きな人ができたなら、
ちゃんと言ってよ……?
それか、もう、俺のこと、好きじゃない……?
俺といても、つまんない……?」
俺は、わざと明るい口調で、
精一杯、冗談っぽく話す。
その言葉に、元貴は何も答えなかった。
「……。」
「……元貴?」
俺は意を決して、
ためらいがちに一歩ずつ元貴へと歩み寄り、
ソファーに座る元貴の隣にそっと腰を下ろす。
何も反応がない元貴に戸惑いながらも、
そっと手を伸すと、
指先だけで元貴の袖を掴んだ。
心臓が喉の奥で静かに騒いでいる。
俺は、ゆっくりと顔を上げて、
潤んだ瞳で元貴の横顔をじっと見つめた。
——少し前までは。
元貴は、
俺に一番にできた曲を聴かせてくれた。
ノートパソコンで何か作業しているとき、
膝の上に俺が無理やり寝転んで
ちょっかいかけても、
「お前、ほんとに邪魔だよっ!」
とか言いながら、
猫を撫でるみたいに、気まぐれに頭を撫でてくれたりした。
わざと可愛いふりして、
上目遣いで覗き込んだら、
「お前……勘弁してくれよ。
その顔……ここだけにして?
若井さ、元々、可愛い顔立ちなんだから。
警戒心もてよ。」
なんて言って、照れたように笑いながら、
ぎゅっと抱きしめてくれることも日常だった。
——その記憶があたたかくて……。
なのに、
今、目の前にいる元貴は、
あの頃とは違っていて。
こちらを向いてくれず、
何も言ってくれない。
……元貴。
なにか、言ってよ。
心の中でそう叫んだ瞬間、
元貴がゆっくりと体を寄せてきて、
こちらへ向き直ったかと思えば、
無言で顎を指先で掴んだ。
視線と視線が絡まる。
その直後——
俺の唇を、
強引に塞いだ。
さっきまでの沈黙が嘘のように、
顎を引き寄せる仕草は驚くほど優しい。
深く、舌が絡む。
呼吸もできないほどのキス。
その唇の熱に、
確かに元貴の体温と鼓動が伝わってくる。
「んっ……っ、元貴……っ」
俺は久しぶりのキスに
体が震えるのを自覚しながら、
でも目だけはそっと上目遣いで元貴を見た。
この人に嫌われたくなくて。
怖くて。
でも、それ以上に、好きで堪らなくて。
その瞳の奥に、
少しでも自分が映っていることを、
必死に願ってしまう。
涙が滲んでも、
唇を押し返すように応える。
このキスに込められた、
ほんのわずかな愛情に、すがっていたかった。
「……元貴……。お願い……。
どこにも行かないで……。」
唇が離れると、
震える声で俺は必死に想いを伝える。
元貴は何も言わずに、
ゆっくりと俺の前髪に手を伸ばし、
指先でそっと掬うように撫でて、ふっと小さく笑った。
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