「はぁ〜また負けたよぉ」
体育館の中は凄く騒がしかったが僕には凄く静かに感じた。
「だーかーらぁ、それエースカードなんだから3枚入れろって」と友達の声。
「で、でもぉ……」と僕は不満をこぼす。
「勝てないカードゲームの何が楽しいんだよ」
その意見は正しいと思う。カードゲームというのは、相手に勝つために自分のデッキを切磋琢磨に強化し、より高みを目指すものなのだから。
でも僕は自分でもよく分からないがほとんどのカードは1枚だけしか入れないことにこだわっていた。
「お前今日1回も勝ててないだろ」
今日の僕の戦績は8戦8敗
「もーほっといてよ!」
僕はその場から逃げてしまった。
「もう、、、みんな分かってないんだ」
と走っていると、
「ガンッ」と歩いている人とぶつかってしまった。
「あ、すいません!」
(あれ、、人の気配なんて全く、、)
「あぁ、全然大丈夫だ。気にするな」
と行って男性はまた歩き出してしまった。
行ってしまった。と思い、ふと地面をみると
「あの!カード落としましたよ!」
と僕が男性の歩みを止める。
「あ、すまない。ありがとう」と男性が振り返る。
次に男性が発する言葉は僕の予想しない言葉だった。
「このカードは君が貰ってくれないか?」
といった。僕の思考が追いつくのを待たず男性は続ける。
「このカードも君に懐いているみたいだしな」
カードが人に懐く?などと思っているうちに男性はまた進み出してしまった。
「クリアクリボー、、別に効果が特別強いわけでもないし、攻撃力が高いわけでもない、、、」でも僕はこのカードに対して、席替えの直前のようなワクワクした気持ちがあった。
体育館に戻ると何やらみんなが1箇所に集中していて、さっきよりも更に騒がしくなっていた。
身長の低い僕はジャンプをして覗き混んでいると、その人混みの中心には数分前にぶつかったあの男性がいた。