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「さて…」
ホテルZでAZさんと話した日から、数日後。
今日は、街を見て回ることにした。
カラスバさんは仕事があるらしく、先に出かけていった。
やっぱり、この世界に来たからには、しっかり自分の目でミアレを見てみたい。
「ん~、まずどこに行こうかな…」
数分マップとにらめっこして、決めた。
「カフェ行ってみるか!」
5分ほど歩いて、最寄りのカフェに着いた。
コーヒーを注文して、席に座る。
(あ~、そういえばコーヒーってあんまり飲んだことないな…
まあ、経験として飲んでおこう)
そんな風にどうでもいいことを考えていると、
隣の席の女子二人から気になる会話が聞こえてきた。
「ねえ、聞いた?最近、バトルゾーンにサビ組のボスが来てるんだって!」
「えっ、サビ組って?あの?
あそこと何かあったらタダ働きさせられるって、噂の?」
「そう、それでね、そこのボスが、最近バトルゾーンのトレーナーを
ボコボコにして回ってるんだって…」
「えぇ、どうしたんだろ、急に…ランク上げたくなったのかな?」
「私はね、そいつが急にバトルゾーンに現れたのは、
Aランクになって街を支配しようとしてるんじゃないかって思ってるの」
「えー?そうかなあ?それはないと思うよ?
だってさ、サビ組って言ってもあんま悪い噂も聞かなくない?」
「まあ、確かに…警察と何かあったって話も今まで聞いてないなあ…
もしかして、サビ組って見た目が怖いだけなのかな?」
「うん、もしかしたらね~」
ほう、カラスバさんが、バトルゾーンに…
…レベル上げだな、これは。
まあバトルゾーンが一番効率いいからな。
ん…?もしかしてカラスバさん、あのいつもの服のままやってたりするのか?
そうじゃないと噂にならないからな…
うん、そのままだと目立つって、後で言っておこう…
隣の女子たちが帰って行った後、私の席で余っていた席に、
誰かが座ってきた。その人の顔を見て、驚く。
「えっ、カラスバさん!?」
「おう、ミラでもこういうカフェ来るんやなあ」
「あれ、お仕事は…?」
「思いのほかはよ終わってな。カフェでも行くかって思て来てみたら、
おまえがおるもんやから、驚いたわ」
「へ~…」
そこで、あることに気づく。
「あ、カラスバさん、私服…」
「さすがにあの服だと目立つからな。着替えてきたんや」
「それならバトルゾーンでも着替えたほうがいいと思いますけど…」
「いや、バトルゾーンでは、なめられたらアカンから
あの服のままでやってたんや」
「あ~、なるほど…」
…というか、私服のカラスバさん、普通にイケメンだな…センス良すぎ…
「これは何や?飲まへんのか?」
カラスバさんはそう言って、まだ飲まずにいた私のコーヒーを指差す。
「あっ、飲みます」
カップを手に取り、一口飲む。
「っ…苦っ…」
コーヒーって、意外と苦いんだな…
「…もしかして、コーヒー飲むの初めてやったんか?」
「はい、実は…」
「まあ、初めてならそうなるやんな。残りいらんならもろてええか?」
「あ、どうぞどうぞ」
カラスバさんは私のカップを手に取って、一気に飲み干した。
「そやな、オレはこれぐらいが好きやねん」
…ん?あれ、待って、これってさ…
「ああ、間接キスになってしもたな」
「…私も今気づきましたけど、なんでわざわざ言うんですかっ…」
私の言葉に、カラスバさんはいたずらっぽく笑って言った。
「おまえがどんな反応するか、気になってな」
「…ほんとに、まじでこの人はっ…」
惚れるだろ、こんなん…
…まあ、前の世界にいた頃から惚れてはいるけど。
その時、二人のスマホロトムが鳴った。
「ちょ、何…」
メールの相手を見て、緊張が走る。
「AZさん…」
「つまり、暴走メガシンカが起きたから手伝えってことやんな」
「そうですね。場所は…ここか。それほど遠くはないです。行きましょう!」
そう言って、席を立った。
暴走メガシンカを鎮めて、ポケモンセンターに向かう途中。
「今回はメガスターミーでしたね」
「思てんけど、あのフォルムって地味にキモくないか?」
「あ、カラスバさんもそう思います?
あれ、私の世界だとさんざんネタにされてましたね」
「確かに、ネタにされそうなフォルムしてるもんな…」
と、その時。私達の目の前に、突然黒い影が現れた。
「うわっ!?え、ジガルデ…?」
そう。黒い影は、ジガルデだった。
「な、何や…?」
ジガルデは、カラスバさんに何かを渡した。
「は?何やこれ?」
…それは、ただの石ころだった。
ジガルデは一声鳴いた後、すぐに消えてしまった。
「なんで石ころ…?」
「石ころってことは…そういうことね。
カラスバさん、それ、絶対なくさないでくださいね」
「何でや?ただの石ころやけど…」
「いいから、なくさないでくださいね」
私の言葉を聞いて、カラスバさんは何かに気づいたように言った。
「…ミラは、これがなにか分かってるんやな。
分かった。絶対なくさへんから、安心しぃ」
そう言って、ポケットに石ころをしまう。
「夕方までまだ時間ありますね…どうします?」
「まあ、もう帰ってもええんちゃうか」
「そうですね、特にやることもないし…じゃあ帰りますか」
「あ、ポケセン行かなならへんな」
「そういえば!行きましょ!!」
そうして、なぜか二人は走り出した。
…走らなくてもいいのにね。
コメント
1件
うわあ、今回はもう完全に恋愛パートが来ましたね…!カラスバさんの私服イケメン発言、間接キスのいたずら、そして主人公の「惚れるだろ、こんなん」って心の声に思わずにやけました。バトルシーンも良かったけど、カフェの空気感と二人の距離感が絶妙で、大人の恋愛って感じがしてすごく好きです。あと、ジガルデが石を渡すシーンはミラだけが意味を分かってる感じで、今後の伏線が楽しみです🤍
ぴかわど
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