テラーノベル
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ひとさし指でなぞる清らかな嘘の輪郭
だれにも汚されぬように
私は私を殺したまま飾ってる
誉められるたびに
息が浅くなるの、知ってる?
ほめ殺しなんて言葉
ほんとうにあるのね
「いい子ですね」って、
そう言えば私、笑うでしょう?
でも心の奥で
ナイフを咥えた犬が
飼い主を噛みたがってるの
自由は毒だと教えられた
でも、あの子は
毒を飲んで笑ってる
喉を焼くその笑顔が
どうして、どうして、
わたしよりも美しいの
ねえ先生、
白紙の答案を
満点って言ってくれますか
何も書けなかった私に
「それが正解だよ」って言ってくれますか?
誰にも見せたことのない
濁った水でできた心臓が
今日も脈を打ってる
どうせ、ばれない
白い制服に染みるほどじゃないもの
わたし、幸せになりたいんだよ
でも、わたしは優等生でいなくちゃ
生きていけないんだよ
だから今日も
褒めて
愛して
見て
気づかないで
そして、
わたしより幸せにならないで
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